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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第六章 エルフの国へさあ行こう!
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第105話 浄化の炎と付喪神


 肉を抉られた、めちゃくちゃ痛い。蘭がまだ小さい時に、加減を間違えられた事はあったけど、今までの比じゃない。


「肩がもげたー!!」


「もげてないわよ! もうヒールで治したし」


 蘭が、しょげている。ははは、でも良かったあああ。蘭が無事で、めちゃくちゃ痛かったけど。


『蘭! すごいじゃない!』


 リュイも大はしゃぎだ。だけど、この惨状の原因は潰したが……被害が大き過ぎる。


「墓、作ってやらなきゃな……」


「私がやるよ。聖炎葬送(セイエンソウソウ)


 白く優しい炎が、エルフの人々の亡骸を焼いていく。


「おっかしいなー。勇者は、いなかったのかな? いや、勇者の気配は、まだあるんだけどなー」


 師匠は、聖炎を見ながら呟いている。


 やがて聖炎が収まり、辺りは鎮まりかえる。戦士達の武器や防具を残して。


「この武器や防具を墓替わりにしよう。俺達は、ここに眠る戦士達の名前も知らないし……」


『墓跡替わりね。野党達に荒らされなきゃ良いけど……』


 野党達からしたら、墓には見えないか。むしろ宝の山か。


「僕が、人肌脱ごうじゃないか! 踊れマナよ! 武器や防具に眠る魂よ、持ち主の縁者以外を拒絶し、この地に眠れ! 血縁魂(ブラッドソウル)!」


 師匠の魔法で、武器や防具が宙に浮き躍り出す。


 師匠の詠唱が終わると、武器や防具がその場にゆっくりと、鎮座していく。


「日本で言う付喪神を応用した僕のオリジナル術式だよ。真似しないでね?」


 師匠は悪戯っぽく笑って言う。真似できるか!


『多分、こんな事できるの、葵だけよ。アタチ達、精霊にも無理。擬似的にも、魂を与えちゃってるじゃない……どんな魔力してんのよ』


「私にも出来ないわ。出来る気がしないし」


「ワハハ、僕がNo.1でオンリーワンなのさ!」


 師匠の決め台詞がめちゃくちゃださい。


『それより、ヨーイチ……いつまでレイのお尻触ってんのよ。戦ってる最中もずっと触ってて、いやらしい』


 えっ? そんな事は、あっあれ? おかしいな? 気持ち良過ぎて、離れないぞ! 


「……うっうん」


 ゲェッ! レイ先生が目を覚ました! 早くスカートとタイツをあげないと!


「えっ私、そうだ! 黒龍は!」


 レイ先生が、勢いよく立ち上がる。当然、スカートとパンツを下ろした状態だ。目の前には、レイ先生の……


━━ブバッ!!


「ヨーイチ? ってきゃあああああ!」


 顔を真っ赤にして、叫ぶレイ先生。レイ先生の右手が、俺の頬へ吸い込まれる。


 ばちん! 


 鼻血を出してる俺に、追い討ちのビンタをしてきたレイ先生。だけどありがとうございます! 眼福でした!


「全くなにしてんだか。レイ、早くスカートを直して。葵、赤い顔をしてチラチラ見ないの!」


 蘭が真っ赤な顔をした師匠を怒っている。


「あっいや、僕は、その、初めて……」


 師匠もレイ先生のアソコを、チラチラ見てたのか……。やはり男だな! しどろもどろになってるし


「洋一もしっかりしてよ。鼻血流してる場合じゃないんだよ、全く」


「おっおう……。初めて女性のアレを見たから、その、びっくりしてな」


「そっそれより! 黒龍は!」


 レイ先生が黒龍を探す。


「私が倒して回収したわよ。一応亡くなった人の墓跡として、武器を添えておいたわ。葵が、縁者以外誰にも触れないようにして」


 それを聴くと、レイ先生は力なく膝をつく。


「私は……またなにも出来なかったのね」


 レイ先生が、肩を落としてしまう。


「レイ先生、まだやる事はあるよ。生きている人を探さないと! 街の方への被害も調べないと」


「そっそうね……。街の方へ行きましょう。ここは、皇国の南端なので、皇国の中心の方へ行きましょう」



 アザマルと言う小さな村に着いた。南端と、中心を結ぶ唯一の村らしい。


「見事なまでの廃墟だな……」


 アザマルの村は道は壊れ、家は倒壊し、生き物の気配すらしない。


「人と魔物の気配がないねー」


『うーん、生き物もいないねえ。瘴気は、あちこちに残っているけど』


 瘴気があちこちに残っているって、やばくないか?


「神殿に行かないとまずいな。瘴気はそのせいだろうしなあ」


 幸い、神殿レーダーの反応も歩いている方向だしな。


「洋一、神殿の反応は?」


「向こう方だな」


「中心地の方ね、少し飛んで先を見てくる」


 蘭が、中心地の方へ飛んで行く。


「蘭の飛ぶスピードが上がってる。無茶しないで、戻ってこいよ……」


「蘭ちゃんなにかと話してるみたいだね」


「なにかって師匠見えるんですか?」


「まあねえ。見えるし聞こえるよ、音の方はちょっと聞き取りにくいけど」


 めちゃくちゃチートじゃないか。俺なんてなんにも聞こえないぞ?


「天眼の力を使ってみなよ」


「使ってみなよって言われても使い方が全くわからないんですが……」


「気合いでやるんだよ! 目に力を入れてみなよ!」


 根性論で言われてもなあ……とりあえず目に力を入れてみるか。


「ぐむむむ!」


「それじゃ目に力を入れただけの変人だよ。魔力を目に集めるんだよ」


「魔力を目に……目に……」


 視界が乱れ始める、おわっ! すげえ遠くが見える! 蘭は何処だ? いた! あれ? なんか蘭がげんなりしているような……

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