第216話 壁が大きければ大きい程愛は燃え上がる
腹が爆発したかと思うほどの大衝撃、照れ方が過激するぜよ……ゴロウマリさんよく耐えれるな? 照れる度にぶっ飛ばされていたら下手したら死ぬぞ? ゴロウマリさんもピクピクしてるし。
「死ぬかと思った……」
『母さんのパンチを受けて、普通に立ち上がるとは……旦那様は、やはり規格外じゃな』
「えっ? 腹が爆発するかと思ったけど?」
『普通なら貫通している』
「まじで?」
『マジで』
ひっひええ! なんで助かったのかわからないけど、迂闊に照れさせたら、腹に穴が空いて死ぬのかよ!
『龍族の父さん以外には、耐えられないと思っていたんだが……。旦那様聞きたいんだが、妾より母さんの方が良いのか?』
まさかのリーさんからもパンチフラグ!?
「いっいやホゲっ!」
あっアナスタシアああああ! 俺の股間を蹴りやがってええ! 今はリーさんのターンだろうがあああ!
「ふっああああああ」
『私をゴブリンと同列にした罰よ!』
くそおお! アナスタシアめ!
『で、どうなんだ? 妾より母上がいいのか?』
「ふあああ!!」
痛くてふあああしか言えない! ケスディア婦人は、顔を赤くして、いやんいやんしてるし。
『やはり、母上の方が』
拳を握りしめてるううう!? って言うかエロス! 彼奴なにしてんだよ! 助けろって……エロスの腹に穴が開いてるう!?
『いやー咄嗟にヨーイチ君のダメージを肩代わりしたら、腹に穴が開いちゃったよ。びっくりしたなーもう! 酷いと思わない? 野蛮だなあ』
腹に穴が開いたまま、平然と喋るエロスがホラー過ぎるしグロ過ぎる!
『ふん! あっ中身が』
「『ぎゃああああああああ!!』」
アナスタシアと共に大絶叫。臓器が飛び出る絵面とか、R18指定だろーが!
『ところでさー、そこのドラゴンの小娘はさあ! ヨーイチ君を精龍人にしちゃったんだよねえ?』
なんだ? 穴あきエロスから剣呑な気配が漂ってきたぞ? そもそも精龍人になったところでエロスには関係ないが?
『よくやった! 君ナイス判断!』
は? よくやった?
『これでヨーイチ君は、性欲の化身になれたわけだから、僕と結合できるわけだ! やったねヨーイチ君!』
やったね、たえちゃんみたいに言ってるが、結合なんて絶対やらねえぞ!
「結合なんてするかよ! アホか!」
『辛辣うう! だがそれが良い!』
顔を赤くして身悶えるんじゃねえ! 迂闊にツッコミを入れると、興奮しやがる。こいつを呼んだのは誰だ! いや俺か……。
『とりあえず結婚は愛の神として認めないからね! それじゃ!』
問題解決しにきたんじゃないのかよ! なにが愛の神的に認めないからねっだよ!
『神がここに、妾と旦那様の結婚を認めないとは……これは愛の試練じゃな! 旦那様共に頑張ろう!』
障害を前に2人の愛は燃え上がるってか!?
「あのな、俺結婚とか……いやなんでもないです」
ケスディア婦人にめちゃくちゃメンチ切られた……これは脅迫じゃないのか? 師匠達は本格的な野営の準備してるし……なんだキャンプ気分かこの野郎!
「イテッ!」
小石を頭にぶつけられた……めちゃくちゃ痛い。なにも言ってないのに……
「━━クックック、龍人が大人になる為の儀式か。洋一の周りは話題に事欠かんな」
「豪爺い! 助けて!」
「━━試験で強くなるなら、受けておけ。この先なにがあるかわからんのだからな。結婚するしないは別としてもな」
頼みの綱の豪爺いもだめか、でももし仮に強くなるなら受けるべきなのか?
『旦那様、試験を超えて成龍に成れば強くなる事は間違いないぞ。だが、試験は厳しい。何年かかっても、突破できない奴らもいるからな。妾は一発だったが……』
超難関大学の受験みたいだな。合格できるのか? 鷹匠の試験は蘭がいたから受かった様なもんだし、公務員試験はめちゃくちゃ落ちたしなあ。
俺が難しい顔をしていると
「━━なんでもやってみるもんだ。余りにも拘束されるなら、俺と葵と蘭で力強くで、脱出すれば良いだけだからな」
豪爺いが、頭を撫でてくれる。無骨だが優しい撫で方。
蘭が俺の肩に停まる。
「洋一、番にならないにしても、成龍になれたら大人になれるかもよ? 物は試しだから頑張ってみたら?」
「おっおう。わかったよ蘭。リーさん、精龍の試験やってみるよ」
『流石妾の旦那だな! 妾達外野は一切サポートできないが、旦那様なら大丈夫だな!』
リーさん、物凄く意気込んでいるけど、サポートが一切できないってやばくない? あっでも武器はいいのか?
『因みに武器も使用不可、知力、体力、魔力のみだ! 旦那様の真価が問われるぞ!』
はい無理ー! 俺が勝てる要素が0になった……ガチバトルとかなら100%無理だな。
『旦那様、顔が青ざめているが、大丈夫か?』
「いやあははは」
笑うしかないってのはこう言う事か……。
『さっ試練に行くぞー!』
リーさんに引きづられる俺、それを見守る仲間達。誰も助けてくれないなんて! なんて世知辛いんだ!
「せめて試練の内容だけでも……」
『受ける内容は、千差万別、個人個人に違うから妾からはなんとも言えない。だが旦那様なら問題ないだろう』
その期待と信頼だけで、押し潰されそうだぜ……。




