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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第十一章 禁忌の中の龍の国
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第222話 黒い鬼と鬼を斬る者


 この牛野郎、絶対に許さねえ。いつか復讐してやる、とか考えている内に何故か、周りはなごやかムードになっていた。


「おい、牛野郎! お前に質問がある、瘴気とかは大丈夫なのか?」


『瘴気? ここに瘴気は出ないよ。そう言う風に出来た土地だから』


 そう言う風に出来た土地ってなんだ? 魔術的な意味でもあるのか?


「なあ蘭、師匠、豪爺いそう言う事ってあるのか?」


「無い訳じゃないよ。ここには龍達がいるからね、今はふざけているけど一体一体が一騎当千の龍達だよ。邪神の眷属も入り込むのは厳しいんじゃないかな? あの家族はかなり強いよ?」


 恥ずかしくなりうずくまっているリーさんを見ながら笑う師匠。


「なるほど……。師匠、この牛野郎は弱いよね?」


「弱い、めちゃくちゃ弱い。なんで神獣やってんのか不思議な位にね。だから焼肉にしようと思ったんだけど」


 師匠がガギュウをニヤリと笑いながら見つめると


『ヒッ! 神獣を食おうなんて、いかれてるぞ! 女神! お前なんとか言えよ!』


『なんで私が……むしろあんたと初対面なんだけど? 助ける義理はないわね』


 おお、アナスタシア強気だな。蘭を盾にしてる部分は認められないが。


『ぐっ! 神獣を盾にしてる癖に……!』


 ガギュウが、地団駄を踏んでいる。


「はあ。とりあえずリーさん達ご家族には邪神の事は説明したし、次の国に行く?」


「まあここが安全なら」


「安全じゃないよ? ほらもう来た」


 師匠が見ている方向の空間が割れ、そこから黒い翼を持つ異形の化け物が無数に現れる。


「おわっなんじゃこりゃ!」


 さっきまで股間を眺めていた龍達が、一斉にブレスを放つ。ブレスが異形の化け物に当たり、数を減らして……減ってない!?


「あれ? 俺の見間違いか? 数増えてない?」


「増えてるわね……ブレスで消滅する数より多くで出来ているみたい」


「よーし行くぞー!」


 師匠が剣を横なぎに振るう。


━━ギチギチギチギチ


 不快な音が響く、まるで世界が悲鳴をあげている様だ。


「よーし。片付いたっと」


 異形の化け物達は、細切れになって消えて行く。


「ラスボス出てくるかなあー。割と気合いいれたから、空間の中まで届いた筈なんだけどなあ」


「━━クックック望み通りの展開のようだぞ」


 師匠が斬り裂いた場所から、上半身だけの黒い鬼が現れる。


「痛えなああああ。俺の下半身と手下を斬り裂きやがってええ。ゲヒャヒャヒャ」


 鬼はゲラゲラと大声で笑う。


「堕天使ぽい、化け物の親玉が鬼って……違うだろ! そこはもっと高位の天使だろーが!」


「━━クックック俺がやろうか?」


「はっ! 彼奴は僕の獲物だよ!」


 俺のツッコミを無視して、豪爺いと師匠が、俺が俺がと言い合いをしている。


『龍族の誇りを見せてやる! 皆行くぞ!』


 そうこうしている内に血気盛んな若い龍達が、鬼に向けて突撃して行く。


「餌がきたなああ」


 鬼は下びた笑いを浮かべ、飛んで来る龍達を掴み、食い始める。


『彼奴! 同胞を!』


 リーさんが飛び出そうとするのを、ゴロウマリさんとケスディア婦人を押さえ付ける。


『娘よ! 落ち着け! 同胞よ無闇に近づくな!』


 ゴロウマリさんの怒号が響く。


 鬼の身体が再生して行く、再生した鬼の姿には鱗と翼、それに尻尾が生えていた。


「食べた種族の特性を吸収してる」


「どっどうしたら、リュイ! 雷砲を撃つぞ!」


『うっうん!』


━━バチチチチチチチチ


 俺は雷砲を取り出し、リュイは雷砲に魔力を貯める。


「めいいっぱいで行くぞ!」


『ヨーイチ! いつでも撃てるよ!』


「くらえっ!」


 雷砲を鬼に向けて放つ。


「ああん? ゲヒャヒャヒャ!」


 鬼は息を吸い込む動作をし、次の瞬間黒色のブレスを放ってきた。


 雷砲の力と、鬼のブレスがぶつかる。


「くらいやがれええ!」


『いけえええ!!』


 強烈な閃光が走る。


「ゲヒャヒャヒャ、俺のブレスと互角とはやるなあ。喰ってやるから待ってろ」


 鬼が穴から飛び出してきた。鬼が地面に着地すると、地面はヒビ割れ、鬼の身体からは黒い煙が吹き出す。


「━━的がおりてきたぞ」


「そうだね」


 2人は獰猛な笑みを浮かべ、その場から動かず同時に剣を振るう。


「━━聖破魔斬(セイハマザン)


「見様見真似亜空狼(あくうろう)


 豪爺いの剣閃は銀色、師匠のは大和さんの技を模している様だった。2人の技が黒い鬼に当たる瞬間、鬼は龍鱗を立たせ、身体を固くし身を守る様な動作をする。


「ゲヒャヒャヒャ効くかあああ!! あ」


 黒い鬼は、斬撃が当たると同時に塵となり消えた。


「師匠今の技って」


 師匠に声をかけると、不機嫌な顔をし腕を組む。


「だめだー上手くいかない。不知火は神刀じゃないから無理だよなあ」


「━━クックック。敵は倒したんだからもういいだろ?」


「ちょっと練習に付き合ってよ」


「━━やれやれ」


 師匠と豪爺いは物凄いスピードで剣を打ち合っている。


「なあ蘭、俺いらなくないか?」


「それを言うなら私だってなにもしてないよ」


 俺達がため息をついていると


『アタチの雷砲が負けたあああ! あーん! あーん!』


 リュイがギャン泣きしていた。


「いやリュイ、あれは仕方ないだろ……龍族より強かったんだぞ? 師匠と豪爺いが特殊なだけで」

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