第196話 最後の四天王は芸人!?
目を皿の様にして、粗探しをするアナスタシア。恥ずかしいからやめてくれないかな。視線が痛いし。まあアナスタシアはほっておくとして、あーやだなあ。最後の四天王ってどんな感じなんだろうなあ。
「あっホロ○だ!」
師匠がなにかを見つけて騒ぎ始めた。
「ん? あれコポォちゃんじゃん! おーいコポォちゃんああん! 久々だなー! コポォちゃんも城に用事があるのー?」
あれ? コポォちゃんに無視されたぞ? なんでだ?
「洋一、自分に穴を開けた相手とフレンドリーにする人がいたら、その人はいかれてるよ」
「まっまあそりゃそうか」
戦いが終わって、お互い生きていたら、バトル漫画的には友達になるフラグなんだけどなあ。
そんな事を考えつつ、コポォちゃんに続いて俺達は城内に入って行く。
♢
城内の中は聞いた事の無いBGMが流れている。某有名テーマパークの様だ。
「なんかワクワクしてくるな。遊園地みたいだ」
「確かに遊園地みたいだねえ。うん? 洋一君あの乗り物ってなんだろ? 僕にはジェットコースターに見えるんだけど」
師匠が指差す報告に、確かに5両編成のジェットコースターの様な物がある。レールは見当たらない、どうやって走るんだ? 目と口のデザインが入っている、頭の方が入り口を向いているし。
『なにあれ? 乗り物!?』
『独特なデザインだ! あれ? 動くかなあ?』
精霊2人がキャッキャしながら、ジェットコースター(仮)に近付いていく。
「師匠、あれ乗っても大丈夫ですかね?」
「面白そうだし乗ろうか」
アリメリアがジェットコースター(仮)に乗り込み
「貴方達早く乗りなさい。行くわよ」
おお! ナイス、アリメリア! これに乗れるのか!
座席の位置はアリメリア、師匠、アナスタシア、俺、俺の膝に蘭、頭にはリュイとアースが乗っている。
「出発よ!」
アリメリアが掛け声をかけると、車体が勢いよくバックで進み……って
「おわあああああ!!! なんでバックなんだああああ!」
俺は蘭を抱き抱え身をかがめる。安全バーなんて優しい物がないから、俺が盾になるしかない!
『はやいはやーい!』
『これは凄いスピードだ! 着いて来て良かった!』
リュイとアースは俺の髪に捕まって、楽しそうにはしゃいでいる、なんでこのスピードではしゃげるんだよ!
『アババババ! 死ぬ死ぬ死んじゃううう! 中身が出ちゃうー!』
アナスタシアが大絶叫をしている。中身が出るのだけは、なんとか我慢してくれえ!
━━ビチャビチャビチャ
『おええええ!!』
「ぎゃあああああああ!!! ゲロが頭にいいいい!!」
「洋一絶対に動かないでね……」
うっうう! 蘭にゲロを付けるわけにはいかないけど、凄く気持ち悪い……。
「はーい到着。レイラの部屋はここよ」
俺はアナスタシアのゲロまみれ、アナスタシアは吐き過ぎてグロッキー、リュイとアースはゲロを避けて楽しんだ様子。蘭は、魔法で俺とアナスタシアのゲロと臭いを消して、俺の着替えまで出してくれた。嫁力げ半端ない。
「あー臭かった。着いたの? 目の前には壁しかないんだけど」
「そこの穴に金貨を一枚入れなさい」
穴? 本当だ自販機の様なコイン投入口がある。
「金貨って誰か持ってる? 俺アマルナにあげたから、金無いんだけど」
「僕も無いよ」
「じゃあ私が出すわ」
アリメリアよ、出してくれるんなら最初から出してくれよ。
━━ちゃりん
急にBGMが流れ出す、某有名な武富○のBGMに似た音楽が……
「なっなんだ?」
壁が上にせり上がるが、部屋の中は暗くなにも見えない。
「はっはっはっは……お前ら! そこに入れた金はほんとに公平に分けたのかい?」
ステージ中央が光ると、何処からか男の声が響く。分けたって言うか、アリメリアの金なんだけど。
「人は五分だ五分だというけれど、ホントは七三ぐらいがちょうどいい!」
光りが移動し部屋の隅を写す。ブリッジをした半分だけ赤いラバースーツを来た男が現れる。三つ目だし、肌の色は紫だし、パンチパーマだし、筋骨隆々だし、なんなんだこいつ?
「おい! いくら昔のネタだからって丸パクリはやめろ!」
「なんだよもー。ノリが悪いなあ、じゃあこれは?」
再び視界が暗くなり、直ぐにステージ中央が光る。金色のスーツを着てパンチパーマをした男が、アポを持って立っている。
「良いからやめろ! 普段着に着替えろ! 魔王に言いつつけるぞ!」
「えっ!?」
堺さんの名前を出した途端、三つ目の男がいそいそと着替え始める。
「いやーははは。魔王様の知り合いだって言うなら、最初に言ってくださいよ。もうやだなあ、私みたいなしがないモノマネ芸人になにか御用でしょうか?」
しがないモノマネ芸人ってなんだよ……魔王軍四天王じゃないのかよ。
「闇の洞穴に行きたいんだけど、レイラさんの土地らしいから入場許可を貰いたいんだけど?」
「良いよ、崩落したら大変だから気をつけて行ってね? 後魔王様に、新しいお笑いのDVDをまた送って下さいって伝えてね。ネタを仕入れたいからさ」
ネタは堺さんが提供してたのかよ……。しかも簡単に通行許可貰えちゃったよ。




