表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/291

第155話 サイコな研究者


 アナスタシアは男神の名前を聞いてから、ぶつぶつと虎次郎の上で呟いている。


 ジャングルの王者もといジャングルの戦士太一と共に、俺達は国主の元へ向かい歩く。


 何故太一君が腰蓑一丁なのかが、物凄く気になる。


「なあ太一君はなんで腰蓑一丁なの?」


「ああこれ? 趣味! こっちに来る前、この格好で神社で祈ってたんだよ」


 えっ? 法治国家である日本でこの格好? 恥ずかしくないのか? むしろ露出狂じゃないのか?


「警察に捕まらなくて良かったね……」


「警察? 警察になら何度も捕まったよ。彼奴ら意味がわからないんだ、公然猥褻だとか言ってきてさ。俺は、ジャングルの平和を護るから、この格好じゃなきゃダメだって、何度も言って聞かせたんだけどなあ」


 こいつ、予想以上にやばい奴だ。ジャングルの平和の前に地域の平和が乱れるだろーが!


「警察に言って聞かせたの?」


「ああ! 時には習った武術を使って、制圧しながら言って聞かせたんだが……彼奴ら公務執行妨害だとか、傷害罪だとか。どうにか俺を犯罪者にしようとしてやがったからな」


 肉体言語で対応してきたのかよ……警察すら制御できない変態って。同じ地域に住んでなくてよかった。


「俺はジャングルの戦士! 身体を鍛え、動物を護る!」


 誇らしげに言ってるが、犯罪者だからね君。


「あっああ……そだね。もういいや、国主さんの家って何処なの? そこのボロ屋だよ」


 太一君が指差した家を見て一同唖然となる……。


「「『『ボロっ!!』』」」


 貧乏長屋どころか、壁に穴も空いてるし、屋根は茅葺だし。なんだよこのボロ小屋は……ワニおじの村の家より酷いぞ。


「人の家の前でうるせーぞ!! 研究できねえだろ!」


 ノソノソとボロ屋から出てきたのは、白衣でタバコを咥た

、眼鏡のオッサンが現れた。こいつ身長でけえな。俺もオッサンだが、同い年位か? 


「なんだちみ達は? 日本人が2人もいやがんな。それに精霊に神獣か、なんだ? 俺の研究が禁忌にでも触れたか? 女神まで連れて来て」


 禁忌の研究とか聞きたくなーい、絶対に聞きたくなーい。俺には聞こえなーい!


「まあ禁忌に触れようが俺には関係ないがな。おっと女神の嬢ちゃん俺を睨むなよ。俺を連れて来て、俺に力を与えた神と名乗るクソ野郎を恨めや。この天才博士である、雷門 神夜(らいもん しんや)をな」


 雷門神夜って俺でも知ってるぞ。確か超天才でありながら、人道に反した研究をして処刑された人じゃねえか。


「あっあんた人道に反した研究をして、処刑されたはずじゃ……」


 俺の言葉に、雷門神夜は悪辣な笑みを浮かべる。


「ちょっと人間に動物を混ぜたりしてただけじゃねえか。被験隊も無理やり連れて来た訳じゃないぞ、金が欲しくて自分の身体を売ってきた人間しか使ってねえしな」


 吐き気を催す外道ってコイツの為にある言葉だな。


「まあこっちはこっちで楽しいぜ。地球じゃできない事もやりたい放題だからな。だから睨むなって」


 ヘラヘラと笑いながらタバコを吹かす。


「タバコ、それ日本の奴だよな? なんで日本の物があるんだ?」


「ああ? タバコが気になったのか? 未成年のうちはやめとけ。取り寄せたんだよ、俺のスキルでな。多少金はかかるがな」


「金? スキル?」


「スキルについては教えないぞ? 当たり前だろ? まあなんだ……なんのようだ?」


 なんのようって言われてもな。なんだっけ……?


(洋一、神獣を倒しに来たんでしょ。神樹の側に行く許可を貰わないと)


 ああ! ナイス蘭!


「神樹の側に行っていい? 神獣が瘴気に堕ちてないか、確認したいんだけど」


「瘴気? ああちょっと部屋の中に来い。瘴気を見せてやるよ」


 瘴気を見せる? どういう意味なんだ? 瘴気って見えるもんだっけ?


 部屋の中に入ると、地下へ続く階段がある。その階段だけは文明的な物を感じる。


「また地下か、研究者って皆んな地下マニアなのか? 蘭とリュイは待ってくれ。万が一なにかあったら困るし。師匠はついて来てくださいお願いします」


 蘭とりあえず外で警戒しててくれ。


(……うん。なにかあったら直ぐに行くからね)


『地下はジメジメしてるから、アタチも待ってる。虎次郎と遊んでる』


 リュイは外にいる、虎次郎の元へ飛んで行く。師匠が凄く嫌そうな顔をしながら


「うーん。仕方ないアナスタシアちゃんが先に行ったみたいだから、僕も行くよ」


 良かった。ナイスアナスタシア! ってアナスタシア!?


「アナスタシア先に行きやがったのかよ! 静かだと思ったら!」


 禁忌の話をしている時から様子はおかしかったけど、ちゃんと見張っておけばよかった!


「アナスタシアー!」


 俺と師匠がアナスタシアを追って地下に入る。アナスタシアは不思議なカプセルの前で膝をついている。


『なによ……なによこれ! こんな事して……!』


 カプセルの中には、人間、獣人、エルフ様々な種族が入っている。異形の姿を晒しながら。


「なんだこれ?」


 生きてるのか? 死んでるのか? 瘴気を吸収させられたら普通耐えられないと思うんだが……。


「コイツらは等しく重罪人、日本風に言うなら死刑囚だよ。コイツらは、特殊な加護が付いていた。邪神の加護がな、瘴気を吸収するにはちょうどいい素体なんだよ」


 重罪人だからってこの仕打ちは……


「コイツらは縛り首も斬首も嫌だって言うから、慈悲だよ慈悲。ちみ達には、わからないかな?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ