表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第六章 エルフの国へさあ行こう!
132/291

第113話 久々のビンタは蜜の味


 蘭は、魔法で城と神殿を作り上げる。ギリシャ神話に出てきそうな、白を基調とした神殿に、ノイシュヴァンシュタイン城に似た城を作り上げた。まるで、某ファンタジー遊園地のような造り。ドイツの城からの衝撃ビフォーアフターだ!


「すっげえ……。蘭、半端ないな……」


 あまりの素晴らしい造形に言葉を失ってしまう。


「某ドリームな遊園地みたいだね。洋一君、行った事あるの?」


 師匠の言葉が、心の傷を海よりも深く、えぐってくる。


「葵、私達近くを車で通った事があるのよ。なんで通ったかは、忘れちゃったけど」


 蘭! やめるんだ、忘れたままにするんだ! リア充気分を味わいたくて、駐車場まで入ってリア充達の戦闘力に負けて、蘭を理由に逃げ出した過去をほじくり返すんじゃない!


『へー。洋一達の世界にもお城ってあるんだね。凄いなー! 私も洋一達の国のお城に、行きたいなー!』


 リュイが、はしゃいでいる後ろで、エルフの人達は、両手を組み、膝を突き、蘭を崇めている。


「リュイ様、お城として使われている訳ではないんですよ。娯楽施設の一環として、使われていました。ねっ洋一? あってるよね?」 


 蘭が、俺が昔教えた知識を自慢げに披露している。可愛いんだが……心の傷が……


「……ああ。あってるよ……」


 歯切れの悪い俺に、蘭は不思議そうな顔をしている。


「リュイちゃん、その娯楽施設はね、カップルや家族や友人と、一緒に行くのが一般的な用途の施設なので、その……洋一君は余り詳しくないのかと」


 師匠おおお!! あってるけど言わなくてもいいじゃん! 1人で行く人だっているよ! 


「とっとりあえず洋一、次はどうするの? どっか行く国決めてるの?」


 蘭が話題を変えてくれたが、優しさが痛い。心が痛い……


 次に行く国かあ。正直わからん、あと何個あるかもわからないしなあ。


『柊君、アスベルクに戻る事を勧めるよ。桜ちゃんだっけ? 危ないかもよ?』


「うおっ!」


 堺さん、いきなり話しかけてくるのはやめてください。久々過ぎて、ションベンちびりかけましたから……。


『ごめんごめん。創造神は、アスベルクに行かせたくないみたいで、君達に情報を渡さなかったみたいだけど、キナ臭いんだよねえ。アスベルクに霧が、かかったみたいでこっちから見えないし』


 わかりました! 桜さんも心配だし、一度アスベルク王国に戻ってみます。


「蘭、師匠、リュイ、桜さんのピンチかもしれないから、アスベルク王国に、一度戻ろう。堺さんが、行った方が良いって。アスベルク王国に霧がかかってるみたいで、現状が見えないらしいから」


『オッケー! 魔王の指示ってのが気になるけど、桜は友達からね! 困ってるなら助けなきゃ! アタチの友達は、アタチが護る! バーニアの友達のライルも気になるしね』


 リュイがふんすと胸を張る。ライルなら、大丈夫そうな気もするけどなあ……。貞操的な意味で、余り近寄りたくないが、ピンチなら助けない訳にはいかない。


「桜さんは、貧乳かな?」 


 この状況でも師匠は一切ブレない。そこに痺れる憧れるう! って憧れてる場合じゃない。


「いえ、巨乳コスプレイヤーです。忍者コスをしています」


 師匠は巨乳で落胆しかけたが、忍者コスと聞いて目の輝きがました。師匠、コスプレ好きなんだな。


「忍者! くのいち! 僕も全力で力を貸そう!」


「桜を助けに行きましょう」


 師匠の変わり身の早さに、呆気にとられていた俺の肩を、レイ先生が優しく叩く。


 蘭は、俺の肩に乗り


「桜は、私達の仲間だもんね。ピンチなら必ず助けよう。それに桜は洋一の友達だからね」


 蘭の言葉は、いつだって俺に勇気をくれる。


「よーし! いっちょ、桜さんを救いに行きますか!」


 桜さん、必ず俺が助けます! ピンチかどうかはまだわからないけど!


「意気込んでるけど、行くのは念話石で連絡してからね。いきなり現れたら向こうもびっくりするでしょ?」


 はい、その通りです……アポ取りは大事ですもんね……。


 そう言えば、役場で働いていた時も、田舎だから大丈夫かなーって、アポ無しで言ったらめちゃくちゃ怒られたなあ。あの爺さんは、元気してるかなー。血圧に気を使ってくれてればいいんだが……。


「洋一!」


「ふえ?」


 蘭に名前を叫ばれ、思わず変な声が出てしまう。思考が別の時空にとんでいたようだ。


「桜に念話で話しかけているんだけど繋がらない。ロザリアにも繋がらないし、正直マズい事になってるかもしれない……」


 蘭の焦りを感じる。


「えっ!? やっやばいじゃんそれ!! はっ早くたちゅけに行かないと!」


 ロザリアさんにも繋がらないって、めちゃくちゃやばいんじゃないのか? スーパーピンチか? 巨乳を傷つけられていたら……! どうしよう、どうしたら……あわわわ。王様とか大分年寄りだったし……! あの兵隊さん達とか、大丈夫なのか!?


「洋一、落ち着いて!」


「へぶらいっ!」


 蘭に羽根で引っ叩かれた……。頬が痛い、ジンジンする。だけど、少し落ち着いてきた、とりあえず早く行かなければ!


「洋一、転移で飛ぶから走り出そうとしないで。皆んな、そばに来て」


 蘭と俺を中心に、リュイ、レイ先生、師匠が集まる。


「ワターシハ、コノコトクニヲ、マモリマース! オキヲツケテ!」


 亮の激励を受け、俺達はアスベルク王国へ飛んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ