番外編 鷹匠のお仕事
短めです。
俺の仕事は鷹匠。
馴染みは薄いとは思うが、最近ではテレビや雑誌で取り上げられるようになり、世間にも注目されるようになってきた。女性鷹匠の方には感謝しなければ。
俺の相棒はクマタカの雌の蘭。雛から育てた優秀なパートナーだ。蘭は75センチと雌にしてはやや小ぶり。翼開長時は約165cm程。蘭は頭が良く俺の指示を良く聞いてくれている。全体的に白っぽく上面は暗褐色で瞳はオレンジ色の美人さん。
役場の仕事と並行して、イノシシやカラスや鳩などから農作物を護ったり、最近ではカラスからの投石攻撃からソーラーパネルを護ったりしている。ソラーパネルって壊れたら高いんだぜ。
カラス達は蘭の姿を見ると散り散りに逃げて行く。
「蘭、今日もありがとうな」
俺は、毎日蘭に話しかけている。なんとなく蘭なら言葉を理解してくれるんじゃないかと思い、いつも長話をしてしまう。
「最近のカラスはどんどんやる事が酷くなってきたなあ。糞害だけじゃなく投石までしてきて、全くずる賢い奴らだなあ」
「ピッ!」
「蘭もそう思うだろ?」
そんな害鳥達が居るから、神事意外でも人の役に立てると思うと、嬉しくなる。
「師匠の元を離れてわかるけど、師匠って凄かったんだなーめちゃくちゃ厳しいし直ぐに手が出たけど」
師匠の厳しさを思い出し思わず苦笑いをしてしまう。
「蘭、明日は猿避けだぜ! 山から降りてきて果樹園を荒らし回ってるからなんとかしないとな! 頑張ろう!」
「ピッ!!」
♢
猿達は人間を恐れず、果樹園を荒らしている。彼奴らは人間を下に見てる節があるからなあ。
「頼むぞ蘭!」
蘭は猿を発見し、大きな声で鳴く。猿達は蘭を警戒して騒ぎ始める。猿達の隙を見逃さず、頭上すれすれを飛び回り威嚇する。
「蘭良いぞ! 猿達が山に逃げ始めたぞ!」
猿達が山に撤収して行くのを眺めていたら、横道から婆さんが黒い何かを担いで奇声を上げながら、猿に突撃して行った。
「きえええええ!! 猿共目くらええええ!!」
バババババババ
何かを連続で発射する音が響く、命中した猿は悲鳴を上げながら逃げ惑う。
「えっ? あれ電動ガンか?」
蘭は婆さんの攻撃の巻き添えを喰らう前に俺の元に戻って来た。
「猿めええ!! 逃げるなあああ!!」
婆さんは、叫びながらも電動ガンを撃ちまくり、弾が尽きると流れるような動作でマガジンを変えて更に撃ち続ける。
「なあ蘭、俺達は今日きた意味あったかな?」
「ピッ・・・」
俺達は肩を落としながら帰って行った。
「あの婆さんだけは敵に回しちゃいけないな……」
蘭「いきなりの番外編ですが、私達の仕事を紹介がてら軽く触れてみました」
洋一「鷹匠だけで食えるのは一握りだぜ、弟子をもったり専属契約とかしてないと本当に厳しい世界なんだぜ」
洋一「果樹園の人達は良い電動ガンを持ってるんだぜ・・害獣駆除の名目でネットで売ってたりするんだぜ」
蘭「はあ。洋一ぜって語尾につけるのはださいよ」
洋一「うっうるせ! 引き続き鷹と僕の応援よろしくう!!」