第7話 エロフ
3人で家に戻ると、なんと言う事でしょう。そこには煌々と光る謎の物体が、リビングに居るではないか。
お分かりいただけただろうか? そうあれはまさしく幽霊……この世の物じゃない……闇の住人達。
「うわああああ! 蘭幽霊だ、UMAだ、ターンアンデットしてくれええ。ひえええ、なんまんだぶつ、なんまんだぶつ」
自慢じゃないが俺は、心霊系NGなナイスガイだ。恐い恐すぎる。お化けとか幽霊とか意味がわからないし。
俺はレイ先生と蘭の後ろに素早く隠れガタガタ震えている。
「ひえええ! おたすけええ」
「洋一、これは幽霊じゃない、精霊だよ。ってか洋一良く見えたね」
せい霊!? 蘭はなにを言ってるんだ!?
「ほんとね、もしかしたらヨーイチには精霊視の力があるのかしら? 」
精霊視? 精霊が見えるって事かな? あれ、じゃあこれは、幽霊じゃないだと? えっそれはまことなりか?
「えっ? 精霊って事は幽霊じゃない? 幽霊じゃないなら先に言ってくださいよお。しかし精霊かあ……びっくりさせやがってこいつめ」
んだよ、精霊かよびびらせやがって。くらえツンツンの刑だ、人間を舐めたらあかんでー! 秘孔を突いてやる!
「あっ……! ヨーイチダメ!」
レイ先生が止めてくる? なんでだ?
「ぎえええええええ!!」
生まれて初めての電撃は、蜜の味(はあと って痛いわ!
「はあ。雷の精霊さん、ごめんなさい。でも一体なんの御用で我が家に?」
蘭が光に向けて謝罪をしている。
『貴女が新しい神獣ね? アタチは雷の精霊リュイよ! 貴女が使った雷魔法が凄かったから挨拶に来たの。土や水や火もその内遊びに来るって言ってたの。アタチは、抜け駆けして1番に来たの。そしたら何故かこの人間は、アタチの姿が見えちゃうし、精霊であるアタチに普通に触って来るからびっくりしたの!』
「リュイ様、私レイ•コウーラルと申します。エルフ族です、お見知り置きを」
エロフ? レイ先生はエロフだったのか? 痺れて寝てる場合じゃない!
「レイ先生! エロフなんですか? エロエロなんですか? どうなんですか! ぶべら!」
レイ先生は、顔を真っ赤にして怒っている。
「ちがあああう! エロエロでもエロフでもありません。私はエルフです。エルフ! 次間違えたらその口縫い付けますからね?」
痛いよママン、ぶん殴らなくてもいいじゃない。男の子だから反応しただけなんだよ。何て言っても、ファンタジー代名詞の巨乳エロフだぜ!
『私の雷撃を受けて……なんで、あの人間は動けるの!? 化け物なの!?』
「失礼しました。ヨーイチは人間? 人間です。ちょっと興奮しちゃっただけで」
レイ先生は、何故か俺が人間ってところに引っかかっているが人間だぞ?
さっきからレイ先生や蘭は誰と話してるんだ? まさか精霊じゃなく、やっぱり幽霊がいるの? それとも幻覚か幻聴?
「洋一、絶対アホな事考えてるだろうけど、私もレイも精霊様と話してるんだよ? 洋一には聞こえないの?」
蘭に聞こえないのって言われてもなあ。
「俺には、なにも聞こえないけど」
『あら? アタチが視えてるし、触れる癖に声が聞こえないなんて何故かしら?』
俺の頭の上を、ぐるぐると蠅の様に飛び回る精霊様。めちゃくちゃうざい。はたき落として良いかな?
「洋一、やめときなよ。また感電するよ」
「ははは。何の事やら」
『うーん、良し思い付いた! くらえええ』
精霊様が突如俺の目の前で大発光をする。
「目がああああ、目がああああああああ!!」
俺は目を抑えてのたうちまわる。しっ失明する……
『これで声も聞こえるし、アタチの姿もちゃんと見えるでしょ?』
目が見えるようになると、目の前には、灰色の髪、灰色の大きな目、小さな鼻、髪型はツインテール、黄色と黒でデザインされた服を着て、背中に羽を生やした可愛い幼女がいる。テレビに出る子役よりよっぽど可愛いぞ。
「うおっ! なんだこのちんまい幼女は!? ぎええええ! 」
また電撃を浴びせられた……。電撃をかなりくらってるけどよく死なないな俺。
『失礼な奴にはお仕置きよ。それより人間変わってるわね! 身体は若いのに中身はオッさん、凄いチグハグ不思議! それに誰の加護も無いし、別の場所から来た人間はみんなこうなのかしら 』
精霊におっさん扱いされるが、まあ事実だから反論できないな
「洋一が、特殊な例なだけですよリュイ様。まだ私達は、こちらに来たばかりですし」
『ふうん。神獣の貴女がそう言うなら信じとくわ。ねえ、あんたアタチの友達になってよ! アタチ産まれたばっかりだから友達少ないの』
「良いぜ! じゃあ俺が友達第1号の柊洋一だ! 気軽に洋一って呼んでくれ」
俺はニカっと笑って、精霊様に手を差し出す。やった、人生で2人目の友達ゲットだぜ!
『あっありがとう、リュイって呼ぶと良いわ! 貴方人間なのに、力をくれとか加護をくれとか言わないの?』
リュイは赤くなって俯いている、何故か目は涙目になっている。利用するのが友達なんて間違ってる、この間違いを修正しなければ良好な関係は作れない。
「リュイ、友達に対価を要求するなんて、それは友達じゃないぞ! そんな友達関係は間違ってる」
俺はドヤ顔で言い切った。損得感情を入れるなんて友達じゃないしな。蘭はウンウン頷いてくれる。レイ先生だけは何故か下を向いている。
『ヨーイチは変わってる! 変人の友達!』
「人前で、ヨーイチは変人とか言いふらすなよ! 俺の好感度マイナスからスタートしちまうからな」
俺はリュイとケラケラ笑いながらはしゃいでいる。友達っていいなあ。
「洋一は、この世界をよく知らないだけなんだ。お願いだから洋一にその眼を向けないであげて。洋一はエルフと精霊の関わり方を否定したわけじゃないんだ」
「蘭ちゃん……ごめん。抱っこさせて、今だけで良いからごめん」
「うん、良いよ。洋一が迷惑かけてごめんね?」
「違うの、違うのよ」
蘭やーい。俺なんかまずい事言ったか? なんかレイ先生落ち込んでない? 謝った方がいいかな? 後俺も蘭を抱っこしたい、もふもふしたい。
「(相変わらず、他人の機微には敏感だね。大丈夫よ、これはエルフであり精霊魔法が使える、彼女が折り合いをつける問題だから。リュイと遊んでおいで)」
「リュイ外行こうぜ! 」
俺は蘭に任せて、外に出る事にする。蘭に任せておけば、万事OKだからな
『レイ、アタチと貴女達エルフの関係は友達とは遠いかもしれない。だけど貴女に力を貸している精霊達は別に支配されてる訳でも無いのよ。貴女だから力を貸して居るの、わかってね? ちょっとヨーイチ!! 早いわよ!! 待ちなさーい』