第24話 紗香の力の影響!?
エレン爺いの工房の窯の部分が消し飛んでやがる。なんだ? ニュースでよく見る様な爆発現場みたいになってるぞ
……焦げ臭いし。
「エレン爺い、生きてるかー?」
「エレンさーん! 大丈夫ですか?」
瓦礫に埋まるエレン爺いを発見し、2人で声をかける。
「ワシャシャ、女神の装備とはなんちゅう硬さじゃ。これは研究しがいがあるの、ちょっとしか削れんかったわい」
瓦礫から飛び出し、豪快に笑うエレン爺い。
ん? ちょっと削れた? あれ破壊不能じゃなかったか?
「エレン爺いあれ、破壊不能らしいけど、削れたの?」
「ワシャシャ、なんでもやりようがあるもんじゃよ。鎧の端っこ削ったのは良いんだけどな? 加工しようと窯にぶち込んだら爆発しおったんじゃ!」
爆発したのに嬉しそうに笑ってるやがる。Mか?
「女神様の装備を削るなんて、エレンさん、凄いですね……」
光一、怒らないのか? 装備を削られたんだから怒っても良いと思うんだがな
「すまんな光一。しかしあの女神が作った装備、削った場所から再生しおったわい。鍛治師としては不気味過ぎる装備じゃわい」
ゲラゲラ笑うエレン爺いに、光一は苦笑いをしている。そりゃ苦笑いにもなるか。エレン爺い反省してないし
『あけてー! お願い! 中にいれてよー!!』
ん? あの独特なロリボイスは? 嫌な予感がするぞ。蘭が屋根の上から舞い降りる。
「洋一、アナスタシア様が来てるよ。開ける?」
無視、無視! こないだはあいつのせいで、コポォちゃんが来たんだしな。
「開けない、絶対に。なんならこっちから攻撃しようぜ!」
「私はやらないよ」
蘭の回答は想像通りだ、だが俺にはまだ強い味方がいるだぜ。
「リュイ! 敵襲だ! 上空に向けて最大出力で雷をぶっ放してくれ!」
『敵!? また魔王の仲間ね! 今度はコポォちゃんの時みたいにはいかないわよ! くらえ! 魔物め! 無に帰りなさい! 雷龍の閃光!!』
雷光が、ドラゴンの姿に変わりターゲットへ向けて天空を駆けていく。
『いけー!!!』
「奴を殺せー!!!」
俺とリュイの声が重なり、アナスタシアを雷のドラゴンが貫く。
『ほぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!』
「悪は滅びたな」
『イエーイ!』
黒こげのアナスタシアが落ちて行く。
「あっあいつ、落ちたな」
「よっ洋一君! 僕見に行ってくる!」
光一が慌てて走って行く。
『そう言えばノリでぶっ放したけど、あれなんて魔族なの? 四天王?』
リュイはアナスタシアだって、気づかなかったのか?
「アナスタシアって悪魔だな」
『へーアナスタシアね、何処かで聞いたことがあるような……』
「リュイ様、アナスタシア様は女神ですよ」
蘭の言葉にリュイか固まった、ギギギギと錆び付いたロボットの様な動きになってるな。
『蘭? じょ冗談よね? ね? ヨーイチ?』
リュイがめちゃくちゃ怯えてる。
「アナスタシアは悪魔だから問題ない」
あんなの神でもなんでもない、日本の神様を見習えってんだよ。
「はあ。リュイ様、光一がこっちに連れてくるからそしたら確認してみては?」
『うっうん……凄く逃げたいけど』
黒こげの物体と光一がこちらに歩いてくる。
「光一、そんな奴に触ると不幸になるぞ」
『おのれ! 悪魔めええ!! 結界が前より強くなってて入れなかったから声をかけたのにいい』
俺は無言で、ゴブリンの棍棒を構えアナスタシアに突きつける。
『ひええ!! お許しを! お許しを!』
アナスタシアは即座に土下座をした、コイツプライドないのか?
「洋一、それで脅すのはやめなさい」
蘭に嗜められてしまったが俺はやめないんだぜえ
「お前さ、探さないでって言って消えたくせに、もう戻って来たのか?」
半眼で睨みながら、アナスタシアに聞くと
『いっいやー、あのですね、私の装備が壊されたから私の転移者がピンチかなーと。後、貴方達が匿っている転移者の事で話が……』
アナスタシアを支えていた光一が、アナスタシアを突き飛ばし距離を取る。優しい光一が、あんな事するなんて珍しい。
「例えアナスタシア様でも、紗香さんになにかするつもりなら僕は貴女を倒す!」
光一がめちゃくちゃ怒ってる、アナスタシアはアナスタシアで、いきなり光一に突き飛ばされ、敵意を向けられ涙目になってるし。
「光一、この悪魔がまだなにかかするって決まった訳じゃないんだし」
光一は、早とちりしすぎだな。
「リュイ様をけしかけた洋一の台詞じゃないね」
「それはそれ、これはこれだよ蘭」
アナスタシアは、正座をさせられている。正座を提案したのは光一、河原で正座って悪魔的な発想だな。新しい拷問かな? ズボン履いていてもあれは痛いぞ。
「んで? 紗香さんがどうしたって?」
『あっあの方の力は、いっ異質過ぎて、魔力大活性のスキルは今、無差別に働いてしまって、その範囲が魔獣の森全体に及んでいて、魔王も裸足で逃げ出す魔境に変わってしまったので……』
「で?」
『封印させて貰えないかなーひっ!』
光一から漏れ出た殺気に怯えるアナスタシア。
「光一落ち着いて。その力だけを封印するんですか? それとも紗香本人を封印するんですか?」
蘭が光一を諫め、アナスタシアに質問をする。紗香さん本人を封印するって話なら、棍棒を使う事もやぶさかではないな。
『力だけでひゅ』
「デメリットは?」
『とっ特には……封印するのはスキルだけなので、私がやれば失敗も無いし』
「怪しいな」
光一はほっとしてるが、俺はこいつを全く信用してない。基本的に神を自称する奴等はまともじゃないからな。
『こっこのままだと、神獣様の結界の中は安全なんですが、力が地脈を伝わり魔獣の森が活性化して、モンスターハザードになって世界が壊れちゃうんです!』
世界が壊れると来たか、オーバーな奴だな。
「洋一、紗香さんを連れて来て」
は? 蘭はこいつを信じるのか?
「なんでだ? こいつは信用出来ないぞ?」
「魔力の流れは私も気付いていたし、周辺のモンスター達が、以前に比べてそこそこ強くなっているのは事実なの」
「だから信じるってのか?」
「紗香は私の魔法も弾いちゃうし、回復魔法も効きが極端に悪いの。スキルを封印したら普通に回復魔法も効くようになるはず。今後大きな怪我をした時に、今のままじゃ助けが間に合わなくなるよ。良いの?」
それは非常に不味い、だがこいつを信用するのはなあ。
「私が監視するし、少しでもおかしな真似をしたら首を斬り飛ばす。それなら良いでしょ?」
蘭の言葉にアナスタシアが青ざめ震えている。斬り飛ばすところは見たくないな。
『あっあのちゃんとやりますから、私の世界のピンチなので』




