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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第九章 神獣か聖獣か
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第170話 神代の力


 背中を優しく撫でられると凄く良い匂いがする。俺が顔を上げるとそこにはいるはずがない人の優しい笑顔があった。


「なんで……俺、助けられなくて、間に合わなくて、あの……」


 ロザリアさんは優しく笑い俺の頭を撫でてくれる。


「俺が、もっと気を配っていれば! 防げたかもしれないのに……!」


「こーら。私が貴方達に連絡しなかったのよ? 異変があった時に連絡しなかったのは私。最後まで抗ったのも私よん?」


「でも、俺が、間に合えばロザリアさんはあんな姿に……」


「人間なんでも出来るわけじゃないのよん? 一人の力なんてたかが知れてるわよん?」


「でも「でもはなしよ。私達ギルドの人間は、いつ死んでもおかしくない仕事をしてたのよん? 私達は人を護る盾であり剣なの、生死の覚悟はとうに済ましているのよん」


 生死の覚悟をしていると言う言葉が重く心にのしかかる。


「ヨーイチ君は勇者じゃないのよん。今の貴方は子供なの。周りに強い人がいても貴方は子供なのよん?」


「ちがっ! 俺は、ほんとは、別の世界で40過ぎてて……」


「それでも、今の貴方は子供よん? 鋭利な感情に傷つけられて、泣いているただの子供にしかみえないわん? 私達の事まで背負わないでいいのよん? 貴方は過去に囚われないで未来を生きなさい」


「俺はそれでも貴方達を助けたかった……! 助けたかったんだ! もっと一緒に話したりしたかったんだ!」


 ロザリアさんはもう一度俺を抱きしめ


「ありがとう。でもお別れなのよん、試練のクリアおめでとう。ライルによろしくね」


 ロザリアさんは優しく笑い俺を離し消えていく


「まって……! まだ!」


 視界が切り替わり、ロッカーの無機質なドアが目の前に現れる。


「くそおおおお!」


『どうした? 大丈夫か? まだこの試練はきつかったか?』


ドアが開き、アユウさんが心配そうな顔をして俺を見ている。


『いやアユウ、ヨーイチはクリアしてるよ。凄いなおめでとう!』


 ソキンさんが笑いながら俺の頭を撫でてくれるが、俺の胸中はぐちゃぐちゃだ。


『おおお! マジか! 凄いぞ!』


 アユウさんも笑顔で俺を褒めてくれるが、俺は素直に受け取れない。


「さっきの試練の内容って2人は知ってるんですか?」


 二人はキョトンとした顔をして俺を見ている。


『トラウマと向き合う試練だろ? 内容は人によって違うが……』


 アユウさんが不思議そうな顔をしている。じゃあさっきの母さんやロザリアさんは俺の妄想?


「死んだ人と会ったりは……」


『会うってのが、触れ合って言葉を交わすなら、ないはずだよ』


 ソキンさんがはっきりと言い切る。


「おっ俺、母さんと親父と会ったんです! 本当の家族じゃないって事実を知って、ロザリアさんに会ってそれで」


『待って待って、ロザリアさんが誰かわからないし、本当の家族じゃないってなに? あくまでトラウマは、ヨーイチの実体験しか映し出さないんだよ? そのトラウマに対してどんな答えを出すか、逃げださないかを見る試練なんだよ』


 ソキンさんに矢継ぎ早に告げられたが、俺は確かに見たし、聞いたし、触れ合ったんだ!


 俺は二人に試練で起きた事を事細かに伝える。


『アユウ、ちょっと試練のログ確認してくるわ。ヨーイチを落ちつけといて、多分このままいくと過呼吸になる』


 過呼吸……? 呼吸が……



 俺が気付くと、和室の布団に寝かされていた。


「おっ俺は……」


『ヨーイチ! びっくりしたぞ。過呼吸持ちなら最初から言っといてくれよ』


 アユウさんに指で額を弾かれる。


「俺、過呼吸持ちじゃないです……初めてなったし」


『試練のストレスかな? まあこれからは紙袋やるからちゃんと持っておけよ?』


 紙袋を手渡される。ありがたいけどもうなりたくないな。蘭とかすげー心配しそうだし。


『ヨーイチ起きたか。確認なんだが、ヨーイチの親父さんがなにか呟いたんだよな?』


 ソキンさんが凄く真剣な顔をしている。


「はっはい。聞いた事がない言葉でした」


『試練のログは残ってなかったんだよ。外部から妨害を受けたところまでは突き止めたんだけどね。その言葉って|योइची की गोली चलाने की आवाज़《洋一のうんこ》こんな感じじゃない?』


「あっそれです!……あのトイレお借りできますか? ちょっと便意が……」


『やっぱりか。そうなってくると厄介だなあ』


『神代が関わってるとなると手に負えないから、大和っちに連絡しとこう』


 アユウさんがドタバダ出て行く。俺のお尻も限界突破しそうなんだが……トイレをトイレを貸してええ!


『あっトイレは部屋を出て直ぐ横にあるよ』


 ソキンさんの言葉を聞きダッシュでトイレに駆け込む。まじで、漏れなくて良かった……。


「危なかったあああああ」


『くっさ! ヨーイチ窓開けろ!』


「あっすいまっ立てませえええん! 今立ち上がったら大惨事になります!」


『臭いがもうテロレベルだよ! なに食ってんだよ!』


 ソキンさんがめちゃくちゃ怒ってるけどおおお! 止まらないのよおお!


『うわっくさっ! あっごめん大和、とりあえず試練の塔に来てくんない?』


 大和さんがくるの? そんな事より誰かとめてええ!


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