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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第十一章 禁忌の中の龍の国
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第209話 お爺ちゃんと一緒


 「回復が効きにくいけど、アリメリアの術式を見た私なら治せるはず、いや治してみせる!」


 魔法と解呪の同時進行をする蘭、身体に相当な負荷があるのか、苦悶の表情を浮かべている。


 リーさんが俺達に遅れてやってくる。


『悟、いや悟の親? だが何故……ええい妾が呪術を解呪するから、御主は回復に専念しろ! 旦那様は声をかけ続けろ!』


「「おう!(はい!)」」


 蘭は直ぐ様、豪爺いに回復魔法をかける。


「豪爺い!! 豪爺い! 豪爺い!」


『うるさい! 集中できん! 一辺倒の言葉しか言えないなら、手でも握っておれ!』


「ごっええ……」


 何故かリーさんにめちゃくちゃ怒られた。緊急事態なのは俺でもわかるよ? だけどさ俺だって豪爺いを心配してるんだよ? それをうるさいってさあ。


「━━クックック。洋一、変な顔をするんじゃない。笑って傷口が開くだろう?」


「豪爺い! 大丈夫なの? って言うかなんでこんな傷を……」


「━━ああ。邪神の眷属を潰して回っていたんだがな……向こうにいた、ピエロにとどめを刺す瞬間に、油断した」


 油断って豪爺いまさか。


「ピエロってあの」


「━━地球人なんだろう? 殺してくれと日本語で頼んできおったからな。手を緩めた瞬間にアンラマンユの御使に、呪術付きで刺され……グッハ」


 豪爺いが口から大量の血を吐き出す。


「━━洋一、血に触れるんじゃないぞ。なにが起きるかわからんかな」


 豪爺いは力なく笑い、俺の頭を撫でる。


「豪さん、強めに回復をかけます! 堪えてください!」


 蘭の言葉と共に、蘭の魔力が、さっきよりも強く豪爺いに流れ込んでいく。


「グッ」


 豪爺いが小さく呻く。


『生きてくれ! 悟の話を妾にさせてくれ!』


 リーさんの祈りに似た叫びが響く。



 それから数十分程経つと


「━━洋一、蘭、龍人よ。感謝する」


『まっまだ完治した訳ではない、それ程根深い呪いだったんだ……あまり無理をしないでくれ』


「━━ああ、だがそうも言ってられん。お前が悟の昔の仲間なのか?」


『悟とは少なくない時間旅をした。悟は優しい奴だった、正直何故こんなに優しい男が世界に選ばれたのかわからなかった』


 豪爺いも言っていた、悟さんは凄く優しい人だって。


『悟は倒した敵の為にも涙を流していた。悟が泣くのは決まって、敵味方問わず命が失われた時だった。悟は正義感が強かった、なんにでも首を突っ込み良くトラブルに巻き込まれていたのは玉に瑕だが。悟の周りにはいつも人が溢れていたよ、皆んなが悟を慕い勇者と讃えた、あれ程の男はもう現れないだろう』


「━━悟……」


『悟はいつも言っていた、祖父は厳しい人だったが、正義感が強く、子供に優しかったと。祖父の様な強い人になりたいと常々言っていたよ。御主何故生きている? 時間軸を越えたとしても年代が合わない』


「━━洋一、ここから先の話は別に聞いても面白い話じゃないぞ? それでも聞くか?」


 俺は、豪爺いの瞳の奥が不安気に揺れているのを感じた。だから豪爺いの手を握り


「聞いちゃだめだってんなら聞かないよ。聞いて良いなら俺はここに居る。豪爺いがなにを不安に感じているかはわからないけど、俺は豪爺いに心配しかかけてないけど、豪爺いの事を爺いちゃんみたいに思ってるから」


「━━クックック爺いちゃんか」


 豪爺いは俺の頭をいつものように乱暴に撫でた。


「━━俺は地球で死んだ。悟が消えて直ぐだった、持病でな。その後、俺は様々な神に会った。何故会えたのかはわからん。神々の考え等推し量れる物でもないからな。ヴァイシュラヴァナと出会いこちらの世界に、悟がいた事を知った。直ぐに助けに行こうとしたが、死んで肉体も無い、魂だけの俺にはなにもできなかった」


『ヴァイシュラヴァナ、聞いた事がない神の名だな』


「ああ、こちらの世界には馴染みがない名前だろうな」


 確かそいつって毘沙門天だよな?


「蘭、ヴァイシュラヴァナって神夜や太一をこっちに連れて来た神だよな?」


「うん、そうだね」


 蘭が頷く。


「━━俺をこちらに送れた事に気を良くしていたからな。何人か実験したんだろうな。ヴァイシュラヴァナは俺に言った、御使として働くなら肉体と力をやるとな。俺は悟を助けに行けるなら、悪魔にでも魂を売ると言ってやったのさ。御使になるのは、想像以上の苦痛だった、悟にもう一度会えるならと。その後の悟の状態は、お前達も知っているだろう?」


 悟さんは、氷漬けのままだ。蘭がきちんと創造神の加護を受け取るまで助けられない。俺が下を向くと


「━━洋一、お前が気に病む話ではない。だが洋一、御使や邪神に挑むのは危険だ。俺でさえこの様だ、それでもやるのか?」


 俺は、頭を上げ豪爺いを真っ直ぐに見つめる。


「挑むよ。今から神国にも殴り込みに行くしね、神殿も後五つだし、豪爺いとの約束もだけど、光一も地球に帰してやりたいしね」


「━━クックックなら俺も行こうじゃないか。もう1人の孫まで失う訳にはいかないからな。それにあのピエロのガキも救ってやらなきゃならんしな」


『旦那様も御主も大馬鹿じゃな。悟の祖父よ、妾が力を貸そう』


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