バレンタインデー 特別企画
「バレンタインデーだぜ!」
「洋一には、無縁の話だね」
「うっうるせえ! 麦チョコを袋で貰った作者よりましだ! しかもポストに入ってたらしいぞ! 普通なら食わないぞ!」
「作者は、喜んで食べてたらしいね。でも洋一は、小さい子にイベント開場で、チョコをぶつけられてたじゃない? あれは貰ったって事じゃないの?」
「あれは違う! 節分とバレンタインデーを混同したガキが、手汗でベトベトになったチョコを、いらないからって、俺に投げつけてきただけだ!」
「服がベトベトになってたよね」
「悲しかったさ! 喰らえ妖怪! チョコボンバーって叫びながら、投げられてみろ! 嫌な気持ちにしかならないぞ! 人様の子供を怒る訳にもいかないし!」
『チョコってなーに? 甘いの? アタチにちょーだい?』
「リュイ! バレンタインデーは男が貰う側だ! 女子は意中の人にチョコをあげるんだ!」
『いや! アタチもチョコほしい!』
「リュイ様、女の子が貰えるのは、お返しのホワイトデーの時です」
『ホワイトデー? じゃあヨーイチちょうだい!』
「だからあ! 先ずは俺が貰う側なの! ギブミーチョコレート!」
『ギブミーチョコレート!』
「はあ。紗香や桜に頼んだら?」
「頼むのは違う! 下駄箱とか机に入っていたり、桜の木下で告白されたいの!」
空から光が……眩しっ!
『ヨーイチ君! 好きです! 僕の全身で象ったチョコレートをどうぞ!』
「きもい! おいエロス! なんで全裸なんだよ!」
『僕を食べて?』
「食べないよ! 嫌だよ! 師匠、汚物がリュイの目の前にありますよー!」
「汚物は消毒だー!!」
師匠とエロスが、ガチバトルをしている。
「結局いつもの大混乱になるね」
「異世界に来た地球人達は、なにやってんだよ! チョコレート広めろよ! バレンタインデー広めろよ!」
『チョコレートよこせー!』
だからリュイは貰えないんだってばよ!
『柊君、君に渡す物がある、はいこれ』
「え? なんで堺さんが俺に?」
突如堺さんから、チョコレートを貰った。おホモダチって事?
『いやいや違うよ、地球からのお届け物さ』
「はっはい、いったい誰が俺に?」
『それは内緒さ! 渡したから帰るね』
「洋一、開けてみなよ」
【柊洋一様、貴方が居なくなってから、寂しくて寂しくておかしくなりそうです。私は、ずっと貴方をお慕いしています。童貞が卒業され、私と結婚してくれるのを心待ちにしています。】
ps.早く帰って来ないとお婆ちゃんになっちゃうぞ!はあと
貴方を愛する、農協の佐藤 苗子より。貴方のいない世界で、私は羽ばたけない
俺は無言で、手紙をたたみアイテムボックスにしまう。
「リュイ、チョコやるよ。どんなデザインでもいいだろ?」
『うん! ちょーだい!』
リュイが、袋を破き、箱を開けると。そこには、猿の頭蓋骨を模したチョコレートが入っていた……。
『不思議な形! でも甘くて、美味しい!』
美味しいのか、おばちゃん、いや佐藤苗子さん。ごめんなさい地球には、絶対に帰りません。許してください。
「初めてチョコもらえたね、洋一」
「うっうるせえええ! 黒歴史が増えたわあああ!」




