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第28話 魔王退治に出陣でござーる!

甲賀桜視点です

♢アスベルク王国召喚の間


 召喚され着いた場所は、映画で見た様な石畳で作られた部屋。部屋の中には沢山の兵士と王様ぽい偉そうな爺いさんがいる。


「おおー! 勇者達よ! 我が国の願いを叶えに来てくれたか!」


 ん? 勇者達? 私1人のはずだけど……。あっ凄い強面のお爺いさんが隣にいた、気づかなかったな。


「ーー貴様達か召喚と言うくだらない真似をしてくれたのは」


 お爺いさんが、近くにいた鎧を着な若い男の人にめちゃくちゃキレてる。


「あのーお爺いさんとりあえず話を聞いてみてからの方が……」


「ーー死ね」


 お爺いさんが帯刀していた刀を横なぎに振るうと、鎧を着た兵士達と王様ぽい偉そうな爺いさんが素っ裸になった。わー鎧も剣もバラバラだ。


「ーーチッやはり人間は斬れないのか。まあいい、俺の獲物は赤髪のガキだけだ。さらばだ」


 爺いさんは壁を四角く斬りその穴から姿を消した。兵士も王様ぽい人も皆んな口をだらしなく開けて唖然としていた。


「ほえー凄い爺いさんでござるなー。獲物は赤髪のガキだけって言いながら、最初に死ねって思いっきり言ってたしガクブルでござる」


 兵士達は腰を抜かし、脱糞やお漏らしをしている奴らまでいる。正直臭い。


「おっ王様、お怪我は……」


 兵士達がやっと脱糞王様を気にかけはじめた。


「よっよは大丈夫じゃ……尻以外はな」


「ニシシシ私もお暇しようかしら」


 さっ私もそそくさと逃げよう。


「待てい!!」


 だめかーそりゃ無理があるよねー。でも、私よりもあのお爺さんを止めた方がいいと思うけどなあ。


「なんでござるか? あっ因みに勇者とかじゃないんで国を救うとか大それた願いは叶えられません」


 とりあえず牽制パンチしかない。


「ゆっ勇者では無いのか……だがどうか話だけでも聞いてはくれぬか?」


「だが断るっ!!」


 ひゅー! 言ってやった! 私言ってやった! 人生で言ってみたい台詞ナンバーワンのこの台詞を!


「きっ貴様無礼だぞ!」


 兵士達が声を荒げ始める。


「無礼はどちらででござるかな? あのお爺さんがいなければ、武器を持った人間が多数で私みたいなか弱い女を囲み、ナニをするつもりだったんでござるか? 更に言えば相手の承諾も得ずに連れ去る事は、私の国では誘拐でござるよ? こちらに警察があるかはわからんでござるが、重罪でござるよ?」


 秘儀正論マシンガントークでござる。


「ぐっペラペラとよくも!」


 兵士? の人が怒っているでござるな。ニシシシ忍術スキルを試す絶好のチャンスでござる。


「忍法煙遁の術」


 私の周りから大量の煙を出す


「ではさらばでござるよー!」


「まっ待ってくれえええ」


 私は天井に張り付き様子を伺う。


「異世界の価値観か……。ご老人にしてもあの辛辣な女性にしても、随分と逞しいんだな。いやはや私達も見習わないといかんな」


「ですが王様、魔族の力が向上している今、我ら人類は何としても力をつけなければ……。滅びの道しかありませんぞ!」


「だがな、いきなり見も知らぬ国で兵士達に囲まれては警戒するなと言う方が無理であろう。安全のためとは言え我等は願いを聞いて頂く立場だ。我等は間違っていたのだよ」


 裸で爺いさんやおっさん達が揉めてるのはちょっとグロいなあ。大抵の場合武力で制圧してから言う事を聞かすか、奴隷にするかだけどこの国の王様は違うでござるかな?


「ですが王様……」


「もうよい、それにあのご老人には何か目的があるのであろうしな。装備や壁や服は壊れたが傷をつけられた者はおらんのであろう? 不問じゃ。もし困っていたらそれとなく援助する位じゃ。そして女性の方じゃが」


 王様は顔を天井に向け、真っ直ぐ私が隠れている場所を見ている。


「私達の対応の落ち度を謝りたいので、降りて来てくれんかのう?」


「あちゃーばれてましたか。スキル? それとも経験則?」


「煙が上がって直ぐに影が上に移動するのが見えておったわい。ワシ程度で見切れてしまうのは些か拙いぞ?」


 周りの兵士達は、私に気づいてなかったんだから王様だけが異常だと思うんだけどなー。


「ニシシシ。とりあえずお話は聞きますよっ! 未熟な私に出来る事は少ないですけど」



 それから私は忍術スキルの修行をしながら王様に世界情勢、国の歴史、通貨、種族、魔族や魔物とはどんな物かを聞いたりして過ごしていた。


 はじめての魔物討伐をした時は、しばらくお肉が食えなくなったのは記憶に新しい。


 何度も何度も繰り返し、殺した魔物に食われる悪夢を見た。


「魔物討伐だけは未だに慣れないでござるなー。敵対したら殺さなきゃいけないし、手負いで魔物を放置したら他の人を襲うかあ……優しい魔物はいないんでござるかなあ」


 ある日の夜、私の夢に懐かしい顔が現れた。


『順調のようね。貴女にお願いがあってきたわ、魔獣の森に住む魔王を倒して欲しいの』


「嫌でござる」


『そう、行ってくれるのねーーありがって今嫌って言わなかった?』


「嫌でござる」


『なんでよ! ちょっとこらしめるだけでもいいから!』


 いきなり現れて命令とか頭がおかしいでござる。


「はーだいたい半年以上ほったらかしにしといて、今度は魔王退治? 都合良すぎでござるよ。私は今王国にお世話になっている身。勝手な事はできないでござるよ」


『異世界人ってなんでこうも信仰が無いのよ!』


「異世界人が関わってるでござるか?」


『ちっ違うわよ! ヨーイチヒーラギって魔王よ! ゴブリンの棍棒で尻を叩く悪鬼よ!』


 ヒーラギヨーイチかな? 異世界人って事は地球人かな? これはもしかしてお爺さん以外の地球人に会えるチャンスでござる!


「条件があるでござる」


『なに? 倒してくれるの?』


「転移スキルをくれでござる! そしたら拙者の鍛え上げた忍術で魔王を倒すでござるよ!」


『転移スキル……うーんうーん良いわ。今ならレベルも上がってるし……だけど行った場所(・・・・・)にしか行けないのと、3人までしか飛べないわよ。それでも良い?』


 言ってみるもんでござるな。しかも行った場所(・・・・・)これが重要でござる。


「もちろんでござる」


 赤髪幼女から転移スキルを受け取るとまた強烈な頭痛に襲われる。この痛みだけは、慣れないでござる。


「相変わらず痛いでござるーーだけど魔王退治は拙者に任せるでござるよ! 面白そうでござるしな!」

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