第204話 新たな弱点は尾てい骨
俺の目が覚めると、俺を無視して皆んなでワイワイしていた。もう一度言おう、俺を無視して皆んなでワイワイしていた
「ってなんでじゃああああああ! 俺の心配はどうしたああああ! 胸の穴? 無い! 身体動く! 声出る! よーしってなるわけないだろ!」
蘭が俺の枕の横に帳から降り立つ
「洋一、よかったね。もっ元に戻って」
蘭、元にを無意識に強調してるぞ。俺の身体に異変はない筈だぞ……うん? 尾てい骨辺りに違和感が……
「ちょ!! 俺の尾てい骨なんか伸びてない!?」
「えっいや、別にのっ伸びてないよ!」
蘭め、俺といっさい目を合わさないとは……。まあ仕方ないか、人間じゃなくなるって話だったしなあ。
「あっそうだ蘭、俺人間じゃなくなって、人間と結婚出来なくなっちゃったんだよ……」
俺は身体を起こし、蘭の方へ向く。
「それは別に良いんじゃない? 人間の知り合いなんて、男かオカマしかいないんだし。知り合った女の子は皆んな異種族でしょ? それにそもそも恋仲の人いないでしょ?」
「うっ」
「うっ?」
「うわああああああああああああ!! 異種族なら知り合いいるもん! アーレイとかそこの変な美人の古龍? にはこっ告白されたし! ほっほらハーレム的な、なあ!」
リュイが、俺のそばに飛んできた。そうだリュイにも蘭の間違いを指摘して貰わないと!
『あっヨーイチ寝てなきゃだめでしょ!』
蘭が俺から離れたって言う事は……まっましゃか!
「アバババババババババ!!!」
めちゃくちゃ痺れるぞ……。
『全く!』
「リュイ様やバーニア様やアース様の力を食らっても平然と起き上がっていたのに、なんでアクア様の技は防げなかったのか、リュイ様わかります?」
『アクアはねえ、自然の力を使ったのよ。ヨーイチにはアタチ達の攻撃は効きにくいからね』
「どう言う事ですか?」
『うんと、私達の魔力だけならほらあんまり効かないでしょ? だから自然の中の水の力を利用したのよ。ウインなら風の力を使えば、ヨーイチを切り刻めるよ? アースなら生き埋めかな? バーニアは火山の力を使えばヨーイチを倒せるんじゃない? アタチがやるなら雷が出てる日に、雷をヨーイチに誘導するかな?』
「成る程……」
いや蘭、成る程じゃないから。リュイめ可愛い顔をして俺の殺害方法を延々と語りやがって、実行するなよ。
『アクアは、蘭と葵が引くくらい、精霊王様にガッツリ絞られてるから、ヨーイチも許してあげてね?』
「いやまあ、アクアにも事情があったみたいだからな。堺さんの加護が俺に付いてるから、魔族の仲間だと思ったみたいだからな」
蘭が俺を見ながら、目をパチパチしている。
「洋一、少し大人になった?」
「なんで? 別に普通だと思うけどなあ」
『いつものヨーイチなら、穴開けられたんだから穴開けてやるー! ってアクアに突撃するじゃん』
「しないよ!? リュイの中で俺ってばそんなに野蛮人なの!?」
リュイは、ケラケラ笑いながら師匠の方へ逃げて行く。からかいに来ただけか……
『あっあんた、起きたのね、良かったわ』
アナスタシアがおずおずと話しかけてくる。ん? アナスタシアなんかやつれてないか?
「アナスタシア様はね『わー! わー!』」
アナスタシアが急に叫びだし、蘭の言葉を遮る。
「うるっせ! なんだよ急に!」
『わっ私、桜に用事がって、桜私の小屋にいたんじゃないの!?』
「「あっ」」
蘭とアナスタシアに寝てろと言われ、その場に横になって二人の帰りを待つ。トイレや水はあるが、食料がないあの環境は流石にキツイから、早く助けてあげてくれ。忘れてた俺が言えた事じゃないが……
♢
桜さんは寝巻き姿で、枕を抱えながら大きな欠伸をしている。
「いやー起きたら森がモリモリしてて、どうやっても開かないし、壊すわけにもいかないから二度寝してたでござる。洋一君、また危ない目にあったんだって? 皆んなに心配かけたらだめだぞ」
「すっすいません」
パジャマ姿の桜さんは俺を叱ると、俺のベッドに入ってきた……えっ? これって添い寝? いっいいのか? 落ち着け俺、BE COOLだ。冷静になれ、桜さんは現在魔族が混じってるから、人間ではないと言う事は、フェードインオッケーって事だ。
━━ゴクリ
寝巻きの首の下から、白く大きな物がプルンと動いている、呼吸する度に上下に動く胸、こっこれは! 伝説のノーブラジャーじゃないか!
触っていいかな? いいよね、皆んなワイワイ騒ぐのに夢中だし、蘭もこちらを見ていない! ならちょっとだけ、ちょっとだけなら……
桜さんの目が開き、バッチリ目が合う。
「洋一君、まだ早いでござるよ」
頭を軽く小突かれた。
はっ恥ずかしいいいいいい!!
「すっすみませんでした!」
「おいで」
桜さんに抱きしめられ
「ふぇっ!?」
「あんまり無理しちゃだめでござるよ? 私だって心配してるんでござるからね? 洋一君達までいなくなったら、私この世界で一人きりになっちゃうんでござるよ?」
桜さんは魔族と混じっているから、本当の意味で人族の輪からも外れてしまっている。
「さっ桜さん、気休めになるかはわからないですが、俺の尾てい骨みてください!」
俺は桜さんから少し離れ尻を出す。
「洋一君、これ! 尻尾!? はわわわわわ可愛い!」
桜さんが、俺の尾てい骨をぎゅっと握りしめる。
「ほぎゃあああああああ!」




