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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第九章 神獣か聖獣か
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第185話 母を訪ねて異世界へ


 不思議な空間、テレビの画面のような物が沢山ある。誰かの映像が何度も何度も、流れては消えていく。


 ふと右端の画面を見ると気になる映像が映る。


 あれは地球の病院? これは誰の記憶なんだ? 俺か? いやでもこんな病院見た事がない。


「こーら」


 六華さんに後ろから羽交い締めにされる。


「おわっ! びっくりした! 六華さんここは一体?」


「ここ? うーんなんて言ったらいいかなあ。全ての(・・・)うちの記憶が集約される場所って言うたらわかるかなあ?」


 全てのうちって? 六華さんは一人じゃないのか? まさかいっぱいいるのか? 人造人間とかクローン的な奴で。SFの臭いがしてきたぞ!


「アホな事考えてるやろ? うちの力って特殊でな? うちの魂は色々な世界で、色々な生き方をしてるんや。その全てがうちに集まってくるんや。知覚出来るのはうちだけで、他の世界のうちはこの事実を知らんけどな」


 色々な世界に、一人ずつ六華さんがいるのか? でもそれって色々な自分の人生を体験するって事か? 喜劇も悲劇も全て……。


「そないな顔をするもんやない。ええ男がだいなしやろ?」


 六華さんにぺちんとオデコを小突かれ、頬を両手で挟まれる。


「全くこの子はそんなところばかりうちに似て。はあ。言うつもりはなかったんやけどなあ……。あんたも気付いたかもしれんが、あそこの病院であんたは産まれた。うちはあんたを抱く事なく死んでしまったからなあ……やっとあんたに会えた。やっとあんたを抱きしめられた。会いに来てくれてありがとう洋一」


 六華さん? 俺を抱きしめながら何故か泣いている。


「ごめんなあ。うちの身体が力に耐えれなかったんや。辛い思いも沢山したやろ? 育てのお母さんとは上手くやれなかったみたいやなあ」


 六華さんが、俺の本当の母さん……?


「いきなりこんな事言われてもあんたも困ってしまうわな。うちは口下手やから……あれ見てみい」


 六華さんが指を差す、映し出したされたのは病院で出産をしている女性。出産が終わると俺の名前を呟き、力なく倒れてしまう。


 医者や看護婦が懸命に処置をしていたが、心停止を告げる音が鳴り響く。


「かっ母さん……」


「うちを母さんなんて呼ばんでええよ。ごめんなあ洋一、もっと、もっとあんたを抱いて、色々教えてあげたかったんやけど……」


 それだけ言うと、母さんは肩を振るわせ泣き崩れてしまう。


「ごめんなさい、地球で死んでしまってごめんなさい……本当にごめんなさい。俺上手く生きれなくて、友達もできなくて、結婚もできなくて」


 俺を抱きしめ泣く六華さん。俺達は沢山泣いた、俺は今までの人生やこっちに来てからの話を母さんに伝えた。


 母さんは、それをうんうんと頷きながら聴いてくれた。


「さっ洋一ここにいつまでもいてもしゃあないで? そろそろ向こうに戻ろう。戻ったらあんたとうちは、六華さんとヨーイチやええな?」


「嫌だ! 母さんは母さんなんだろ? この世界の母さんは、母さんじゃないかもしれないけど! それでも魂は母さんの魂なんだろ? だったら母さんって呼ばせてくれよ!」


 母さんは困った様な顔をして笑っている。


「頑固やなあ洋一は。頑固なんはあの人譲りやなあ」


「ごめんなさい……もう母さんしか……」


 母さんに抱きしめられ


「しゃーなしや! でもあんたには蘭ちゃんがいるやろ? それにこっちでは友達もできたんやろ? あんたは一人やないよ」


 優しく頭を撫でられる。


「それに蘭ちゃんやリュイちゃんは、洋一とうちが親子だって気付いてたみたいやで?」


 だからあの時二人は俺に助けろって言ってきたのか。蘭も匂いが似てるって言ってたし、リュイは魂が見れるから……。


「さっ行くで洋一。あんたにはうちの旦那も紹介しなあかんしな。霧雨言うんやけどもう会ったやろ? あれでまあ良い男なんや」


 霧雨ってあ……大和さんにボコられた人だ。大丈夫かな? かなりボコボコにされてしかも師匠に引き摺られてたけど


「洋一、なんか隠しとるやろ? 目がわかりやすく虚どっとるでえ」


 母さんが俺を見ながらニヤニヤと笑う。


「べっ別に? 隠してなんかいないし? 全然だし?」


 やっやばい、どうしよう……俺の義理の父さんになるべく人をボコボコにしたのが身内だなんて言えない!


「あーあんたの連れの特上の兄ちゃんに負けたんか!」


 バッバレた! 何故だ!


「まあアレはうちの手にも余る男やから、しゃあないしゃあない! 生かしてもろただけ感謝や」


 ゲラゲラと笑う母さんだが、それでいいのか? 旦那ボコボコだったぞ? 


「ほら戻んで。蘭ちゃんにリュイちゃんが心配しとるからな」


 そう言って母さんは俺の手を繋ぎ


「チンプイチンプイ」


 適当な詠唱? をした。俺と母さんは元いた場所に戻ると


『あっあんた! いきなり光って消えないでよ! びっくりしたじゃない!』


 涙目のアナスタシアに文句を言われた。


「あはは悪い悪い」


『悪い悪いって反省しろこのバカあああああ!!』


「ほぎゃああああああああああ!」


 アナスタシア、股間に蹴りはダメだってばよ……。そこはスキルがあっても痛いんだ……

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