最終話 俺の身体は
幼女の握力が半端ない! 痛い、手が潰れる! 包丁を返そうとしただけなのに!
「痛たたたたたた! 待って待って! アンラマンユに死なれたら困るんだよ! こっちの世界の核にしたいんだから!」
『じゃあ今すぐやる。創造神、ダーリン準備して。毘沙門天、ノーデンス、アナスタシア、えっと新しい女神も協力しなさい』
紗香さんの事はわからなかったのか。ちょっとまて、ダーリン? ダーリンて誰だ? 豪爺いはないな。悟さんはまだ復活してないし、師匠は巨乳興味がないし、大和さんは結婚してるし……俺か!?
『アンラマンユを核にするとは考えたのう。此奴への罰にはふさわしいか』
『皆んなの前でダーリン呼びは恥ずかしいな』
この野朗おおおおお! あの合コンか! 合コンで知り合ったのか! ふざけやがって!
「ロリコン大魔王! 合コンか! 合コンの時か!」
堺さんのツナギの襟を揺さぶる。
『柊君が血の涙を!? まっまあ出会いは合コンだけど……』
「あの合コンにこんな伏線はるんじゃねえよ! 合コンの事なんて、誰も覚えてねえよ! 可愛い幼妻ってか! 裸エプロンか! あっ指輪してやがる! ペアリングか! ペアリングなのか! ラブラブチュッチュッかよ!」
『凄い早口だ……! ツッコミの力が3000、5000、8000! どんどん上がっていく!』
「スカウターみたいに言うんじゃねえ!」
ツッコミ過ぎて喉が痛い……!
『ダーリン早く』
『あっああ。それじゃあ、アンラマンユを中心に六芒星を描いて、あっそうそう。アナスタシアもっと下がって! 下がりすぎ!』
『うっうるさい! ここでしょ!』
『そうそう。はいちゅうーもく! 皆の力を真ん中に流していきまーす! 難しい操作は創造神がやりまーす!』
遠足かよ……あれ? 今アンラマンユ動かなかったか?
皆の力が六芒星に注がれていく。
「蘭、アンラマンユ動かなかったか?」
「動いたね……多分……」
「多分なんだ?」
『ワハハ! やめないとアルテミスまで巻き添えになるぞ!』
糞ヴィッチを人質にしやがった。あれ? 皆んな無反応だぞ? 聞こえてないのかな?
『えっ? あれ? 無視?』
『むー! むー! むー!」
『世界の核と「はいストップ」
突如現れた星冥が、アルテミスを宙に浮かせている。
「アンラマンユを核にするのは良いんだけど、アルテミスまで巻き添えにしちゃだめだよ。彼女の代わりの女神はまだいないからね。さっ続きをどうぞ」
『アンラマンユよ世界の核になれ!』
何事もなかったかのように進めたけど、星冥を認識できてないのか?
『くそおおお! いつか復活するからなあ! バイバイきー』
彼奴最後に有名敵キャラみたいな発言しようとしたな、アンをぶつけられるぞ!
あれ? 皆んな動きがないぞ? 力尽きたのか?
「今この瞬間、君と神獣以外の時は止めたよ。あんまり干渉するのも良くないからね。2つの世界に平和が訪れた。柊洋一君、色々な人達が君に協力したのは、一重に君の力だ。よって褒美をあげよう。なにがいい?」
褒美をくれるのか? なんでこいつが全部仕組んだ顔をしてるんだ?
「なら俺の身体を元に戻しやがれ! 後EDを治せ! 後光一とか地球に戻りたい人達を地球に帰らせろ!」
「光一君ね。ああいいよ、お別れの挨拶はできないけどそこはまあ諦めてね」
御幣を振るう星冥。桜さんが目の前から消える。そうか……桜さん帰りたかったんだな。
「あとね寿命が人間に戻るから、君の神獣と過ごす時間は減るけどいいかな? もっと他にないの? 例えば地球を元に戻すとか」
「ちょっとターイム!」
寿命をが人のそれになったら、蘭といれる時間が短くなるだと? それはダメだ。って言うか地球壊れたままだったのかよ! 事実上一択しか選択肢ないじゃねえか!
「洋一?」
蘭が心配そうに俺を見てくる。
「ああ蘭、大丈夫だ。地球を直して貰うよ。俺の元の身体は諦めるよ。蘭といる時間が減るの嫌だしな。星冥、地球を元に戻してくれ。身体は諦めるよ、EDは治して欲しいけど」
星冥が満面の笑みを浮かべ、腕を組む。
「君は世界を救う道を選ぶんだね。さて地球を元に戻すよ」
御幣を再度振るう。
「地球は元に戻したよ。しかし君は面白い、この先の人生も楽しんでくれたまえ」
再度御幣を振るうと星冥は消える。
「EDを治しやがれええええ!!!」
「はあ。洋一、EDより皆んなに説明しないとだよ。洋一が急に叫び出したみたいになってるから」
♢
それから蘭と俺で星冥がしてくれた事を説明した。驚きはありつつも、皆納得してくれたが、桜さんが消えた事でアルテミスに怒られた。
『お別れの挨拶位させなさいよ! ばかあ!』
「悪かったよ……」
泣かれると思わなかったな。
「紗香さんごめん、光一も地球に戻ったから……」
紗香さんの方を向き頭を下げる。
「光一君にはその方がいいかもしれませんしね。それに洋一君のせいじゃないのよ」
俺の頭を優しく撫で
「そんな顔しないの」
ふわりと笑った。
俺達は縛り上げたアルテミスを縛り上げた引き連れ魔獣の森へ戻った。




