第224話 悪意がなければなんでもあり!?
2人に子供扱いされ、ちょっと不満だが、次に行く国について考えなければならない。神殿の場所も曖昧なんだよな、こっちに来てから神殿レーダーと邪神センサーの反応が一切ないし。さっきの鬼にも反応しなかったし……。数少ない取り柄が使えないとは……。
『ちょっと神殿の浄化と結界を張るから、ガギュウと蘭もついて来て! 私の力はまだ戻ってないから、私だけじゃ力不足だから』
おお! アナスタシアが素直にお願いしている。頭を下げてない辺りはマイナスポイントだが、よしとしよう。
「わかりました」
『お断りします』
うんうん、2人とも素直だなって……ガギュウなんで断ってるんだよ! お前の住処だぞ!
『ちょっとガギュウ! なんで断るのよ!』
「そうだぞ! お前の住処に瘴気が溢れたりしたら、大変なんだぞ? 意識も奪われちまうし……姿も今の雄々しい姿から、アンデットみたいになっちゃうんだぞ? 嫌だろ?」
また潤んだ瞳で俺を見てやがる。なんなんだこいつ? 俺そんなに変な事言ったか?
『雄々しいだなんて……それにそこまで、僕の事を心配してくれるなんて……君の為に全力を出すよ! もう奴等が愛の巣に侵入出来ないように! 行くよ女神にそこの新しい神獣!』
凄い勢いで喋ると、蘭とアナスタシアを連れガギュウが去っていく。
『旦那様、良かったのか?』
「良かったってなにが?」
『ガギュウは旦那様と番になろうとしてるぞ? 旦那様が男色じゃないなら、きちんと断った方がいいと思ってな』
は?
「いやいやいや、それはないでしょ。俺の説得に心を打たれたんじゃ……」
『思い当たる会話はないのか? 良く思い出してみろ』
恋、ドキン、運命、神の導き、愛の巣……導き出される答えは……。
「真実はいつも一つ!」
師匠がドヤ顔で、某探偵の真似をした後、アナスタシア達を追いかけ神殿に行く。それを言うためだけに、戻ってきたのか。
「エロス枠はもういらないのに……」
『ヨーイチは男にモテモテね!』
リュイめ、元気になった途端からかいにきやがったな。
「リュイ、言っていい冗談と悪い冗談があるんだぞ?」
『そんな事より、ヨーイチ次はどこの神殿に行くの? 後4つ位行かなきゃなんでしょ?』
俺の貞操の危機をそんな事で流しやがったな!
「そう言われてもなあ、神殿レーダーも邪神センサーも反応しないんだよ。だから俺じゃ何処が近いかわからないんだよなあ」
『近い神殿か? なら天虎か月兎の神殿だな。天虎は、多少好戦的だが、話が通じない事もない。月兎は、妾も会ったのが一度きりだから、よくわからないんだ。創造神の他にも月の神も祀っていると話していた気が……』
月の神って糞ビッチ絡みかよ。
「よし天虎にしよう。月兎はまあなんだ、気が向いたら行けば良いだろ」
『妾は別に構わないが……』
「リーさんも一緒に行くの?」
俺の言葉にリーさんが、びっくりしている。
『妾が行かなきゃ場所がわからんぞ! だから妾もついて行く! 旦那様は弱いから護らなければならんしな』
「おっおう……」
なんでそんなに必死なんだよ。ちょっとヤンデレかしてないか? ヤンデレはやだぞ?
『じゃあ次は虎かあ! 虎次郎みたいな感じかなあ?』
『虎次郎とは、旦那様のそばにいた魔獣か? 天虎はもっとでかいぞ。銀の毛に黒い模様、妾達龍族に匹敵する体躯に、強い牙と強い爪を持っている』
銀と黒かあ、普通の虎とは違うのかなあ。
『あー! もう行っちゃうつもりですか? まだ血を貰ってないのに!』
メチルさんが、俺の腹めがけて突っ込んで、早っ! 避けられない!
「グフォッ!」
『血をよこせー!!』
ひっひええ! 犯される! 血を奪われる!
『メチル! 旦那様から離れぬか! 旦那様の血をどうするつもりだ!』
『ごっごめんなさい、この人の血を飲んでから、身体が熱くて、もっと飲みたくて飲みたくて。ここから出て行くと聞いてから、いても経ってもいられなくて』
メチルさんは、申し訳なさそうな表情をしているが、俺を離す気はないらしい。
「メチルさん! 血ならまた少し渡しますから、話してくだしゃい!」
『はい!』
元気よく俺から飛び退き、メチルさんが、餌を待つ犬の様な表情をしている。
「ちょっとだけですからね」
言った瞬間に、メチルさんは俺の指に噛みつく。
「やっぱり痛あああああい!」
『あむあむあむあむ!』
メチルさんが吸い付いて離れない。
『メチルもう良いだろ! 旦那様を離さぬか!』
リーさんがメチルさんを引き剥がしてくれたが……メチルさん怖すぎるよ! ヤンデレよりもヤンデレだよ! バンパイアかなにかなのか!?
『ヨーイチも大変だね。メチルさんも変わってるし、変わり者ばかりに好かれてるし』
「大変だと思うなら助けてくれよ!」
『えーだって悪意ないし』
悪意がなかったら、なにしてもいい訳じゃないないんだぞ!
「俺が犯されてもいいのか!?」
『ヨーイチは大袈裟だなあ。皆んなヨーイチが好きなだけだよ、愛し方は色々あるけど』
「その色々が問題なの!」
『アタチに言われても……好かれてるのはヨーイチだしい』
正論はいらないんだよー!




