表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第四章 獣王の統べる国
71/291

第63話 貴方の名前は?

 

 俺の尻を舐めてくるが、こいつしか乗れるラプダが居ない現状でば、こいつに決めるしか無い。暴れラプダだし……安くなるように交渉してみよう。


「そいつを引き取ってくれんなら、銀貨3枚でいいが? どうする?」


 銀貨3枚かあ、地味に高いなあ。もっと安くならないかな、


「高くない? 俺にしか懐いてないんだから、銅貨1枚で良いだろ?」


「それじゃあ、おまんまの食い上げだ! せめて……銀貨2枚!」


「えー! じゃあ銀貨1枚! 引き取り量や餌代込みなんだから、良いだろ?」


「ぐっまあ良い! なにがあっても、オラに文句言うなよ!」


「言わないよ。これで契約成立だ!」


 その言葉を聞いたガイナスが、何故かニヤリと笑う。


 ガイナスは、ラプダの背に(くら)を付けてくれた。ラプダ触り心地は、ワニ皮の様な感触だった。


「この鞍はサービスだ。お古だが無いよりはマシだろう。ラプダは頭が良いから、まあ後はなんとかなるだろ」


「サンキュー!」


 俺達は、ガイナスの牧場を後にした。ラプダに乗って街道を進み始めた。現代の日本の様に、道の舗装はされていなく、路面はめちゃくちゃ荒れている。


「なあ蘭、道ってどこもかしこも、こんなにデコボコなのか?」


「そりゃそうだよ。アスファルトなんてないんだから、自分で歩かないだけマシだと思いなよ」


「ふーんそうか」


『ねえ、ヨーイチ。そのラプダ……多分銅貨1枚の価値もないよ?』


「えっ?」


 リュイの言葉に思わずギョッとする。


『だって、あのおじさんヨーイチが離れた後、厄介払いが出来て金が儲かったって、小躍りしながら喜んでたし』


「ガイナアアアアス!」


 あの野郎騙しやがった! ピュアな俺を、騙しやがって舐めやがって、絶対に許さんぞ! 次に会ったらジワジワとお前の毛を毟ってやる!


「まあその子、洋一にある意味懐いてるから良いんじゃない?」


『ほんとある意味よね、ちょっとアタチにはわからない価値観だけど』


 ラプダが捨て犬のような目で、俺を見ている。


「あーガイナスにはいつか復讐するが、今更お前を捨てたりしねえから安心しろ」


 俺の言葉を聞くと、ラプダが嬉しいのかクルクルと喉を鳴らす。


「洋一そろそろ速度を上げないと、日暮れまでに街に着かないよ」


「オーライ! ハイヨー! ラプダー!」


 ラプダは物凄いスピードで、走り始めた。


「あぶぶぶふ!」


 速過ぎて喋れない! 風圧で目も開けられない! 俺は、必死にしがみついた。まじで、吹き飛ばされちまうっ!


「もう少し速度を落とさないと、洋一が落っこちるわよ……あっ」


 ラプダが、急ブレーキをした。俺の様な非力な人間が、急激なスピードの変化に耐えられる訳もなく、ラプダの背から吹き飛ばされ、頭から大木に激突した。


「痛ええええ!! 頭から血が! ひえええ!」


 この世界で初めての大怪我を負った。原因はラプダカーの急ブレーキ。それはまるで、シートベルト無しでカースタントをこなした様な物だ。良い子は真似するなよ?


「はあ、ヒール。ラプダもわかった? 無茶しちゃダメよ?」


 蘭のヒールが出来ない日本だったら、救急車で入院コースだ。そんな俺を見てラプダが頭を下げて「クゥーンクゥーン」鳴いている。多分謝罪かな?


「あーびっくりした。スピードの上げ過ぎに注意しろよ? 後、急に止まるな。俺が、危ないからな」


『ちょっと! ラプダ! アタチにも謝りなさいよ! 怖かったんだからね! 凄いスピードで空に飛ばされたし!』


 ラプダはリュイを無視していた。


「コラ! ラプダ、リュイとも仲良くしなきゃだめだぞ?」


 ラプダは、軽く頭を下げたが、どうもリュイとは相性が悪いみたいだな。


「蘭の言う事は直ぐに聞くのに、なんでリュイにだけ? 謎だな」


『むー! 次の街着いたらヨーイチは甘いもの買ってよね!』


 そんな事を話しながら、街道をラプダカーで爆走した。


 ラプダカーに揺られ半日程立つと、新しい街の門前に辿り着いた。


 大きな石造りの門と、その門から街の中に入るべく、人や馬車が行列を作っていた。人種は様々で、背の低い人や高い人、獣人ぽい人やエルフみたいな人もいた。


「最後尾は……あそこかあー。結構並ぶけど仕方ないか」


「(リュイ様は、洋一のポケットから間違っても出ないで下さいね?)」


『(わかってるわよ。騒ぎを起こしたくないしね!)』


「ラプダ、良い子にしろよ?」


「ウホッ」


「お前、鳴き声がゴリラみたいだぞ?」


 ゴリラがわからなかったのか、不思議そうな眼で俺を見ている。


「まあいいか。初めて自分で来た街だし、楽しみだな」


 ラプダから降り、行列の最後尾に並んでいると、後ろから声をかけられた。


「坊主、珍しい色のラプダを連れてるな?」


「ん? おっさん誰だ?」


 赤髪、左目に眼帯、身長は170位か? 背中には大剣を装備して、黒い革鎧を付けた、いかにもハンターなおっさん。ちょっと汗臭いから近寄らないで欲しいんだが……。


「ああ、すまねえ。俺は、探索者ギルドのアリアってもんだ、見慣れない色のラプダだったから気になってな」


「嘘だ!」


「えっ? アリアって名前にも探索者って身分にも偽りはねえぞ……? ほら俺の探索者カードだ」


 何故だ、神よ! アリアって名前なら素敵な女の子だろ! しかも初めて声かけられたのが、綺麗なお姉さんじゃなくて、おっさんだなんて……!


「なにをショック受けてんのか知らねえが、そろそろ坊主の番だぞ」


「あっああ」


 受付の兵士ぽい男に声をかけられる。


「この街に来た目的は?」


「観光」


 兵士の目付きが鋭くなる。


「そんな装備でか?」


「装備してたらまずいのか?」


 俺と兵士に険悪な空気が流れる。


「あー。ジョゼさん、こいつは、俺の連れだ。探索者ギルドに入れようと思ってな」


 アリアは兵士に金を渡していたのを俺は見逃さなかった。


「なんだそう言う事か……。全く不審者かと思ったぜ。ようこそ、商業都市アリスラへ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ