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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第七章 闇に堕ちた国
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番外編 三 ダメなヒーローは魔王と殴り合う 終


 俺の選択は失敗した。亜梨沙は、世界の崩壊を目にして瘴気を集めて、世界の崩壊を先延ばししようとし、邪神に利用された。

 

 宗二は2人を気遣い、1人で魔王を倒しに行ったところを邪神の搦手にハマり邪神の器にされた。


 葵は一人残された世界で戦い続けている、ひたすら強敵を倒し、暴れまわっている。


 俺は麻友の出産もあり、彼奴らに目を向けてやれなかった。俺が彼奴らに目を向けていれば、宗二を助ける事ができたし、亜梨沙を止める事もできたはずだ。


「宗二いい! 勇者の称号を持ったお前がそうなっちまうとはなあ!」


 俺の目の前には、血の涙を流しながら暴れる宗二がいる。身体は邪神に飲まれ、異形になり、魂は歪になってしまっている。


「めんどくせえけどなあ、師匠として弟子の尻拭いはさせて貰うぜ! 破ッ!」


 俺の大剣は、宗二を一刀両断する。胸糞悪い……すまねえな宗二。変わりに邪神と魔王は俺が潰してやるから、ゆっくり休んでくれ。


「すまねえな宗二。最後の相手が葵や亜梨沙じゃないだけ、勘弁してくれ……。葵見てんだろ? 流石にそんなに殺気を込めて歩いていたら、気付くぞ?」


「大和さん、なんで、宗二を、助けてくれなかったんですか? 大和さんの、強さなら、助けられたはずなのに!」


 こいつは、こいつで歪んじまったか。ダチを目の前で、斬り捨てられれば歪んじまうよなあ。


「今の俺には、邪神化した奴を救う事はできねえよ。悪いな、俺にはあれが最善の手段だった。宗二が、泣きながら世界を壊し、人を傷つける前に終わらせる事しかな」


「……そうですか。僕は」


 その瞬間目の前から葵が消えた。消えた理由は恐らく異世界への召喚。葵の強さならまあ何処の世界に行っても戦えるだろう、逃げた亜梨沙もまあ生き残る事位は出来るだろう


「葵、お前はつくづく巻き込まれ系主人公だなあ。3人を連れて帰れなかったから、今日は麻友にどやされんなあ」


 失った者ばかりに目を向けてはいられない。俺が助けなきゃいけない世界は沢山ある。先ずはこの世界の魔王と邪神を潰して、戦争をグダグダ続ける連中を潰さなければならない。


「全くめんどくせえ話だぜ」



 帰ってきた俺は案の定麻友に怒鳴りつけられ、殴られ、泣かれた。宗二の事は、仕方ないとしても葵や亜梨沙を探さなかった事を中心にな。


「あー全く父ちゃんは大変だぜー」


 俺の娘は、麻友と俺の力を継いでいる。サラブレッドって奴だな。


 俺には似ないで欲しいな、出来れば宗二や亜梨沙や葵と一緒に兄弟として暮らして欲しかった。


「お前には二人の兄ちゃんと姉ちゃんがいるんだぞー?」


 俺の言葉を聞きキャッキャと笑う。俺と麻友の娘、アリス。


「ははは、いつか二人を探しに行ってお前にも会わせてやるからな」



 アリスに邪神の呪いが根付いていた。ある一定の年齢になると邪神化する悪質な呪い。邪神サイドから相当な怨みをかっていた。その中で特に力のある邪神が、アリスの存在に気付き、目をつけ、器に選びやがった……俺への嫌がらせとして。


 俺と麻友は血眼になって解呪方法を探した、色々な世界に行き可能性を探った。そんな中風変わりな魔王と出会った。そいつは戦いが嫌いな魔王、邪神側からも忌み嫌われている変わり者。


『ちょっと聞いてるかい? 僕はどうにか自力で地球に行きたいんだが……なにか良い方法ないかな?』


「しらねえよ、殴り合いした俺に聞く話かよ」


『殴り合いだって、君から絡んできたんじゃないか。時間軸を殴り超えといて、よく言うよ』


 そう俺はある世界の過去に来ている。理由は叡智の魔王に会うために。


「時間軸を超えたのは、あんたが呪術や魔法に精通してる魔王だったって聞いたからだよ。じゃなきゃ、こんな無茶はやらねえよ」


 魔王は椅子を出し紅茶を優雅に飲み始めた、こいつ俺より強いんじゃないか? いや隠しているが足が震えてるな。


『どうたがね。それにしても、邪神の器に選ばれるか。相手が悪いね、そいつをこの時間軸で消してもその子は助からない。力が異常で異質なんだよ、本来なら起きるはずがない邪神だしねえ』


「八方塞がりか……まあダメ元だったしな。悪いな、いきなり殴り込んで」


 魔王が面食らった様な顔をしている。


『驚いた、君にも謝る機能があったなんて……。ははは、冗談だって、そう睨むなよ。おっと時間切れかい? 君の存在が薄れてきているよ?』


「ああ時間切れだな。この世界で正規の手順で召喚された勇者は、魔王を倒すと必ず地球に戻る。この意味、魔王お前ならわかるだろ?」


 俺の言葉を聞き、魔王は嬉しそうに笑う。


『この先君になにかあったら、必ず力を貸そう』


 魔王は、俺の手を握り快活に笑う。


「俺になにかある事はあんまりねえが、そうだな邪神の呪いを受けた奴がもし現れたら助けてやってくれよ」


『君らしい頼みだな。了解した、我が魂に誓おう。君は……何処までも英雄なんだね』


「よせよ、失った者や救えなかった者の数を考えたら、トップクラスのダメヒーローさ」


 俺の自虐に魔王は真剣な目を向けてくる。


『またいつか会おう。僕が唯一認めたヒーローよ』



 その後は話した通り、俺はアリスを救えなかった。だけど俺は戦いを続ける


 そして救えなかった奴等の分まで救い続ける。


 俺はダメオヤジで、厨二病なヒーローだから。


 これが俺の物語だ。

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