第145話 知っているか? ファスティングは続かない
尻の聖痕の話は置いておかれた……。何故かってエロスが見つからない限り不毛だからだよ。
麻友さんに別れの挨拶はできなかったが、大和さんが伝えておいてくれるはずだ、多分きっと。
「師匠、俺達これからどうしたら」
師匠は顎に手を添え
「とりあえず洋一君がどれだけ足手纏いかを自覚する為に蘭ちゃんステータスを出してくれる?」
言葉の暴力を振るってきた。
「洋一、心を強く持ってね」
蘭が、脅かしてくるがステータスだろ? 散々村人以下って言われてきたんだから、今更気にしないぞ?
「大丈夫だよ蘭、ステータスを頼む」
蘭の頭を撫でお願いをする。蘭が、ステータスを地面に映し出す。
柊洋一
13歳
職業 人でなし
種族 人間……?
称号 権力者にだけ強い (神威無効、精霊王覇気無効)
レベル1
体力300
魔力 0
攻撃力5
防御10
素早さ3
運5
スキル
雷耐性小
炎耐性小
精霊視
精霊魔術(精霊の力を借りて、魔術を放つ。※ただし精霊との信頼関係が無ければ発動しない)
テイマーLv1 (Lvに応じてテイムできるモンスターが変わる)
魔師眼(魔力の流れが見える ※詳細不明の能力有り)
天眼(どんなに速い動きでも、見切る事ができる。※体が速度についていけなければ、ただ速い動きを視る事ができるだけの目)
加護
雷精霊の加護
炎精霊の加護
女神アナスタシアの加護
女神アマルナの加護(加護を発動すると、攻撃と防御が100上がる。※ただし30分事に金貨1枚無くなる)現在所持金貨0
堺さん
魔王の加護(効果不明、封印中 ※堺さんの許可無しには発動しない)
エロスの愛(常にエロスに居場所を把握される。エロスは常に洋一の心の中にいる)
エロス聖痕(エロスの愛は世界イイイイと叫ぶと、変身できるらしい ※詳細不明 変身してない場合でも、力を入れると聖痕がピンク色に光る)
前半は体力意外わかりやすく弱体化だな、ただ後半はエロス祭りだよ。
「思ってたよりだいぶ酷いな……体力だけはめちゃくちゃあるが……エロスが大分気持ち悪い」
俺はエロスの信徒じゃないのに!
「洋一君、叫んで見てよ! どんな風に変身するかみたいし」
「嫌ですよ!」
「叫ばないと斬るよ?」
「ひっ!」
師匠の剣を喉元に突き付けられる。なんで脅してくんだよ! そんなに見たいのかよ、絶対ろくな姿じゃないぞ!
「わっわかりましたよ! やれば良いんでしょ! やりますよ! ああもう、エロスの愛は世界一イイイイ!!」
俺がヤケクソに叫ぶと身体からピンクの光が溢れ出る。
服は弾け飛び、お尻が一際輝くと、やがて光は収束していく。
「わあお。中々凄い姿だね」
師匠が、驚いている。
『うわあ、ヨーイチ凄い格好ね……』
リュイが引いている。なっなんだよ、どんな姿なんだよ……。
「洋一、そこの池で姿を見てみなよ」
蘭が水面で確認しろって……そんなに酷いって事か! 俺はダッシュで池にある水面を覗き込む。そこに映し出しされた姿に愕然とする。
「なんで、戦隊ヒーロー並のラバースーツに肩パッド付きなんだよおお! ヘルメットないから、顔丸出しだしいい」
酷いなんでこんな姿に……。この力は二度と使わない。俺が涙ながらに決心をすると、目の前に1枚の紙が落ちてくる。
「なんだこれ?」
ヨーイチ君へ、デザイン変更は随時受け付けています! その姿は尻が弱点だから気をつけてね! デザイン募集してもいいよ? 解除する時は、パージって叫んでね。バイチャ!
「ふんぬらばああああ!! パージ!」
俺が叫ぶと変身が解除される。
俺は、全裸で皆んなの元へ戻る。途中ゴブリンと目があったが、ゴブリンは俺から露骨に視線を逸らし森の奥へ逃げていった。
「蘭、服、お願い」
疲れきって喋る気力もでない、片言で蘭にお願いをする。
「はい。その力は使えないわね、一々服が破けるし対して強くなってないし」
蘭に出してもらった服をいそいそと着る。あんだけ恥ずかしい思いをして、対して強くなってないなんて悲し過ぎる。
「ん? 結構強かったよ? 神聖力だけで言えば巫女クラスだったんじゃない?」
師匠が言う神聖力ってなんだ? 巫女クラスって強いのかな?
「えっそうですか? 私は感じなかったんですが……」
「あれ? 蘭ちゃんがわからなかった? なんでだろ? まあ細かい事はいいでしょ。皆んな忘れてるかもしれないけど、アナスタシアちゃん迎えに行かなくていいの?」
「「『あっ』」」
俺、蘭、リュイは揃って声を出す。師匠に言われるまで、忘れてたよ。アナスタシア大丈夫かな? 俺達は、師匠の転移でハヌマがいた天守閣に戻る。
♢
『あっあっああああ!』
アナスタシアが師匠に抱きつく。師匠は顔を真っ赤にしている。抱きしめ返して良いのかわからずに、手がソワソワしている。
『おいでいがれだがら……だれも、がえっでごないじいい』
めちゃくちゃ泣いてるよ。そんなに時間経ってないだろうに。
「そんなに時間経ってないだろ?」
俺の言葉にアナスタシアが、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で睨みつけてくる。
『みっがばだっでるわよおお!!!』
「えっ3日?」
「ああ君達が向こうに行ってから3日経ってるよ。大和さんの住んでる場所とここじゃ時間の流れが違うからね。僕は儀式の邪魔にならない様に、離れていたんだけど……」
あーなるほど。師匠も帰ってこない、俺達も帰って来ない、ないない尽くしでハラペコ女神か。
時間の流れって神様の世界もそんな感じじゃなかったかな?
「神様の世界みたいな感じかな?」
「そうそう」
やっぱりか……。
『そんな事いいがらあああ! おながずいだああああ!』




