第243話 うわっ! 幼女つおい
大和さんがコロシアムに降りた。目で追えなかったぞ? しかも最初から剣を抜いてるし。肩でトントンやる度に凄い風圧が巻き起こるし。
「あちゃー大和さんめちゃくちゃキレてる」
師匠がケラケラ笑いながら舞台を眺めている。大和さんから出る殺気で、俺死にそうなんだけど! アナスタシアや紗香さんや桜さんは大丈夫なのか?
「大和さん本気だなあ。蘭ちゃん防御結界を張ってね。アナスタシアちゃんと桜さんと紗香さんは、僕が護るけど。洋一君と豪さん達の分はよろしくね」
ナチュラルに見捨てられた!
「はい!」
蘭と師匠が防御結界を張ると、結界はビキビキと悲鳴をあげている。
『君の相手は神造人間、ソウジマーク2だよ!』
アンラマンユがステッキを振るうと、赤黒い身体をした道化師が出てきた。服は無く、腕は4本になっていた。それぞれの腕には、赤黒い長剣、戦斧、槍、戦鎚が握られている。
「うおっあの武器……肌と同じ色してるし、武器の塚や刃に目玉がついてる……気持ち悪!」
『グフフフフフフ! 彼は数多の邪神と勇者を混ぜて造り上げた最高傑っうえええええ!?』
アンラマンユが突如奇声を発した、会場をみると道化師はその場にいなく、血溜まりだけが残っていた。大和さんの剣からは血が滴り落ち、大和さんは剣をアンラマンユに向けている。
「いくら邪神を混ぜようと、勇者を混ぜようと俺には通じない、斬る回数が多くてめんどくせえだけだ。こんなんなら御使の方が強かったんじゃねえか?」
『そっそんなわけないだろ! こっちの御使やら総動員しても勝てないレベルだぞ! おかしいのはお前だ!』
アンラマンユが大和さんを指差しながら、ブチ切れている。あれが素か? おかしいのはお前だって……チートレベルの化け物導入しといてよく言うな。
「まあ退屈凌ぎにもならんかったなあ。宗二の魂も返して貰ったし、これでやっと弔ってやれる。2敗してお前の負けは確定した訳だが、どうするつもりなんだ?」
『ぐぬぬぬぬ! まだ彼との闘いがある! それに勝った方がチャンピオンだよ!』
まあそう言うだろうなあ。何勝したら勝ちとか決めてなかったし。
上空から光が差す。
「『眩しっ!』」
俺とアンラマンユが同時に声を上げる。
『いやー柊君おまたー! そうです魔王降臨です!』
『ちょっと! 儂が照明係っておかしいじゃろ! 創造神だよ儂!』
見慣れた青いツナギを着た魔王事、合コン戦士堺さんと、照明スタンドを持ったファンキー爺いが俺達の前に現れた。
「堺さん!? それにファンキー爺い!?」
『おい! 儂の事創造神って呼んでたじゃろ! なんでファンキー爺いに戻ってるんじゃ!』
『ジャロに訴えるんじゃ!』
『魔王! 御主までボケたら儂のボケが霞むじゃろ!』
現れてからひたすらボケ倒す2人……俺1人で捌けねえよ!
「突っ込みキレるかあああああ!! 2人してボケ倒すんじゃねえ!!」
『あー!! そこの魔王! 君は邪神の加護を受け取らなかった罪があるよ! 包囲してるんだからね!』
━━ブッ
『包囲? あっ放屁ならでたよ? 嗅ぐ?』
「だからボケにボケを重ねるな!」
堺さんなに食ってんだよ! 臭すぎるだろ!
「柊君の周りは面白いな」
大和さんは毒気を抜かれたのか、笑いながら客席に戻ってきた。
『ねえ。私紹介されてない』
薄緑色の長い髪、黄色と青の瞳、色白の肌。身長140位の乳がでかい白いドレスを着た幼女が堺さんのツナギを引っ張っている。
『こちらのボインな幼女はガイアさんでーす! アンラマンユをぶっ飛ばしにきたそうです!』
アンラマンユが腰を抜かして震えている。
「おっぱいでけええええ!! すげえ! 師匠めちゃくちゃボインボインですよ!」
「貧乳の方はいないんですか! どうして巨乳の方ばかりでるんですか! あっそうだ! こちらには貧乳の神アナスタシアちゃんがいるんだぞ! どうた!」
師匠がなにを思ったか、アナスタシアを前に押し出す。俺の発言をスルーして……
『ひっ! ちょっとやめてよ! 高位な方々の前に突き出さないよ! あっどうもー私アナスタシアって言います……』
アナスタシアが必死に頭を下げている。赤ベコみたいだな。
『なっなんで! ガイアちゃんがここにいるんだよ! 地球はもうガタガタにしたのに!』
『地球がガタガタ? ああ……殺す』
『オゴっ!!』
ガイアちゃんの連続パンチを鳩尾に連続でいれられてる。うわっ幼女強い……!
『おげっ! うげ! がば!』
うわあ……血反吐吐いてるし、なんか可哀想になってきたな。
『いけえ! やれえ! ぶち殺せ! 八つ裂きにしろ!』
糞ヴィッチの存在忘れてたわ。ん? 堺さんが糞ヴィッチの側に……
『うるせえ! 死ねカス!』
引っ叩いてガムテープで口を塞いだぞ? 堺さん手慣れてるな。
『むー! むー! むー!』
『さあ、柊洋一アンラマンユを殺して』
「ちょうえ!? ボロ雑巾のコイツにとどめ刺すの!?」
ガイアは無表情で俺に包丁を握らせる。って包丁どっから出した!
『首を斬るか、腹を刺すか好きにしていいよ?』
「怖えよ!」




