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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第七章 闇に堕ちた国
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第140話 師匠の言葉 魂に刻まれた修練の証


 創造神が気にいる? 気に入られた覚えはないんだがなあ、託されはしたし、任されはしたが。

 死ぬ訳にはいかないし、邪神になる訳にもいかない。護るべき人や、託された思いがあるから。


「創造神が気にいるってのはわからないけど、託された思いは確かにあるぞ?」


『………………わからないならわからないでいい。神の思考を人間が推し量ることが既に傲慢。貴方は傲慢マンいや、強姦マン?』


 強姦どころか、俺は童貞だ!


「ぶっ……! とんでもねえ事言うんじゃねえよ! 誰が強姦マンだ!」


『………………失礼童貞マンだった』


「確かに、童貞だけど、童貞だけどもー!」


 こいつとは合わない、性格が絶対に合わない! でも童貞マンは嫌だ、童貞の男だから、童貞マンであながち間違っていないのも嫌だし!


『………………大和いつまで見ているつもり? この子を麻友に会わせたのは酷だと思うけど?』


 バステトが声をかけると、浴衣に着替えた大和さんが腹をボリボリ掻きながら、ゆったりと歩いてくる。大和さん浴衣似合いすぎだろ、侍にしか見えないけど


「あー悪いな。まあバステトが説明? してくれたんだろ? このままじゃ柊君死んじゃうし、死んだら邪神になってめんどくさいし」


 めんどくさいだけなのか? 確か倒す準備がどうとか言ってたはずだが、簡単に倒せるのか?


「あの? 洋一の中の邪神は簡単に倒せるんですか?」


 蘭が、俺と同じ疑問を大和さんにぶつける。


「ああ、柊君の中にいるのはあくまで、かけらだからな。本体だったら……軽く世界が2、3個ブッ壊れるんじゃないか?」


 俺の顔から血の気が引いていく。世界が2、3個ブッ壊れる奴が俺の中にいるのかよ、怖すぎんだろ。


「今の状態で、バステトに引き摺り出して貰って始末する。これは麻友の協力も必須なんだが、ちょっとなあ。麻友は訳ありなんだよ」


「訳ありですか?」


 訳ありってなんだろ? 大和さん話しにくそうだな。


『………………大和ちゃんと話す。私を連れてきたんだから、きちんと話す。話さないなら、私は帰る』


 おいおい! バステトが帰りそうだぞ? 帰られたらやばいんじゃないのか? 


 大和さんは、目を伏せ頭をガシガシと掻き


「あーわかった。わかったよ! だからバステトも帰るんじゃねえよ。麻友と俺には子供がいたんだよ。邪神の呪いを受けたガキがな。だからダブっちまうんだよ、歳の頃も今の(・・)柊君と同じなんだよ」


「洋一とお子さんの状況が似ていたんですか?」


 蘭の質問に大和さんは、首を横に振る。


「いや、呪いは(・・・)別種だ。ある年齢になったら自動的に邪神になるって言う呪いだった。方々手を尽くしたし、麻友の力も使ったんだがな。邪神になっちまってな、俺が殺したよ。なんの因果か、その邪神が今、柊君の中にいる」


 俺は腹をさする。


「俺の中の邪神が……?」


「ああ、そうだ。其奴は姿を変え成り代わり、俺の娘にになり俺が殺した。それをアルテミスの馬鹿が、柊君に混ぜちまったんだよ。だから創造神の依頼を受けた、邪神を殺す為に、出来るなら似た状況の柊君を助ける為にな。本来面倒くさい事は、お断りなんだがなあ」


 俺も蘭もなにも言えなくなってしまう。


「バステトに来てもらったのは、見立ててもらう為だ。後どの位柊君が持つのかな。あそこでああ言ったのは、柊君自信に覚悟を決めてもらう為だ。取り除く事に失敗したら、始末するのには変わりないからな」


 俺達が言葉を失っていると、バステトが俺の前に来て


「………………さあどうする? 今直ぐやらなくても後5日間位は持つかもよ? タブン」


 最後に不穏な言葉を残しているのは、多分もう持たないんだろうな、なんとなく俺にもわかっている。あれだけ封印を重ねて、堺さんに力を貸して貰っても、邪神の力は漏れ出している。意識が飛び、徐々に力に浸食されている感覚がある


「洋一?」


 蘭が顔を覗き込んできた、蘭の瞳に映る俺は酷く怯えた様な顔をしている。


「わっ悪い。大丈夫、大丈夫だ。いざ言われると、思い当たる場面が多すぎてさ……」


 蘭が無言で俺の膝に乗る。蘭の温もりに怯えきった俺の心が、少し落ち着く。


「…………情けない。神の使いとして、生きてきたんだろ? 今の童貞マンじゃ、どの道なにも示せない。だったらやるしかないんじゃないの?」


 示せない、この言葉に師匠の言葉が蘇る。


「鷹に対して人は、利を示し続ける事が重要だ。鷹との信頼関係が築け無ければ、一流にはなれぬ」


 俺は今、蘭に利を示し続ける事が出来ているのか?


「…………迷うな。鷹と一緒に生き、鷹匠として修行を積み生きてきたのは、魂に刻まれた確かな経験。童貞マンに、神の使いの自覚はなかったとしても。童貞マンの側にいるのはただの愛玩動物じゃない」


 バステトの言葉が、心の深い部分を刺激する。


「…………童貞マンの憧れた師匠は、鷹の前でいつもどうしていた? 思い出せ、柊洋一。貴方の師匠は、狩猟の神である私が見染めた男は、そんな無様な姿をパートナーには見せなかったはずだ。怯えるな、恐れるな、後ろを見るな」


 バステトは師匠を知っている?


「…………前を向け! 弱さを知っている、強さを知っている。鷹の気高さも、鷹匠としての想いも、貴方は持っているはずだ!」


 童貞マンじゃなくて名前で呼んでくれたら良かったのになあ

 

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