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第154話 ジャングルの戦士


 ワニおじさんが、スマホに夢中になってしまい機能しなくなってしまった。師匠は魔導盤を弄って遊んでるし、さっきの国主さんの事は良いのだろうか? 最後めちゃくちゃキレてた気がするけど。


「ワニおじさん、国主さんの所に行きたいんだけどって言うか、行かなくていいのか?」


「ああん? 国主? あんなもん待たせときゃいいんだべ。こっちは研究者だぞ! 衛兵の真似事までさせやがってたまったもんじゃねえべや! 戦いは彼奴に任せりゃいいんだ、森の中じゃ最強の彼奴に」


 森の中じゃ最強? なんだそりゃジャングルの王者でもいるのか?


「ジャングルの王者でもいるんですか?」


「ジャングル? なんだそりゃ? はずめて聞くな。彼奴は動物や魔獣に好かれる特殊な童だ。この辺にいる動物や魔獣は彼奴の言う事しか聞かない、彼奴も動物や魔獣の話しか聞かない。変わりもんだで、余り関わらない方がええ。そもそも、なに話してるかわからんしな」


 まんまジャングルの王者じゃないか。人の話を聞かないのに国を護ってるのか? って言うか言葉通じてないのかよ! それと話してる時はスマホを離せ!


「彼奴が唯一会話できるのは国主様くらいだ。国主様とは、不思議な言葉でやり取りしてらあ。ここらで無闇に魔獣や動物と戦うなよ? 彼奴に殺されるからな」


 ゲェッ! 国主以外の人以外会話不可とかヤバ過ぎる。師匠に要注意しとかないと。


「師匠、動物や魔獣と戦う禁止、貴方、わかったあるか?」


「なんだいその片言は。僕は無闇に戦わないよ、相手が強くなければね」


 やれやれだぜっと言いながら首を振る師匠。相手が強かったら絶対戦うつもりだ……。


「ワニおじさん、神獣ズイジって知ってる?」


 ワニおじさんの目が鋭くなる。


「あんな化け物に、神獣なんて大層な呼び名つけるんじゃねえよ。外でズイジを神獣なんて言ってみろ、俺以外が聞いてたらこの国にいられなくなるぞ」


 おいおいズイジ、この国になにしたんだよ。嫌われ具合が、半端じゃねえぞ。神獣で嫌われてるのってズイジ位じゃないか? ハヌマはなんだかんだ、城の一番上にいたし。


『ねえねえ、ズイジを討伐したら怒られるんじゃないの?』


 アナスタシアがワニおじさんの事を伺いながら質問してくる。確かに怒られそうだよな。


「ガッハッハッ、面白え嬢ちゃんだ! 出来るもんならやってけろよ。あの害獣を殺せるもんなら、あの神殿の側の湖にいるから後で行ってみい、まあ無理だろうけどな」


 笑いながらスマホを弄るワニおじさん。とりあえず堕ちていてたとして、倒しても怒られる事はないだろうな。


『ヨーイチ飽きたー。ワニおじさんスマホ? を弄ってばっかだし、蘭も話してくれないし暇ー』


 ああリュイが飽きてしまった……。そりゃ人がスマホを弄ってるのをただ見ててもつまらないよな。


『飽きたー飽きたー!』


━━バチバチバチバチ


 ひえっ! リュイが電撃を溜め始めてる。このままじゃ、雷を当てられる。


「みっ皆んなワニおじさんを置いて、そろそろ神殿に行こう」


(洋一なにか来るよ)


 蘭からの念話が頭に響く。なにか来るってここは平和なんだろ?


「あーあっあー!!」


 外からバカデカイ雄叫びがする、なんだ? 


「まじでジャングルの王者なのか?」


「なんで日本の鷹? それに契約された魔虎(マコ)まで……」


 髪はアッシュグレーで、オールバック。目は黒く、腰蓑だけ付けたほぼ裸の筋肉質な男が、蘭と虎次郎を眺めている。

こいつ裸足で痛くないのか?


 それにさっきから日本語で話してくるが、日本人か?


「俺はジャングルの戦士、ジャングル太一!」


 えっとジャングルの戦士? ジャングル太一ってなんだ? 変な名前だな。


「ジャングル太一君はなんでここに? って言うか日本人だろ?」


 ジャングル太一君が変な顔をしている。聞き方がまずかったのか?


「あっあのできれば太一だけでお願いします……いざ人に言われると恥ずかしいので」


 恥ずかしがるなら、最初からそんな名乗り方するんじゃねえ!


「太一君、ワニおじさん達と会話が通じないのは翻訳出来てないからだろうけど、なんで国主には日本語が通じるんだ?」


「えっ? だって国主は日本人ですよ?」


 あっろくな事にならない気がしてきた。オラげんなりしてきたぞ。


「まっまじかあ……。会いたくなくなってきた」


『ねえねえ、なんでこの人裸なの? 地球のファッション? 靴も履いてないし』


 アナスタシアそれは聞いちゃいけないだろ。多分キャラ付けなんだし。


「これがこの世界に来た時の俺の装備なのさ! ジャングルの王者になりたくて、後動物や魔獣を狩る悪い奴らを倒したくてさ!」


 あっああ……タ○ちゃんに憧れたのか。まさか動物パワーが使えるのか?


「金玉で空飛んだりしないよな?」


「できない! 動物パワーもないから! 純粋に身体能力を最大限まで強化して、動物や魔獣と意思疎通が出来る様にして貰ったんだ!」


 おいやめろ、不穏な言葉を使うな! あっ師匠がニヤニヤしてる。


「翻訳や鑑定は?」


「その二つでキャパシティオーバーって言われたんだよ」


 キャパシティオーバーって、誰がこの世界に連れてきたんだ?


「太一君は、どうやってこっちに来たんだ?」 


「神社で虐げられてる動物を護れる様にお祈りしてたら、『その願い気に入った。さあ行くぞ!』って声がして、男性の神様に会って、それで力を決めたらこの世界に放り出された」


 願いを気に入ったってなんだ? 動物を護りたいって願いなんて沢山ありそうだけど……。


「男性の神? 創造神とエロス以外、男性の神様って見た事ないな」


「確か、ヴァイシュラヴァナって名前の神様」


『ゲェッ。ヴァイシュラヴァナがなんで、こっちの世界に干渉してるのよ……』


 アナスタシアが不吉な言葉を呟いた。

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