第17話 養殖より天然
♢新築のエレンの工房
超レアなの素材の数々にエレン爺いは感動し、顎が外れそうになっていやがる！ どうだ恐れいったか、うちの蘭は素晴らしいんだぞ！
「こっこれは、グリフォンの魔石!? グリフォンの骨!? レッド・ドラゴンの鱗に骨に魔石に牙に皮!? ひゃああああこれだけで王国の予算10年分以上、儂、1人なら一生遊んでくらせるぞ！」
大絶叫しながら小躍りをしている。エレン爺い……正直怖いぞ、声がでかいから煩いし。
「すげえ！ そんなお宝だったのかよ、エレン爺い俺と蘭の装備作ってよ」
「私は、別にいらないけど」
蘭はいらないみたいだが、安全のためにはいるんだよ！
「いや、爪に装備したり防具はあった方がいいでしょ。蘭に万が一があってからじゃ遅いし」
蘭の安全が最優先だ！ 次に俺の安全。
「で、エレン爺い作れるのか？ 俺基本めちゃくちゃ非力だから非力の俺でも使える装備がいいんだけど」
軽くて丈夫な奴が良いな。タングステン的な感じで。
「とりあえず今の装備を見せてみい。その装備の重さで作ってやるわい」
「マジかよ！ じゃあさ、こんな感じで作れるか⁉︎」
エレン爺いに装備を手渡し、地面に下手くそな絵を描いた。伝われ俺の熱い厨二魂いいい！
「こんな装備見たこと無いわい。ヘルム付きなんてヨーイチ、騎士にでもなる気か？ まあいい儂に任せろ。神級鍛治師として立派なもんこさえてやるわい」
「サンキュー！ 後さ、エレン爺いこんなん作れる？ 俺の世界の夢装備何だけど。電源はリュイをセットするとして、電撃を敵に発射する装備なんだけど」
『ちょっと！ さり気無くアタチを装備に組み込まないでよ！』
リュイめ怒ってやがるな。仕方ない理由を説明するか。
「だっていつか、一緒に冒険してくれるんだろ？ だったら協力してくれよ。俺の地力を上げないと蘭の足手まといになるし」
『えー！ じゃあヨーイチは、アタチを頼りにしてるって事？』
「もちろん！ 俺、弱いからな。雷魔法使えないけどリュイのおかげで雷耐性はついたからさ、きっとこれが出来たら無双出来るはずなんだ」
なにせ夢装備だからな。
「うーん、これを作るなら材料が足りん。雷を貯める魔石と鉱石がいるな」
鉱石？ 鉱石なんて見た事ないぞ。
「まあ素材が揃ってからでいいや。出来たら楽しそうだなくらいだからさ。そう言えば鉱石って俺、見た事ないな。ゲームでしか見た事ないから、実際にどんなのかわからん。鑑定スキルも無いから全部石にしか見えないし」
『そもそもヨーイチは、アタチがあげた雷耐性しか無いでしょ』
そうなんだよなあ、レベル上げても訓練してもスキルのスの字も発現しやしない。俺だけ逆チート設定なんだよな。
「なあスキルって一体なんなんだ？ 後魔法ってどうやって覚えてんの皆んな？」
「スキルは鍛錬や秘伝書よ。魔法は元々の素質や、魔法のスクロールだよ。ヨーイチは魔力が無いからスクロールを見ても多分……」
ああそんな顔しないで、レイ先生。そりゃ子供にされただけで純日本人の俺に魔力やチートがある訳がないんだよな。
「はあ。洋一には私がいるでしょ？ 神獣を連れてるだけで普通は万々歳なんだよ？ わかってる？」
「でもさ蘭が、ピンチの時に助けられる存在でいたいんだよ。それとあのクソビッチにも仕返ししたいし」
「あっまだアルテミスへの仕返しを諦めてないんだ」
当たり前だ、俺の毛と身体を取り返さなきゃ！
「だって蘭、ナイスダンディな身体のままならまだわかるぞ？ ガキにされたんだぞ？ 毛を奪われたんだぞ？ 許せる訳ないだろ！」
「そんなに毛が大事なのかなあ」
何故伝わらないんだ！ 蘭はモフモフだからか？
「だ！ い！ じ！」
「なんじゃ下の毛が無いのか、毛生え薬でも塗るか？」
エレン爺い、養毛はだめなんだよ！
「嫌だ！ 天然が良いの！ もう畑仕事してくる 」
何が悲しくて股間にアー○ネーチャーしなきゃいけないんだよ。
『待ってよ！ ヨーイチー！ 』
「蘭ちゃん、ヨーイチはやっぱりあんまり強くなってないの？」
「まあ、頑張ってる最中ね」
「そっかあ、じゃあ私も畑仕事手伝って来るわね。その後訓練も見てみるわ」
♢
「光一が、立ち直ってないから、リュイ手伝ってくれ。収穫だ！」
レイ先生が俺の畑仕事を見に来てくれている、これは張り切らなきゃだ！
「強くなってない？ ヨーイチ以前より動きが早くなってると思うんだけどなあ……」
レイ先生がなにか呟いている、俺に惚れたか？
『ヨーイチ、そっちも食べ頃よ！ あっそれはまだダメ！ 明日が食べ頃！』
リュイナイス指示だ！
「オッケー！ 俺の華麗な収穫術をよく見ておけ！」
「ヨーイチ私も手伝うよ。ヨーイチ、前より身体が動きやすくなってるんじゃない？ どう？」
農作業限定ならやりやすくはなったが、慣れただけじゃないのかな？
「う〜ん、鍬を振るうスピードは前より早くなったかなあ。多分だけど」
「鍬って、ヨーイチは農夫になりたいんだっけ？ 」
おや？ レイ先生の中で俺は農夫志望になっている。どちらとか言えばニート志望だけど、冒険者も捨てがたい。
「まあ強いて言うならニートかな？」
「にーと？ にーとってなあに？」
うっ可愛い顔してニートって連呼されてしまった。ニートの説明はあまりしたく無い。話を変えよう
「間違えた！ 冒険者志望です。蘭と探検したいし、ダンジョンで宝探しもしたいし」
「冒険者？ 冒険者ってなにかしら、探索者の事かな？ じゃあレッドスライムに負けないように強くならなきゃね」
あれ？ 冒険者無いのか？ ファンタジーの定番の筈なんだけどな。
「いやいやゴブリンに勝てるんですよ？ 亜種にももう負けませんよ、多分」
「ヨーイチが魔法を使えれば余裕なんだけどねえ。スライムは物理に強いからさ(普通の人は物理でも楽勝なんだけど)」
魔法かあ使いたいなあ。せめて爆裂魔法だけでもできないかなー。でも魔力がないからなあ。
「レイ先生、魔剣とかって魔力無くても使えるの？」
魔剣なら魔力は関係無いよな？ 道具なんだし。
『物によるけど、ヨーイチでも使える魔剣も存在するわよ！ エレン爺いのが詳しいだろうけど』
まっまじか！ これは夢が広がる！ リュイナイスな発言だ！
「おー！ 訓練終わったら聞いてみよう。俺の名は魔剣使いの洋一、相手が悪かったなとかやりたいし！」
「いやーそれはどうだろう。魔剣使うのにも剣技や戦う技術も必要よ？ それにヨーイチ、簡単に使えたらみんな使うでしょ？」
うぐっ……剣技が必要なのか。一振りで山を打ち砕きたいのに。
「物語みたいに、いきなりドカーンとかやって強さ爆裂！ みたいにはならないのかあ。この世界は厳しいぜ」
全く糞ゲーにも程がある。
『ヨーイチたまに語尾にぜってつけるけどダサいよ』
「酷いわ！ そんな事言う子はご飯抜きですからね！」
『ヨーイチママ〜許してえ〜』
「このノリは変わらないのね」
レイ先生が苦笑いをしている。だけど変わらない物があるって素晴らしいと俺は思うけどな。
