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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第五章 怪異が統べる妖の国
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第96話 お互いの思い 2人の絆


 お母さんって凄いんだな。男が、女に勝てないわけだよ。俺が、無意識に使っていた「家族」って言葉は、家族を求めていたのか。


 アーレイのお母さんに指摘されるまで、気づかなかったな……。


「アーレイのお母さん、ありがとうございます。その、少しだけすっきりしました」


 蘭が、少しむくれてる。多分不甲斐ないとか、思っているんだろうなあ。全然違うのに、むしろ頼りっぱなしなんだがな、異世界でも地球でも。


「師匠、アーレイのお母さん、ちょっと蘭と1人にしてもらえますか?」


「はい。私は葵様の結界について、お聞きしたいので」


「行ってらしゃーい」


 神殿なら人はいないだろうと言う事で、蘭の魔法で神殿に転移する。神殿に到着し、蘭と対面に座る。

 

 あらためて話すのって、なんか緊張するな。


「なあ蘭、俺ってば家族への憧れがあったんだな」


「洋一を、見てればわかるよ。普通の親子関係に憧れているんでしょ?」


 見てたらわかるのか。俺ってそんなにわかりやすいのかな?


「まあなあ。母ちゃんは俺のせいで、身体を壊して入院して、そのまま逝っちまったしなあ。元々母ちゃんは、俺を育てるために働いてたから、あんまり家にいなかったしな」


「洋一、寂しかったの?」


 寂しかったか……。うーん、難しい質問だな。


「うーん、30年以上前だからなあ。寂しかったとは思うがなあ、なんとも言えないな。まあ後悔はしてるよ、親不孝しかしてないしな」


「洋一、気付いてるかもしれないけど、こっちに来てから大分、精神が幼いと言うか、不安定になってるよ」


 精神が幼いって、確かに妙にハイになったり、やりたい放題やってる様な気は、しないでもないけど。


「うっうーん? そんな事ないと思うけど」


「地球での洋一なら……人前で泣いたり、キレたりしないでしょ?」


「いや、怒る時は怒るぞ?」


 そりゃ、激怒する事はなかったけど。


「じゃあ神様を、あんなに憎んだりはしなかったでしょ? 例え運が悪い事や、理不尽な事があってもさ」


 神を憎んだ事ならある。香奈じゃなくて、何故俺を生き残らさせたってな。


 それよりも地球では、自分の力の無さやバカさ加減を呪ってたからなあ。


「まあなあ」


「洋一は、地球で私以外の人と話す時、必要以上に距離を開けていたんだよ? 必要最低限しか人と話さない。目線を合わさない、腹の中は見せない。心から笑わない。私は、ずっと……ずっと心配だった。人間は、群れで生きている生き物なのに、洋一は、ずっと1人だったから」


 そうか、蘭の目線で見たら、余計に異端に見えたんだろ。群れで生きている人ばかりではないが、人は大なり小なりの群れの中で生きているもんな。


 蘭の瞳に涙が見える。蘭が、かすかに震えている。


「洋一は、私にずっと話しかけてくれた。色々な人の話や、世界の話。そして、色々な世界を見せてくれた。私には、どれも新鮮で色鮮やかに見えたんだよ?」


 俺は、蘭をそっと撫でる。


「私は、与えて貰うばかりで、洋一に利を示せていなかった。だから、この世界ではって思ったけど。洋一を助けたのは、紗香や、堺さんや、アーレイのお母さん、私は、私は……」


 蘭はそんに思い詰めていたのか。でもまさか、俺と同じように、利を示せていない事で悩んでいたなんてな。


 俺は、蘭にフッと笑いかけ。


「蘭、俺はさ。ずっとお前に、対して利を示せていなかった。蘭がいなければ、俺は鷹匠になれなかったし、この世界では、間違いなく死んでたよ」


「洋一……」


「お互い、同じ様に悩んでいたなんてな。俺達は、似た者同士の家族なんだな。なんだか嬉しいよ」


 蘭と、同じ気持ちだって言うのが、本当に嬉しい。俺達は、地球にいた時から、通じあっていたんだな! 相思相愛じゃないか! 以心伝心だな!


「洋一?」


「ははは、照れくさいな」


 家族に本音を話すってなんだか、くすぐったい。


「ねっねえ、洋一?」


 蘭が、何度も読んでくるが、そんなに恥ずかしい事か?


「蘭? どうした? ははーん。蘭も照れくさいんだな」


「いや、あの、洋一のポケットが光ってるんだけど?」


 ポケットが光ってる? なんじゃこりゃ!!


「え? うおっ! めちゃくちゃ光ってる! 俺に光属性がついたのか!?」


 ついに! ついに! 勇者への道が、切り開かれたのか!


「もしかして、リュイ様じゃない? ポケットの中で、寝てたんでしょ?」


「えっ? リュイ?」


 ポケットの中のリュイを覗きこんで見る。リュイは、光のクリスタルの様な物の中にいるんだが……これ大丈夫なのか?


「おい、リュイ? 大丈夫か?」


「……もしかして、精霊の格が上がる?」


 リュイに声をかけたり、クリスタルを触ってみたりするが、全く反応がない。光は少しずつ、強くなってきている。


「なっなあ……蘭、リュイは大丈夫なのか?」


「私にも、わからないよ。葵なら、わかるかもしれないけど」


「師匠ー! 師匠ー! 応答願いまーす! リュイが、光って、クリスタルに!」


 師匠なら聞こえるはず! だって、師匠だもの!


「いや、洋一。聞こえるわけないじゃない、此処、地下の神殿だよ」


 蘭に、冷静に突っ込まれた。


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