第221話 マーラの悲劇?
それから俺は、入り口で待っていてくれた、蘭とケスディアさんと共に龍の巣を一周する。更には、ケスディア家の前で式典と称したお祭り騒ぎに巻き込まれる。
俺はずっとメチルさんの背中の上に立たされている、座ろうとすると、メチルさんから説教をされてしまう為座る事すらできない。
色とりどりの龍やドラゴン達が、次々に現れ俺に頭を下げ、股間を拝んでいく。
「洋一、どう言う事なの? なんでみんな洋一の股間を見ながら拝んでいるの? ありがたや、ありがたや、これで子孫繁栄だって口々に言ってるけど……」
「はははは。皆んなインポテンツになればいいのにな。あの先代、絶対許さねえ。いつかブン殴る、幽霊だろうとブン殴る」
「はあ。なにがあったのさ……洋一ちょっと記憶を見るからね」
「好きにしてくれ。俺は今先代への復讐で頭がいっぱいだからな」
あの先代め、絶対許さねえ。こんな恥ずかしい目に合わせやがって! ただでさえEDって事実だけでストレスフルなのに!
「洋一、大変だったんだね。まっまあ武力を使う感じじゃなくてよかったよ。そう言えば、この国にも神殿があって、神獣がいるんだよね? どんな神獣なんだろ?」
「……神獣? あっああ忘れてた。メチルさんかリーさんどっちでもいいんだけど、神獣がいる神殿って知らない?」
俺の問いにメチルさんが、即座に反応する。
『神殿ですか? あれ確かリーヴェルトさんが……』
『めっメチル! その話は妾がするから、妾が話すから……』
メチルさんの言葉を遮ってまで、リーさんが話したがるなんて、まさかリーさん神殿壊したのか?
「リーさん壊しちゃったの?」
『ちっ違う! あそこにいる神獣は、妾の知己なのだが……少々問題が』
言い淀むリーさん。昔からの知り合いなら、紹介してくれても良いんじゃないのか? それとも紹介できないような危ない奴なのかな?
「リーさん、その神獣って危ない奴なの?」
『あっ危なくはないぞ!?』
「じゃあ会いに行こう」
『それはちょっと、できればやめてほしいなあなんて……』
渋るなあ、なんでなんだろ? 気になるなあ。俺がリーさんの顔を見つめていると、リュイが飛んできた。
『ヨーイチ! お帰り! 龍族の王様になったの!?』
「いや、違う……子宝の神だと思われてるらしい」
『凄いじゃん! あっさっきね! 葵と神殿見つけてね、葵が牛を捕まえたの! アナスタシア様は凄く騒いでたけど』
「そうか、そうか。師匠と牛を捕まえたのかあ、偉いな!」
「洋一、それって神獣なんじゃ」
「え? まさかあ?」
『離せえ! 僕は食べ物じゃない! リーヴェルト、そこにいるのはリーヴェルトじゃないか! 助けてくれ! こいつが僕を焼肉にするって言って、離してくれないんだ!』
『ガギュウ……』
師匠が、黒色で2本の赤と黄の角を持ち、黒い瞳の体長3mはあるだろう、立派な牛が師匠に縄で引き摺られ、涙目になっている。
更に喋る牛はリーさんに助けを求めてる……これ完全に神獣だろ。
『リーヴェルト! 助けてくれないと、君が幾つまでオネショをしてた事や、あれやこれやこの場でぶちまけるぞ!』
助けて貰いたいのにリーさんを脅すなよ。リーさんが、耳を押さえて丸まっちゃったじゃないか。
「師匠! 多分それ神獣なんで、食べれませんよ!」
「火を吹いたり雷を出すから、神獣でも美味しいかなって思ったんだけど」
「多分、腹壊しますよー」
「そうかあ。あっ洋一君! EDなのに子宝の神ってどんなギャグなのー!?」
何故それを! しかも今叫ばないで! EDの意味を知らないドラゴンや龍達が口々に、いーでぃ、いーでぃって連呼し始めてるからあああ!
「それは言わないでえええ!」
『離せええええ!』
♢
蘭が、リュイとアナスタシアを誘導し、師匠から神獣であるガギュウを解放させる。豪爺いは、俺を労ってくれた。子宝とEDと聞こえる度に顔を逸らして笑っていたが。
『全くなんなんだよ! 僕は昼寝してただけなのに。しかも凄い力だし……あー怖かった。精霊に女神に人間がいるってだけでもびっくりしたのに』
「精霊や女神ってこの国にはいないもんなの?」
『おわっ! 普通に話しかけてくるなよ! 人間? いや人間じゃない? 精龍人か? あーマーラの後継者か。君も名前で悩んでるの? マーラは異世界の勇者に会ってから、凄く自分の名前を嫌ってたからさ』
マーラで絶倫、そりゃ嫌だろうな。先代は、異世界の勇者に会ったのか悲劇だな。会わなければ称号だけで済んだのに……。
「いや……俺は名前は普通なんで。称号と子宝の神って言われたくないだけで」
『あーもしかしてまだなの? 精龍人になったのに情けないなあ。子孫繁栄は大事だよ? どんな生物だろうとさ。子は宝なんだから』
この野朗! 童貞を弄りに来やがった! フラグがあっても称号とEDでへし折れちまうんだよ!
「うっうるさいよ!」
『もしかしてさ、不能者なのかな? たまにいるんだよね。男性器が機能してない奴がさ、そうなると子孫を残せないけど……大丈夫なの?』
「やっやめろおおお!」




