第190話 毒舌美人
ここがルイアスの滝? 滝なんて見渡す限り何処にもないぞ? 岩肌でゴツゴツしてるし緑もないし……
あそこからちょこっと湧き水見たいのがてるけど、あれを滝とは言わないしなあ。
「これは想像以上に岩まみれだな。蘭、アクアはいそうか?」
「いるよ、そこの湧き水のところに」
いるのかよ! 当然の様に見えないなあ。加護とかスキルが無くても見れる様にならないかなあ
『アクアー! 元気ー!』
『アクア久々ー!』
リュイとアースが勢いよく湧き水の方に飛んでいく。師匠は目に見えて、がっかりしている。アクアは男なんだな。もしくは巨乳か、巨乳の可能性は薄そうだけど。
「うーん見えん。リュイ、アース、アクアに加護をくれないか聞いて見てくれー」
『はーい』
リュイとアースに交渉は任せよう。俺が話しかけても向こうの言葉が聞こえないしな。それにしても、地殻変動ってすげえんだな。どの位の規模だったんだろうなあ。滝の後もないしコケもないし。
俺が辺りを見回していると、リュイが戻ってきた。
『ヨーイチ! アクアが加護あげてもいいけど、ここを元に戻してくれなきゃやだって。ここが元に戻るまで一歩も動かないって。ヨーイチどうするの?』
「うーん滝は無理じゃないか? だって水源ってそのチョロチョロだけだろ? しかも周りは岩だらけだし」
どうしたもんかなあ。滝なんて、栃木県の華厳の滝位しか知らないぞ?
『僕に任せて!』
アースに秘策があるのか?
『行くよー! 大地操作!!』
アースが地面に手をつけると、辺りが揺れ始める。岩が崩れ、砂になりどんどん平らになっていく。平じゃ滝にならないんじゃないか?
「アース、真っ平じゃ滝にならないぞっとおわっ! 揺れる! めちゃくちゃ揺れる!」
『ならこうだ!』
アースの気合いと共に大地がせり上がっていく。
━━ズズン!
目の前には、縦横10m級の岩の壁が出来上がる。
うん、高さはあるんだが、真っ平過ぎじゃないか? 湧き水が湧いてた場所も潰れてるし。
『ひーひー! もうだめ魔力切れた』
あーアースが座り込んじゃったよ。アースって精霊の割にスタミナないんだよな。
『アース、あんたアクアが怒ってるじゃない! せっかくあった水源まで潰しちゃって』
そりゃ怒るよなあ、唯一の湧き水すらなくなった訳だし。
「はあ。私がなんとかします」
蘭が岩の上に飛んで行くと、ズガンッ、ガガガガガガガガガとでかい音が聞こえてくる。
まるで工事現場の様な音だ。蘭は上でなにやってんだ? 土木工事か?
暫くすると音が止み蘭が戻ってくる。
「蘭、なにしてたんだ?」
「水源を貯めれるようにと、水脈から水が出るようにしてきたのよ。ここの水脈かなりすごいよ」
凄いのか、水質とか水話はよくわからかんが、水の通り道とか作らなくていいのか?
「よしっ後は水が下に流れる様にするわ」
蘭が、再び飛び立ち岩を削って行く。飛んでなきゃできない芸当だな。更には下にも深い穴を作り、滝壺まで作ってるし。
戻ってきたら念入りにブラッシングしよう。
「溢れた水は自然と川になるんじゃないかな? 道筋だけは作ったし。アクア様こんな感じでいいですか?」
俺の肩に乗り蘭は満足気にしている。
「蘭すげえな、土木工事の人も真っ青だぞ!」
蘭の頭を優しく撫でると
「洋一、その褒め方は嬉しくない」
褒め方に対して抗議された……何故だろう? 真っ青が嫌だったのかな?
『ヨーイチ! 蘭とイチャイチャしてないでこっち来て!』
イチャイチャしちゃだめなのか、さてはヤキモチだな? リュイめ可愛いじゃないか。駆け足でリュイの方へ行くと蘭が俺から離れた。蘭も恥ずかしかったのかな? 照れ屋カーニバルだな。
━━ザバアン!
突然大量の水をかけらた。
「冷たっ!!」
えっなに? 新手のイジメ? マジでイジメなら俺負けないよ? 水のお返ししちゃうぞ? 主に俺から出る黄金水で。
『加護……あげました。神獣さんとアース、ありがとうございます。私の加護も滝に与えたので、きっと蘇ります』
丁寧にお辞儀をした、水色の髪、水色の瞳でぱっちり二重でポニーテール。リュイとは違い大人びた感じがしている。
洋一スカウターによるとFカップ。胸の露出が極めて高い、セクシーなドレスを着ている。
「おい! ちょっと色っぽいからって、なんでいきなり水をかけるんだよ!」
『生理的に受けつないから』
「生理的に受けつないっててめえ! 今まで言われた中で一番酷い言葉だぞ!」
「洋一、落ち着いて!」
『怒鳴れば済むと思ってる所も嫌……この糞野朗」
ぐぎぎぎぎ!! すげームカつく! なんなんだこいつ! 糞野朗の他に二重でなんか言いやがった! どんな声帯してんだよ! ほんとにこんな奴保護しなきゃならないのか!?
「はあ。洋一達はここにいて、アクア様は、魔獣の森に連れて行くから」
そう言うと蘭はアクアを連れて転移した。
『うーん。アクアってあんなに口悪かったかな?』
リュイが首を傾げている。
『葵、アクアに悪い感じはしなかった? アタチ達精霊同士だと上手く読めないの。葵ならわかるでしょ?』
「うーん? これと言って瘴気やら堕ちた感じはしなかったよ。ただあの物言いが彼女の本心とは思えないけど」
アクアの本心じゃなかったらなんなんだ? 誰かに操られてるのか?
「向こうには、ウインやバーニアもいるんだから大丈夫じゃない? バーニアは相性最悪だけど、ウインならなんとかできるよ」
『そっそうよね!』
ちょっと不安だな。向こうにはレイ先生やエレン爺いもいるんだが……




