第13話 魂に刻むビート
精霊爺いが帰った後、光一を回復させ、俺は光一と2人でのんびりとしていた。何故かって? 色々疲れたし、畑仕事は明日からだからだよ。
━━バキッ
なにかが割れた様な音がする。
「ん? なんか音がしたような」
「音? 僕には聞こえなかったよ」
光一には聞こえなかったのか、じゃあ空耳アワーか。
「爺いの笑い方って、面白いよな。ブシャシャシャって漫画かアニメのキャラクターみたいでさ」
「僕は、気絶してたから知らないんだけどね……」
「ムキムキだし、褌姿だったから不審者みたいだったぜ」
笑いながら光一と話していると玄関に見知らぬ赤い髪の幼女が現れた。目が赤い、充血してるのかな? 肌は白くて目も大きく、俺がロリコンだったら思わず拐っちゃう位に可愛い。着てる服は和服を改造したような感じだな。
赤い髪の幼女? 俺の事めっちゃ睨んでくるぞ? 好きなのか? 愛してるのか? 俺、幼女は攻略対象外だぞ。ロリコンじゃないし。
『死ねえええ! 女神パーンチ!』
腹を殴ってくるが、効果音的にポコポコって言ったところか……全く痛くない。
「わーやられたあー、じゃない! 糞ガキめ。人に暴力振るうんじゃない! お尻ペンペンだ!」
人をいきなりぶん殴るなんて頭のおかしいガキめ! お仕置きだ。
ペチンッペチンッとリズム良く赤髪幼女の尻を叩いていく。段々と幼女の尻が真っ赤になっていく。
「お前の親は、なにを教えてんだ。なにが女神パーンチだ。物騒な事言いやがって」
親の顔が見て見たいとはこの事だぜ。
「あっあの洋一君、その方は」
「光一、こういう無礼なガキには大人を舐めたらいけないって教えなきゃだめなんだよ。ほら謝れ糞ガキ」
光一にもきちんと教えないとな。最年長である俺が。
『ひえええ、痛い、痛いよおお。ごべんなさい、ごべんなさい』
チラッと光一を見て、赤髪幼女は、ニヤッと笑いやがった。反省の色が見えないので、尻叩きを続行してやる。泣き真似までしやがって……ムカつくガキだな。
「洋一君、そろそろやめてあげて欲しいんだけど、尻が真っ赤に」
見てみろ? 猿みたいだろ? これ幼女の尻なんだぜ
「お前の尻が真っ赤に燃えるってか? 上手いね光一君」
この尻叩きやすいな、ドラムの練習だ!
パンッパンッパンッパンッパンッパンッ
尻でリズムを刻んでいくぜ!
「ちょっと蘭さーん! 洋一君をとめてえええ」
光一が何故か男の人呼んでーみたいに叫んでる、頭でもいかれたのか? まあ無視だ罰を続行だ。あっ蘭が飛んできた、なにか慌ててる? 敵か?
「洋一、とりあえず尻を叩くのやめて。この世界の女神様だから」
「女神? この糞ガキが?」
嘘だろ? とりあえず女神は嫌いだから尻叩きは続行だな。
「そう女神様だから、いい加減やめなさい!!」
「ぶべらっ!!」
腹にタックルするなんて酷いわ! 家の壁まで吹っ飛ばされたじゃないか。怪我しない辺り、蘭は気を使ってくれてんだろうな
『ウッウッ…………なんなのよこいつ、ステータスなんて村人以下の癖に、何故か捕まえられたら逃げれないし、神威は効かないしお尻は痛いし、私の転生者は農夫にされるし』
農夫にした訳じゃない、成り行きだ。尻は自業自得な。
「こいつ女神なの? 俺神と名の付く奴アレルギーなんだけど」
うー鳥肌がたってきそうだぜ。シッシッシッ
「そんなアレルギー無いでしょ」
「めっ女神様、大丈夫ですか?」
『大丈夫な訳ないじゃない! 見なさいよ、座れないくらい腫れてるじゃない! 痛いのよ! あーん!』
うるさいガキめ、ここは大人が注意しなきゃな。
「五月蝿えな、また尻叩くぞ。次は尻でエイトビートを刻むぞ」
『ひっ! 助けてよ! 私の転生者でしょ⁉︎』
怯えながら光一の後ろに隠れるガキ。
「いやー僕、洋一さんにお世話になってるし……。蘭さんと戦ったら消し炭になっちゃうからごめんなさい!」
『おのれ悪魔めえ!』
このガキまた調子に乗り出したな。
「ほう、まだお仕置きが足りないと?」
俺がチラリと赤髪の幼女に見える様に左手をあげると
『すみませんすみません』
必死に土下座をして、俺の足に縋り付く赤髪の幼女。
「はあ。女神様、一体なにしに来たんですか?」
蘭がため息をつきながら、赤髪幼女に質問をする。
『わだぢは、まおゔがあらわれだがら、転生者にだおぢでもらおゔと』
泣き過ぎて、ちょっとなにを言ってるのかわからんな。ん? こいつ今魔王とかなんとか言わなかったか?
『ごのままじゃぜがいがびんぢだがら』
「おい、クソガキ光一を死地に追いやる気か? ふざけた事抜かすと尻を4つに裂くぞ」
『ひっ!』
「私も光一は闘いに向かないと思いますよ? 別の方を立ててはいかがですか?」
蘭も同意見か、光一はめちゃくちゃ優しい。闘いには絶対に向かないし、何処の世界に16のガキを闘わせる大人が居るんだよ、頭いかれてんのかよ。
『まおゔばじゃじんのながまだがら、わだじだっでだだがわせだぐないから、女神バンチじだのに』
「ん?」
『だがら女神バンヂじだげどまげだじゃない!』
おやおや? これではまるで、俺が魔王だと言ってるような気がするぞ? 邪神の仲間? なにをふざけた事を、言ってるんだこいつ。
「おい、クソガキ。試しにここにいる、魔王を指差してみろ」
俺を指差しやがった、ムカつくからその指を反対に曲げてやる。
『ぎゃあああ! おのれ悪魔謀ったなあああ! いたああああい!』
「俺は魔王でも邪神の眷属でもない、只のイケメンだ。ここ迄はいいな?」
『ふっ』
あっこいつ笑いやがったな、なんなの? 小学生の頃はモテてたんだぞ? ムカつくから連続デコピンの刑にしてやる。
『ぎえええ! おでこがあああ』
「イケメンだ、いいな?」
『あっ貴方はイケップ、イケメンですはい』
イケップって何なんだよ、俺鼻長くねえぞ。
「邪神って先ず誰だよ。俺が知ってるのはこの世界じゃ知名度0のクソビッチだけだぞ」
邪神の名前位は知ってるんだろうな?
『そっそのクソビッチさんの名前は?』
なんだっけな、思い出せん。
「知らん!」
『えっ?』
赤髪幼女がびっくりしているが、あいつの名前って何故かちょいちょい思い出せなくなるんだよな。
「はあ。アルテミスです、知ってますか?」
ナイス蘭、それそれ!
『知らない』
「「「えっ? 」」」
『ごめーん、人違いだったテヘペロ』
蘭が無言で魔法を発動しクソガキを拘束する。俺はクソガキの尻を引っ張ったく。
「おらあ!! エイトビートじゃぼけえええ!!」
『ぎえええええ!!』
俺は一心不乱にゴブリンの棍棒で魂のエイトビートを尻に刻んでやった。
『ふええ、ごめんなさい、貴方から強烈な呪いの力を感じたから、きっと魔王なんだと思ったのおお』
最近ちょいちょい色んな奴に呪いがどうとか言われるな。確かに子供に戻すのは強烈だろうな。
『って鳥が喋ってる!? 神獣!? 嘘? 何で?』
「そのアルテミスに神獣にされて、契約結ばれる前に逃げたんです」
『神獣が契約無効にするって、貴女の方が格上になっているじゃない』
ん? 格上? 神より上? 赤髪幼女よりも上か、まあ当然だな
「蘭! すげー! 神より強かったんだな! 良し蘭そこのクソガキをやっつけて!」
『ひえええ、お許しくださああああい』
「はあ、やらないよ。洋一の呪いは解けますか?」
なんだやらないのか、神狩出来るチャンスなのに。
『わっ私には呪いを薄める事は出来ても、解呪は創造神クラスじゃないとちょっと……たかたが世界神の私じゃ……』
創造神って規模がデカすぎてよくわからんな。赤髪幼女は、大した事がないんだな
「じゃあとりあえず薄めて少しでも元のナイスダンディな姿に戻してくれ」
『えっ? それはちょっと私の力だけじゃ……スキルも魂に絡み付いてるし、肉体の創造は元を知らないし……』
「出来ないのかよ! 期待して損した! 俺は畑に行く! 光一行こうぜ」
「洋一が失礼な事を言ってすみません」
はーやっぱりダメか毛が戻らんのか、使えない女神だな。蘭も謝らなくていいのに。
「あっ女神様畑仕事してきまーす! 待ってよ洋一君!」