表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第六章 エルフの国へさあ行こう!
128/291

第110話 この国の城はもう……


 城の神殿があったであろう場所のドアは、鎖でぐるぐる巻きにされている。なにやら物々しい雰囲気をしている。


「すげえ……ガチガチに閉じてる」


 どうやって開けるんだこれ? この鎖で閉じてるだけで、瘴気が漏れないのはどう言う使用なんだ? 亮を見ると、亮は神殿を見ながら


「コウシナイト、ダメデース。マンガイチガナイヨウニデース」


 それだけ言って、黙ってしまう。気まずい……エセ外人訛りで、シリアスな空気を出されるとなんかなあ……。


「洋一君、僕がやるから、君達はここから中に入らないでね。特に洋一君と蘭ちゃんは、だめだよ。理由はわかるね?」


「蘭は、神獣だから? 俺は「洋一の中に居る、邪神の因子ですか?」


 蘭が、俺の言葉を遮って師匠に質問する。


「そうだね。今回は前回と違って、瘴気が濃過ぎるからね。君が、邪神に乗っ取られる可能性がある。そうなったら、僕は君を斬らなければならない」


 師匠が、いつの間にかに抜いた剣を俺に突きつける。


「そんな! ヨーイチを斬るだなんて……」


 レイ先生が慌てているが、邪神になってしまったら、斬られても仕方ないと俺は思う。この世界に、害を成す可能性があるならば、斬って捨てるべきだと……。


『レイ、だから葵が一人でやるんでしょ? 葵頼んだわよ!』


 師匠は、笑いながらリュイに手を振りドアの前に立つ。両手で、剣を持ちドアに向ける。

 師匠の剣の刀身が蒼く輝く、師匠が剣を横なぎに振るうと鎖がバラバラと地面に落ちていく。


『すっご……』


 リュイには見えていたのかな? 神殿が崩れていく。師匠が苛立った顔をしているが、成功したんじゃないのか?


「チッ……。浅かったかな、蘭ちゃん、亮、防御結界を今すぐ張っておいて。リュイちゃんになにかあったら困るから」


 師匠はこちらを見ずに、蘭と亮に指示をだす。


「オッケーデース! ヤクオウヲオネガイシマース」


「葵、無茶はしないでね」


 亮は、オレンジ色の結界を張り、蘭は亮の結界に重ねる様に、紫色の結界を張る。


「師匠、俺は……!」


 師匠になんて声をかけていいかわからず、口ごもってしまう。


「大丈夫だよ洋一君、僕この戦いが終わったら結婚するんだ……!」


 何故、今更使い古されたフラグを立てるんだよ……。


「じゃあ僕は行くよ! 殺人犯のいるこんな場所には、いられないからね!」


 余計なフラグを残し、師匠は瘴気渦巻く中に入って行く。


『葵、ここは任せろって感じだったわね』


「いやリュイ、フラグを重ねなくていいから。いや重ねた方が安全なのか?」


「洋一、ふざけてないの。葵の戦いを良く見て」


 蘭に言われ師匠の方を見ると、師匠はあるラインから先に行かない。


「なんであの位置から動かないんだろ?」


「ヨーイチ、あの位置が、相手の攻撃の間合いなんだと思うわ」


 リュイ先生、間合いとかわかるんだな。流石は探索者って事なのかな? 俺は間合いとか、わからないけど。


 師匠の身体がブレた様に見えた瞬間、結界越しでも爆風が伝わってくる。


「師匠が一瞬、ブレた様な」


 俺は言葉を止める、瘴気も壁も神殿も城壁も、全てが無くなっている。


「空が青いなー」


 思わず現実逃避をしてしまう。


「あっ洋一! 皆んな避難! 城が崩れる!」


 蘭の声で、現実に引き戻される。


「逃げろおおおおおおおおおおおお!!!」


 感情に浸る間もなく全員で駆け出す。


━━ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 城が、音を立てて崩れていく。城の破片が降り注ぐ、蘭と亮が防御結界を頭上に作り、破片を防いでいる。


「うおっ! 結界があるとは言えこええ〜!」


「洋一! 無駄口叩いてないで走る!」


 レイ先生は、額に汗をかきながら全力で走っている。亮は、防御を優先しつつ走っているが、表情に余裕がある。


「洋一君、皆んな伏せてー!」


 師匠が、こちらを向いて剣を握っている。全員、全力でその場に伏せる。


「破ッ!!」


 師匠が気合いの掛け声と共に、剣を振るう。

 音がしないどころか、なにも降って来ないぞ?


「あれ? 瓦礫は……?」


「丸ごと斬り飛ばした。そのうち、創造神も来るんじゃない? 堕ちた神獣も、瘴気ごとまとめて斬り飛ばしたから」


 改めて思うが、師匠は規格外の化け物だ。勇者である亮ですら封印しか出来なかったヤクオウを、瘴気ごと斬り裂いてしまうとは……。


「ヤクオウハドウナリマシタカ?」


 亮は、やっぱりヤクオウは助けたかったんだろうな。


「ヤクオウ? ああこれ?」


 師匠は小さな蛇を亮に手渡す。


「ヤクオウ! ヤクオウウウウ!」


 ヤクオウを抱き締め、亮が泣いている。師匠は苦笑いをしながら。


「殺してないよ? いや殺してないは的確じゃないかな。1度は殺したんだけど、身体の中にいたんだよね。瘴気に呑まれてないし、多分生きてるよ」


『葵! やるじゃない!」


 リュイが、葵の側を嬉しそうに飛び回る。レイ先生は、固まっている。


「城が……歴史ある皇国の城が……」


 レイ先生は、青い顔をしながら城が、城がと呟いている。

そりゃそうだよなあ、原因も責めにくいしなあ。


 城を崩壊させたって字面だけみたら、凶悪犯だよなあ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ