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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第十一章 禁忌の中の龍の国
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第231話 そうだ、悪神を生贄にしよう


 声が出た、身体も動く、アナスタシアを苦しめ、蘭を押さえ付けてる奴も薄っすらとだが見える。俺は蘭を押さえ付けている鬼を蹴り飛ばし、アナスタシアの方へ走り、アナスタシアの首を絞めている鬼にドロップキックをかます。


「おらあ! その手を離せええええ!」


 青い鬼が手を離し、俺を睨む。五芒星を顔につけ、五芒星の中心から鬼の単眼が覗いていて、なんとも不気味な鬼。


 だが俺はそんな奴に構ってる暇はない! 今はアナスタシアを救助しなければ!


「アナスタシア! 大丈夫か! しっかりしろ!」


 アナスタシアが息をしていない、アナスタシアの頬を叩く、反応が無い。俺は何度も頬を叩く! 戻ってこいアナスタシアあああ!!


『痛あああい!』


「おげらっ!」


『ほっぺが腫れるでしょ!』


「痛えなあ……。心配したんだよ……」


 俺の呟きにアナスタシアの顔が赤くなる。


『今はそんな場合じゃないでしょ!』


 鬼達は星冥の前に佇んでいる。


「もう鬼なんて怖くないからな! 押さえ付けようとしても無駄だからな!」


「そんな事はしないさ。押さえ付けなくても、殺す事は簡単だけど、そうするとそこの柊紗香が自決しそうだからね。せっかく世界の生贄になりたいって思いを無碍にするのは、朕の主義に反するからね」


 紗香さんが自決って……。そうまでしなければならないのか。


「自決も糞も世界の生贄になったら、自決と変わらないじゃねえか! 俺達は認めねえからな! 悪神でも糞親父でも生贄にすりゃ良いんだよ!」


 俺の言葉に星冥は楽しそうに笑う。


「笑ってんじゃねえ! バカにしてやがんな! 悪神だって神なんだろ? なら生贄にはちょうどいいじゃないか!」


 星冥は御幣を振り、鬼達を消す。


「神獣は、柊洋一とそこの女神と違って利口だね。そうか君は、古い血筋の子孫か。本能的に朕の力を覚ったんだね」


 古い血筋? 確かに蘭の血筋はめちゃくちゃ良いが、古いって程古いのか?


「蘭にはなにもさせないからな!」


『そっそうよ! 私だって蘭を護るんだから』


「猶予をあげるよ。アルテミスが殺される前に、悪神を倒しなよ。アンラマンユを討てれば、朕がアンラマンユをこの世界の核にしてあげよう。負ければ、柊紗香だけを連れてこの世界の生贄にする。その過程において、君達が死ぬ事になっても朕には関係がないからね」


 糞ビッチが殺される? それは別に良いし大歓迎なんだが、この場合紗香さんの為にも助けなければならないのか……。


「柊洋一、君は何故そんなにアルテミスを怨む?」


「俺に邪神の因子を混ぜて、子供にして、殺そうとしたからだ」


 糞ビッチだけは、絶対に許さねえ。


「元の身体に戻りたい? 不思議だな。今の身体は若く更に精龍人にまで慣れたのに? 寿命から見ても、神獣と長く過ごせるよ?」


「俺は俺の身体が良かったんだよ。母さんが命がけで産んでくれて、義母さんや叔父さんが育ててくれたあの身体がな。いきなり子供にされて、息子の毛を奪われ……おまけにEDにされたんだぞ!」


「はははははは。君は面白いね。死神を操作した甲斐があったよ」


 死神を操作? 死神ってまさか俺と蘭を殺したってアルテミスが言ってた……。


「その通り、死神が狙った相手を間違えると思うのかい? 仮にも死を司る神だよ? 間違いなんて怒るはずがない。アルテミスに厳罰に処されちゃったのは少し申し訳なかったかな」


「俺と蘭を殺したのはお前だって言うのか?」


「当たりだよ。君はノーデンスの子だからね、世界の近郊を保つ為には仕方なかったのさ。ただでさえ対になる世界で、こちらの世界には地球人を呼び出す術がある。女神もまたこちらの世界に地球の理から外れた者を導く役目もあるしね。わかるかな? 君達、理から外れた地球人はこの世界の潤滑油なんだよ」


 蘭を殺してよくも……絶対にコイツは殺す。しかし理から外れたって……


「思い当たらないかい? なら説明しようかな。


 そこの柊紗香と言う人間は、産まれながらに、スキルを備えていた。魔力大活性をね。


 光一と言う少年の魂は聖人君子よりも優しく綺麗な魂を持っていた。


 桜と言う女は、地球人でありながらこちらの称号を有していた。


 君の身近に3人にもいる。歴代勇者や、他にも召喚された者達にも、理を外れた理由があったのさ。そしてこの世界で生き鍛えられた魂こそが、この世界の潤滑油になる」


 光一が優し過ぎたのにも理由があったのか、確かアナスタシアも光一の魂が綺麗だったみたいな話をしてたな。


「アナスタシア知ってたのか?」


『私は、地球の輪廻から外れてしまう魂に選択肢をとしか……』


 アナスタシアも知らなかったのか。


 星冥は俺達に背を向け、天井を見つめる。


「毘沙門天、いるんだろ? 様子を伺っていないで入ってきたらどうだい。君の目的もまたアンラマンユなんだろう? だからこちらの世界に干渉し、正義と悪を送り込んだ、どちらかがアンラマンユに辿り着き、漁夫の利を得る為に。送り込んだ者達が、期待外れで柊洋一に目をつけた、そんなところだろう?」


 星冥が御幣を十字に切ると、デカイ数珠の様な物に拘束された毘沙門天(ヴァイシュラヴァナ)が地面に転がされる。


『御主人! 久々の再会でこの扱いは、不遜ですな! 

我も一応神なのですぞ!』


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