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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第九章 神獣か聖獣か
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第166話 そんなに見つめられると味がしません


 堺さんは、魔眼の力が強くなったって言ってたけど実際の所、強くなった感覚がない。試しに遠くを見ようと、目に力を入れて見る。


 壁しか見えない。目の力を少しずつ抜いて見ると、自分が見ていた壁が、自分のいる位置と真反対の所の物だと気づく。


「ズーム機能が付いただけやないかーい!」


 俺の突っ込みが虚しく響く。魔力を見る方は勝手に発動してたからか、うんともすんとも言わないし。


 魔力、魔力、もしかして魔力がある扉は外れなんじゃないのか? 物が降ったり、他の場所と繋いだり、嫌な記憶を見せたり、魔力がなかったら厳しそうな事ばかりだ。


 魔力がない扉を探したいが、魔力を見る機能が機能しない。洒落でもなくマジで動かない……


「他に手がかりもないし……魔眼よ! オラに魔力を見せておくれー!」


 両手を上げて元気○のポーズをすると、赤、青、黄色、緑、と様々な魔力が見えて来る。まっまさか、一々このポーズをして、叫ばないといけないのか!?


 ぐう……! 頭が割れる様に痛い! なんだこれ、こんなの長く続けられないぞ!


 早く、早く、早く


 目を皿の様にして、ドアを見続ける。


 ん? なんだあのドア、禍々しいドアだな。あんなドアあったか? 早くあのドアの元へ行かなければ!


 俺はふらつく身体を根性で奮い立たせ走る。


 魔力は感じないのに何故か、禍々しいドアに辿り着いた瞬間、目の力が切れる。


 目の力が無くなると片方の目が見えなくなる。


「反動デカすぎだろ、片目が見えなくなるなんて……」


 意を決してドアを開けると、階段が現れ無数のドアが消え、階段が出てきたがこの階段は罠じゃないだろうな?


 俺は警戒しながら階段を登っていく。階段を登り切った先は明るい和室になっていた。


 ん? 和室? なんで和室が?


『アユウ、ヨーイチが来たみたいだよ。お茶の準備出来てる?』


 奥からソキンさんの声が聞こえてくる。


『んげ!? もう来たのかよ! まだクッキー焼けてないぞ! ソキンとりあえず話を繋いでいてくれ!』


『りょーかーい』


 クッキー!? クッキーってそんなもん食べてる場合じゃないんだけどなあ。俺が頭を掻きながら和室に上がろうとするとフスマが開き、金髪で髪の長い中性的な人が入ってくる。赤渕のメガネをかけ服装は浴衣を着崩している。


『土足で入ろうとするなよ。畳が汚れる、久々の客だってのに、ヨーイチはもう異世界に染まったのか?』


 睨まれた……。異世界に染まったって、地球のしかも日本人なのか?


「あっいやすいません……」


 とりあえず靴を脱ぎ畳の部屋に入る。


『ふーん。いきなり怒鳴り込んだり、攻撃しようとしたりしないんだ。評価高いよー』


「ありがとうございます……」


『なにコミュ症なの? あんだけ突っ込み入れてたのに?』


「えっあっさっきはその、なんて言うか必死だったので気が抜けたって言うか」


『試練中だよ? 気を抜いちゃだめでしょ?』


「はっはい! すいません」


 ごもっともな指摘だ、って言うかこの人男? 女? 


「あっあのーソキンさんって女性ですか?」


『ああん? 男だよ男! 何処を見て女だって!?』


「顔が中性的だし、線が細いし、声が……」


『俺は男! 覚えといて! あーもうアユウ! クッキーまだ?』


 怒らせてしまったようだ、何処を見てって言うから答えただけなんだけどなあ。


 襖紙が開き、更に焼きたてであろう、クッキーを持った大柄で短髪で赤髪の男が現れた。黒い豹柄のラインが入ったジャージを着ている。ソキンさんに似ているが、彫りが深く直ぐに男だってわかる。兄弟か?


『焼けたぞー。ってソキンなに怒ってんだよ。アレだ、冷静になれよ? アミーゴ』


『それ歌詞だろ! その歌詞は危ないぞ、ってクッキーうま!』


 某二人組の奴かな?


『美味いだろー? 自信作だ。ヨーイチも食えよ』


「あっはい。いただきます」


 クッキーを食べる俺の顔を見つめるアユウさん。なっなんだ? なにを期待しているんだ?


「美味しいです」


 正直見つめられ過ぎて、穴が開きそうで味がわからなかった!


『そーだろー! わっはははは!』


 豪快に笑うアユウさん。雰囲気が大和さんに似てるな。背中をバシバシ叩かないで! クッキーが口から出る!


「すっすいません。次の試練ってなんなんですか?」


『次? ちょっちょーと待ってて』


 ソキンさんとアユウさんが、わかりやすくキョドリながら奥に行く。


『おっおい。ソキン、次ってなんだよ。さっきのドア開けで、終わりじゃないのか? 俺クリア報酬にクッキーまで焼いちゃったじゃん!』


『俺だって知らねえよ! 試練って一個だけじゃないの? まさか……どっかの赤ん坊のカテキョーみたいに何個もやらせて、成長させなきゃなんないの!?』


『俺、うちに帰りたいんだけど……』


『俺も帰りたいよ、もうアユウのクッキー食べたし』


 わかりやすく揉めてる! 残業したくない人達かよ! 試練一個で終わりなのか!?  それならそれでいいけど、自分を見失うなとか、強くなる可能性があるとか言われたけど、これじゃなんにも変わらないぞ!?


『なっなあ。アユウ、ヨーイチも困ってるんじゃないか? とりあえずここをセーブポイント的な感じにして、後一個か二個試練考えようぜ!』


『そっそうだなソキン。お茶を濁しながら試練を考えようぜ!』



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