第9話 亜種は強いって相場が決まっている
パーティーと言う名の食事会の時に思った事がある。それは精霊も普通に飯を食うと言う事。俺が知ってるファンタジーでは食べてるイメージが無かったから驚いた。
この世界は何処か歪んでいる気がする。
♢
村人の強さを求めて、素振りをしゴブリンやスライムと言う雑魚狩りに精を出した。ゴブリンやスライムが毎日、俺の夢にまで遠征してきやがる。
彼奴らリポップでもするかの如く湧きやがって……
この世界で最弱に位置する青いスライムなら余裕で倒せる、青いスライムならな。
レッドスライムやグリーンスライムは無理、ボコボコにされたし。なんなの? 青と赤や緑で差があり過ぎだろ……。
「スライム亜種の癖に、強過ぎるだろ。ちくそう」
本気で悔しくて、泣いたよ俺は。
「まあまあ洋一、少しずつだよ。何れは楽に倒せるよ多分きっとそのはず」
「曖昧に言うなよー蘭。でもさちょっとずつ強くなってるし、レベルとかステータスって向こうには無い指標があるから結構楽しいんだ。それにさ蘭が居るから、怖い物なしだ」
「お化けは? 地球でダメだったじゃない。夜中にトイレに行くのを迷うレベルで。この世界ゴーストとかスケルトンとかグールとか居るけど大丈夫なの?」
きゅっ急になんて事を言うんだよ全く。おババババけなんているわけないだろ……地球じゃないんだし!
「蘭……怖い事言うなよ、嘘だろ? レイ先生、嘘だよね?」
蘭は首を横に振っている、いるのか? いっいやお化けなんているわけないだろ……ゾンビゲーじゃないんだし。
「死霊系ダンジョンとかにはいるわよ。そう言うダンジョンには大抵教会か、神聖魔法が使えるパーティとかしか行かないけど」
お化けいるのかよ! 死霊って言葉がもう嫌っ! 幽霊とかマジ無理ゲー過ぎる。
「オレダンジョンイカナイ」
『ヨーイチあんた、魔物には突撃するのにお化けが怖いの? アタチがついてるから大丈夫よ!』
「おおー流石リュイだ、我が心の友よ!」
流石リュイ、優しさ満点だな。こんな幼女に庇われてしまうなんて悔しい涙が出てちゃう。
「ヨーイチ、貴方また魔物に突撃したの? あれだけ安全にって言ったでしょ? 」
おうふ、ふざけていたらレイ先生に突撃したのがバレてしまう。前回めちゃくちゃ怒られたから誤魔化さないとやばいかもしれない。
「だっ……だって! スライムだから、なんとかなるかなって、そしたら赤いスライムが俺の腹に、真横から体当たりをぶちかまして来て、それで俺が、倒れたら残りのスライムがわーって」
「蘭ちゃんとリュイ様が、一緒だからって油断しない!」
レイ先生、凄く怒ってらっしゃる…………。
「はい、すいません。ほんとすいません」
俺は、必殺の土下座を繰り出した。これで許さない人は居ないはずだぜ。ふふふ、日本人の奥義を喰らえ!
「レイ、洋一は説教を、早く終わらせようと土下座してるだけだからね」
おいいいい、らああああん! なんでそんなタイミングで暴露すんだよ! レイ先生の説教は、長いんだよ。だから適切なタイミングで土下座したのに!
「はあ、リュイ様キツイの1発お願いします」
蘭? キツイのってまっまさか……
『そうね、ヨーイチは反省が必要ね』
リュイが、バチバチしてる。
「やっやめるんだ! 話せばわかる!」
『問答無用!』
「がががががががが」
相変わらずリュイの電撃は、痺れるぜ。髪の毛チリチリになってないだろうな?
「そういや、蘭。さっき空で魔法をぶっ放してなかったか? 」
『ヨーイチ当然の様に起きたのね。アタチ結構強めに撃ったのよ? アタチ自信なくなるわよ』
リュイがびっくりしているが、多少は痛いし痺れはするんだぞ? まあそんなに効かないんだけども。
「リュイ様、洋一がおかしいだけだから」
蘭酷いぞ!
『そっそうよねヨーイチが、おかしいだけよね』
おかしい、おかしいって酷いな。話題を変えるか。
「さっきなにと戦ってたんだよー。早く教えてよー」
「仕方ないなあ」
蘭はアイテムボックスから、黒こげのでかい魔物を取り出す。うっ焦げ臭っ! 原型がわからんぞ……。
「うおっ! デケエ! なんじゃこりゃあああ」
「グッグリフォン! 」
グリフォン? この丸焼けの変な奴がグリフォン? 強いのかな?
「グリフォンて、強いの? 」
「ドラゴンよりは劣るけど、出会ったら必ず死ぬって言われるくらいよ! かなり危険なモンスターよ。知能も高く、魔法も使えるのよ」
出会ったら死ぬレベルのモンスター多くない!? 異世界人よく絶滅しないな。異世界人が強いのか?
「超強いじゃん蘭すげえ! でもなんで倒したんだ? 襲われたのか?」
「そうじゃなきゃ倒さないよ」
蘭がちょっと誇らしげにしている。
「焼け焦げててどんな奴かわからなかったのが残念だなあ。蘭どんな奴だったんだ?」
「大きさは日本の熊くらいかな? 頭は鷲みたいで、爪も太く鋭いし、会話もできたんだけどねえ。洋一達を食い殺そうとしていたから、氷の槍で串刺しにして、黒炎魔法で焼いて仕留めたんだけど……ちょっと焼き過ぎちゃった」
カッコイイ、凄い、ヒーローみたいだ! グリフォンと蘭に、力の差があり過ぎるんだろうな、なんかサクッと倒したみたいだし。
「蘭がヒーローみたいだ! すごいなぁ、俺も秘められた力で魔法をドカーンとできないかなあ。 こう爆裂魔法地獄火炎弾的な感じで!」
厨二病宜しくな、ポーズを決める。
『魔力0は黙ってなさい! でもちょっと異常よ。いくら魔獣の森でも、ドラゴンとグリフォンが短期間で連続で出るなんておかしいわ! アタチ精霊王様に聞いて来るわ!』
黙ってなさいって言いながら、一瞬でリュイがいなくなってしまった。精霊王ってあれか、髭が凄いタイプの人かな? 星形を希望する。
「確かに、リュイ様が言うようにちょっとおかしいわね。ドラゴンだけなら、たまたまかもしれないけど、ちょっと私も探索者ギルドのギルドマスターに報告に行くわ! グリフォンの羽だけ借りていいかしら?」
レイ先生も何故か焦ってるな。なんだ? 異世界あるあるじゃないのか?
「蘭、羽貸してって、別にいいよね?」
「もちろん。私も気になるしね、それにレイなら信用出来るからね。ああレイ、この石を持っていきなさい」
蘭がレイに石を渡す、なんだろうあの石?
「魔石かしら? 蘭ちゃん御守りかなにか?」
「その魔石は魔道具なの。何処に居ても私に念話が出来るようになるわ」
「蘭ちゃんありがとう! 行って来るわ!」
魔石を受け取るとレイ先生が嵐の様に去って行く。もうちょっとハグとか、キスとか感動的な別れ方は無かったのかなあ。
「おお、皆んないなくなっちゃった。魔道具も作れるなんてすげえな! 蘭久々に2人きりだぜ、修行しよう、修行!」
「もう魔物に突撃しないでよ?」
「もう突撃はしない、スライム亜種は怖いからな。そのうちヤムチ○になりそうだし。リアルヤムチ○は笑えないしな」
スライム物理耐性でもあるのかな?
「亜種とは言えスライムに勝てないのは笑えたけどね」
「おいっ!」
失礼な家族だな!