第45話 尻を叩かせたら世界一イイイイイイイ
蘭が、大規模な魔法陣を地面に描くと、魔法陣が大きな光を放つ。すると、大きな茶色(推定縦3m 横2m)のドアが現れる。
「蘭、このドアってなに?」
「神界と繋ぐドアだけど?」
「なんで、なんでなんだー!」
「えっ? なにが?」
ドアは、ドアは、あの色でお腹のポケットから出さないとだめだろ! せっかく魔法があるんだから、色くらいせめて色位いいいいいい!
「あー。洋一君が、なにを言いたいか……わかったような」
「せめて、ピンクがダメだなら渦を巻いてくれええ!」
「あっ、国民的ゲームの方でもいいのか」
渦がだめならせめて、あのBGMをかけてくれてもいいじゃないか! せっかくの転移なのに!
「はあ。洋一置いてくよ? 私だけなら別にドアは要らないんだよ? 空気を読んでドア状にして、わざわざだして、あげたんだけど?」
ぐえっやばい。蘭が、怒っている。流石に、ふざけ過ぎたか
「すっすいませんでした!」
『ほんげえええ!』
俺が、蘭にスライディング土下座をしていたら、横からアナスタシアが、ドアを見ながら奇声をあげた。
ほんげええって、なんか某狛犬の妖怪みたいだな。
「アナスタシア様、どうかしましたか?」
『しゅしゅごい。神界でも、こんな魔法見た事ない!』
「当たり前だろ、蘭は神より上だぞ!? 頭が高あああい!」
『流石でございますです!』
アナスタシアが蘭に平伏している、冗談で頭が高いって言ったのに。
「はあ。この程度、神界にいらっしゃる神様ならできるんじゃないですか? 私のはあくまで、紗香が私の魔力を込めた念話石を持っているから、出来た訳ですし」
「神界ってどんなとこなんだろ? 光一も気になるよな?」
「気になりますね。でも僕達人間が入って、大丈夫なんですかね?」
「アナスタシアどうなんだ? 大丈夫なんだろうな?」
『えっと……えー……わかんない? 肉体を持った人が行った前例がないから……』
アナスタシアに聞いたのが間違いだった、堺さんならきっと丁寧に教えてくれるの『神界の、細かいルールまでは流石に知らないなー』
知らないらしい、ってあれ今堺さんの声が頭の中に響いたような
「なあ蘭、光一、堺さんの声しなかったか? 神界のルールまでは知らないなーって」
「僕は、聞こえませんでしたよ? 堺さんって誰ですか?」
「私も聞こえなかったよ。それに堺さんの、魔力も感じなかったよ?」
「どうやら、俺の脳内が作り出した幻聴か」
アナスタシアが俺と距離を取り睨んでくる
「なんだ? なにかついてるのか?」
『憑いてる』
ついてる? あっ肩のゴミか。
「? ああこれか、教えてくれてサンキュー! 流石に綺麗な服でいかなきゃだめだよな。光一も気をつけろよ? 多分ドレスコード的なものがあるんだよ」
「あっはい。気をつけます」
蘭は毎回ブラッシングしてるから凄く綺麗だし問題ないな。問題はアナスタシアだが、まあ元神だし大丈夫だろ。
「それじゃみんな行くよ」
「「おう(はい)」」
『はい!』
ドアが開き、俺達は、ドアの中へと歩いて行った。
♢神界 ???
見渡す限り、寂れた荒野だった。これが神の世界か? 木も草もないし、地面もひび割れてるし。
「西部劇の舞台みたいだなー」
銃撃戦はあるのかな? アナスタシアの様子がおかしいな。
『ここは、修練の荒野……』
何故か青ざめてるし、修練って修行場所か?
「修練の荒野ってなんですか?」
光一も気になったみたいだな。
『ここは神様になる前に、魂の禊の試練として、行かされる場所でBランク指定の場所……。私も来たのは初めてなの。こんな場所に、紗香さんはいるの?』
蘭は、上空を飛び周囲を警戒している。
「ん? 多分蘭の想定外の事だなきっと。蘭が、警戒してるし」
「想定外? 転移を、邪魔されたんでしょうか?」
「多分なー。蘭に聞かなきゃわからんけど」
『邪魔って、あれがどんだけ高度な魔法かわかってんの!? あれを邪魔できるなんて創造神クラスよ!』
「うるせっ! 俺に言うなよ! ってかあれが創造神か? 向こうに、手を振ってる人がいるけど」
俺の視線の先には茶髪の身長120cm位の白い服を着たガキンチョがいる。色めっちゃ白いな、某アイドルグループにいそうだな。とりあえず俺も手を振っておこう。
「洋一、あの人が、私達をここに飛ばした張本人。私でも絶対に勝てないから変な事しないでね?」
蘭から釘を刺された、あんな弱そうなガキンチョなのに蘭より強いのかよ……
「げっマジかよ。俺、手振っちゃったけど」
「ぼっ僕も、洋一さんと一緒に手を振ってしまいました……あわわわわ」
光一、焦ってるのは分かるんだが、あわわわはないぞ。
『すみませんすみませんすみませんすみません。許してください! 許してください! ごめんなさい』
土下座しながらベッドヴァンキングしてやがる! そんなに怖い奴なのか。
『いやー! おまたー! へいへーい!』
ノリがチャラいし、めちゃくちゃ軽い。なんだこいつ。何処のチャラいコンビだよ。ぽんぽーんってか?
『転移に強引に割り込んで、僕の部屋に飛ばそうとしたら、びっくりんこ! まさか、まさか、試練の荒野に行くなんて! びっくりんこだよ!』
だんだんイライラしてきた。なんだこの喋り方。
『イライラしてるそこのボーイ! 落ち着かないと殺しちゃうぞ?』
『ひいいいい! あんた! 早く謝って!』
アナスタシアがチャラ神に怯えている、なにが殺しちゃうぞだ。
「人に殺すとか言うんじゃない! このバカチンがー!」
チャラ神を小脇に、抱え尻を出させる。
『あれ? 神威が効かないぞ? あれれれ?』
『まっまさかあんた!』
「スーパーお尻ペンペンだ!」
パチーン! パチーン! パチーン! バチーン!
『痛っ痛いい! ちょ痛い! ごめんなさい!』
「そのチャラい喋り方は、ダサいしわかりにくいからやめろ。人を簡単に殺そうとするな、わかったか?」
『はい! すいませんでした!』




