アスター(琉依視点)
美香ちゃんの誕生日プレゼントを買うのに付き合ってくれた村岡くんはその日も優しい日で3時間も付き合ってくれた。しかもこれで良いんじゃないですかってアドバイスまでしてくれた。
そうして買った鞄を後部座席に乗せて当日、美香ちゃんの家に来た。電話では3日に1回は話してたけど浮気だって翠さんに言われてから会うのは初めてで少し緊張してる。まさかいきなり浮気を見たって言われるとか振られるとかないよね。でもそれが伝わらないようにいつも通りにする。
「美香ちゃん、こんにちは」
「琉依さんこんにちはー」
助手席を開けて家の前で待っててくれた美香ちゃんを座らせて運転席に戻って車を出す。
「琉依さん、ごめんなさい」
「え、何が?」
まさか本当に振られるの!?車を運転し始めてすぐにそんなことを言われて心臓が飛び出しそうになる。
「お守り、作るの間に合わなかったです」
「え、あ、ああ、そうなの?」
「はい……ごめんなさい、楽しみにしててくれたのに」
なんだ、お守りか……。顔には出てないけど僕は今すごく焦ってる。言葉に表れたかもしれないけど。でも誕生日にいきなり振るなんていくら美香ちゃんでもそれはないだろう。
それにしても美香ちゃんはお守りを作れなかったことで相当落ち込んでるみたいだ。僕を応援しようとしてくれる美香ちゃんが愛しくて堪らなくなる。
「大丈夫だよ、謝らないで」
「でも……」
「お店の匂袋作るので忙しいんでしょ。無理して作らなくて良いよ」
「え、えっと……」
「電話でも言ったけど美香ちゃんの匂袋流行ってるみたいだよ。すごいよ。だから僕のなんかよりそっちを優先してくれれば良いよ」
美香ちゃんのお守りがあればそれは頑張れるだろうけど美香ちゃんが男にナンパされないかが心配だからそばにいてくれさえすれば良い。僕はステージにいなきゃで美香ちゃんは正面から見たいって言ってるから無理なんだけど。お守りを作れなかったからってそんなに落ち込まないで良いし美香ちゃんにはもっとお客さんのために頑張ってほしくてそう言ったのに美香ちゃんは何も答えない。信号が赤になって美香ちゃんを見る。
「美香ちゃん?どうしたの?あれ?」
美香ちゃんを見るとさっきは気付かなかったけど美香ちゃんの目の下にクマができてる。思わず眉間にシワが寄る。
「クマができてるよ。もしかして徹夜してた?」
「えっと、いえ、あ、んーっと、しようとしてたらいつの間にか寝ちゃってました」
そこまでして僕のために……。嬉しいよりも無理してほしくないっていう気持ちが大きい。
「でも文化祭までには作れるように頑張るので安心してください!!」
いつも通りのへにゃってした笑顔でなぜか明るい声で言う美香ちゃんに悲しくなる。
「美香ちゃん……本当に無理しないで。無理して作ってもらっても美香ちゃんが体調崩したら僕嬉しくない」
美香ちゃんの揺れる瞳に言ったそばから後悔する。もっと別の言い方をしなきゃ。
「わかりました!!お店の優先で作れたら琉依さんのお守り作りますね!!」
「美香ちゃん……」
固まってしまう美香ちゃんに声をかけようとしたら明るい声で先にそう言われてしまった。
「あ、琉依さん信号青ですよー」
信号が変わって車は動かすけど僕は頭もフル回転させて美香ちゃんにどう話そうと考える。美香ちゃんがいつも明るく元気で笑ってくれるのは見ていて嬉しくなるけど無理して笑顔でいられるのは違う。ベランダで悲しんでるのだってそうだ。デート中はずっと楽しそうなのに家に帰ってから悲しんでるなんて。僕が馬鹿で浮気だって思わずに他の女の子と会ってるのを見たから?誰のことも幸せにできないってことの意味を僕がもっと早くわかっていれば美香ちゃんは辛い思いをしなかったの?でもこれからはちゃんとどうにかする。苛められるかもしれないからどうにかの部分はわからないけど。でも振られるのかなって思ったらそれは絶対嫌だって思った。美香ちゃんとずっと一緒にいたい。もう美香ちゃんのいない未来なんて想像できない。美香ちゃんが今幸せじゃないならやり直したい。さっきの自分の言葉をやり直そうと一言一言考えながら話す。
「美香ちゃんが頑張ってくれるのは嬉しいよ。頑張ってるのを止めちゃ駄目だって思ってる。お勉強もお料理もテーブルマナーも頑張る美香ちゃんの努力を無駄にしちゃ駄目だって思ってたから応援して美香ちゃんできるようになったでしょ。だからお守り作りも頑張ってる美香ちゃんを止めたくないけどそのせいで美香ちゃんが風邪を引いたり熱を出したりしたら嫌だから。わかる?」
美香ちゃんが何度も頷いてくれる。
「よくわかりました」
「良かった」
「琉依さん、お守り間に合わないって思っておうちを出る前に書いたお手紙はもらってくれますか?」
「手紙?美香ちゃんの誕生日なのに書いてくれたの?」
「はい」
やり直せた、そう思ってほっとしてすぐに美香ちゃんはお手紙を書いてくれたと言ってくれる。
「ありがとう。じゃああとでもらっていい?」
「えへへ、はい!!」
無理してない笑顔で笑ってくれるのが視線の端で見てわかる。良かった。浮気のことはわからないけどお守りのことは大丈夫みたいだ。
美香ちゃんはお客さんに流行ってるのかって聞いてみて高校生と大学生の間で口コミで広まってるそうです、とかお店のことを聞かせてくれた。
それからお店につくと黒崎さんに去年のクリスマスに見せてもらった景色の前のテーブルに案内してもらう。
「わー!!やっぱりすごく綺麗ですねー!!」
「そうだね。このあと海のそばまで行こうか」
「今日は涼しいですもんねー!!」
美香ちゃんはすっかりいつも通りだ。美味しいってご飯を食べて景色もご飯も一緒だと別々よりもずっと良いですねって言う。美香ちゃんの笑顔が僕を幸せにしてくれる。悲しませたくないけど無理して笑うなら僕に不満を言ってくれた方が全然良い。
ご飯を食べたあと海に向かう。
「そういえば琉依さんいつもお酒飲まないですけどお酒強いんですよね」
「そうだね。でもそこまで強いってほどじゃないよ。竜二さんが一番強いのはまあ見た通りだけど」
「木村さんもそう言ってました」
「それ木村くん情報?」
「そうですよー」
「木村くんって調子乗らせると乗りすぎるからあんまり喜ばせない方が良いよ」
「えーそうですか?」
「うん、威勢良く一番に突っ込んでいって厄介事と一緒に戻ってくる感じ。トラブルを呼び寄せる男だって自分で言ってるよ」
「けど木村さん面白いですよ」
「それはそうなんだけど。うちの大学の文化祭の日気を付けなね。木村くんのそばにいてほしいけど確実になにかやらかす気がするから」
「勘ですか?」
「そう。金魚すくいに夢中になって1人金魚すくい大会し始めて見物客集まってきちゃうとか」
「なんですかそれー」
「夏祭りの時そうだったからさ。馬鹿だなって思ってた」
木村くんじゃなくて村岡くんに頼めば良かった。だけどミスターコンテスト出ろって言ったの木村くんなんだから責任をとって美香ちゃんのこと見ててよねって言っちゃった。昇も村岡くんも木村くんの代わりに実行委員の仕事を手伝わされることに決まってる。でもなぜか木村くんに変なことやらかさないでねって言ったら任せてください何も言わないですよって言われた。なんなんだろう。
「楽しそうですね。でもトラブルじゃないですよ」
「僕らからしたらトラブルだよ。観衆が多すぎて誰がどこにいるかわからなくてね、僕を支えてたはずの小林くんがいつの間にかいなくなって変な屈強な男に変わってたりするんだよ」
「びっくりしちゃいますね!!」
「恐怖だよ。勘弁してよってなる」
そう話してるうちに海についた。近くに車を停めて降りると美香ちゃんが海に向かって走る。
「近くで見ても綺麗ですねー」
「そうだね」
「んー秋の海も良いですね」
美香ちゃんとゆっくり海岸を歩き始める。
「そうだ、琉依さん琉依さん」
「どうしたの?」
「1年と1ヶ月過ぎちゃったので今さらなんですけど真紀ちゃんは1ヶ月ごとに記念日をお祝いするそうですよ」
真紀ちゃんと晶子ちゃんの名前は必ずと言って良いほど毎回美香ちゃんの話に出てくる。優菜が生徒会で忙しいから3人でお昼を食べたりいつも一緒なんだそうだ。
「あーする人もいるね」
「私たちは!?」
勢い良くバッて僕を見て言う美香ちゃんに少し驚く。
「え、お祝いしたかった?」
「そ、それはー……」
「今まで1ヶ月って期間短いからお祝い感が薄いんじゃないかって思いながらこれまでの彼女に言われて出かけたりしてたんだけどね、美香ちゃんが何も意識してなさそうだから1ヶ月は良いかなって思って、でも1年のお祝いはしたくて聞いたんだ」
「ああ……そうだったんですね」
美香ちゃんは真紀ちゃんと晶子ちゃんといろんな話をしていろいろしてみたいってなってるのかな?
「真紀ちゃんに言われてしたくなったんなら来月からしよっか?」
「んー……」
「じゃあこうするのは?あんまりパーってお祝いはしないけど時間が会えば会って1年2ヶ月だねって言ったり」
んーって悩みだしちゃう美香ちゃん。遠慮してるのかな?美香ちゃんはお祝いが好きなはずなのに。難しい顔で本気で悩みだしちゃった美香ちゃんに思わず笑ってしまう。
「琉依さん?」
「美香ちゃんお祝い好きなのに困るの?」
「だって、良いんですか?」
「学校も仕事もあるし毎月会えるわけじゃないから電話で話すとかになっちゃうかもしれないけど楽しそうだなって思うよ」
「そうですか?」
「だって美香ちゃん記念日楽しみにしててくれるでしょ。鼻唄歌ったりスキップしたり、ご機嫌な美香ちゃんが毎月見られると思うと楽しみだよ」
「ほえー……なんだかからかってます?」
「そんなことないよ」
今日は記念日ですって喜んでいそうな美香ちゃんを想像してみるとすごく可愛くて1ヶ月記念をお祝いしたくなる。
「じゃあ来月からお祝いです!!」
「うん、そうだね。来月は多分会えると思うけどどこか行きたいとこある?」
「んー……そしたらおうちが良いです」
ギクッ……。
「家は……ちょっと……」
「どうしてですか?お勉強じゃなくて遊びにいくだけです」
「んーいろいろ散らかってるし」
美香ちゃんのグッズだ。散らかってるわけじゃない。でも壁一面に貼られたポスターと本棚にしまってある写真集と美香ちゃんの写真が貼られたクッション3つを見られたらいくら美香ちゃんでもまずい。優菜にストーカーの部屋みたいって言われた。僕は彼氏だけど優菜みたいに冷えきった目で美香ちゃんにも見られたら立ち直れない。止められもしないけど。
「大丈夫ですよ?」
「あ、じゃあ村岡くんの家にまた行こうか」
「……ボウリングで良いです」
どうしても家でゆっくり過ごしたいらしい美香ちゃんに提案するとボウリングで良いと返ってきた。ほっとする。ほっとするけど妥協された感が否めない。でもあの部屋を見られるのはまずい。
「じゃあボウリングにしよう」
「琉依さん、琉依さん」
「ん?」
「門限19時は早いって真紀ちゃんと晶子ちゃん言ってました」
「え、そう?」
どうやら真紀ちゃんと晶子ちゃんとたくさん話してもっとこうしたいっていうのがいろいろ出てきたみたいだ。いや、これこそ不満?どうして1ヶ月記念をしてくれないんだ、どうして門限がそんなに早いんだって。そっか、不満か……良かった。それに1ヶ月記念をしたいってことは別れるつもりはないってことだよね。
「お母さんももっと遊んでて良いって言ってます。琉依さんが一緒だから安心だって」
とにかく今すぐ振られる可能性がないことにほっとした僕だけどその言葉にまたギクッとする。
「安心……そっか、安心……」
「琉依さん?」
遊んでてとか安心とか……。遊びとデートは違う。遊びじゃ、なんだかお友だちと元気に遊びますみたいな気がする。僕は彼氏なのに。危ないからイチャイチャはできないけどれっきとしたデートだ。安心だと思われてるのは嬉しいけどそんなに安心されてると……ちょっと……。しないけどね。美香ちゃんが大人になるまで手は出さないんだから。でもれっきとしたデートなんだから子供の遊び相手になるって感じに言われるとちょっと悲しい。
そう考えてると美香ちゃんに呼びかけられる。
「うん、門限19時は早すぎたね。僕はそれで安心だったけど」
「じゃあもっとたくさん一緒にいて良いんですか?」
「うん」
あーそんなキラキラ笑顔で喜ばれるとなにがなんでも理性を保ってようって思う。美香ちゃんを怯えさせたくない。
「今日も19時過ぎて良いんですよねー?」
「え、今日?」
「はい!!」
いきなり今日からなんだ。でも19時にいつも通り帰ってくると思ってるお母さんたちに何も言わないのはそれこそせっかく安心してもらってるのに信用を失う気がする。
「うん、お母さんにいつもより遅くなるって連絡して良いって言ってもらえたら良いよ」
僕は携帯を取り出して美香ちゃんのおうちの電話番号を表示させて美香ちゃんに渡す。
「そこのボタン押したら繋がるよ」
「わかりましたー」
美香ちゃんは電話を終えたあと、お母さんに僕にたくさん遊んでもらってって言われたと言う。だから遊ぶんじゃなくてデートなのに!!安心してくれるのは嬉しいけどもっと親子で警戒心をもってほしいって思いながら切られてしまった電話をもう一度かける。するとお母さんはわかってたらしく、あら琉依くんって言ってくる。
『遅くなるんですってね』
「はい」
面白そうに笑われる。
『美香すごく嬉しそうよ』
「……はい」
どうしよう、美香ちゃんのお母さんってすごく僕以上に鋭いから怖い。
『ゆっくり楽しんで、デート』
「大丈夫です。21時前には帰りますから」
『あら、もっとゆっくりで良いわよ。恋人と過ごす夜なんていくら時間があっても足りないじゃない』
ひい!!お母さん!!単にお喋りし足りなくなるのか別の意味なのかわかりませんよ!!と思いつつ首をかしげてる美香ちゃんを見て冷静になる。
「いえ、そもそも22時過ぎたら駄目なので」
『それもそうねー。本当に琉依くんってしっかりしてるわー。じゃあ美香のことよろしくね』
「はい、いつも通り送り届けますね」
『いつもありがとう』
「はい」
はあ……なんだかすごく疲れた。美香ちゃんのお母さんにからかわれた気がする。
「電話切らない方が良かったんですね、ごめんなさい」
「ううん、大丈夫だよ。じゃあこれからどうしようか」
電話を切ると美香ちゃんが謝ってくれるけど僕が衝動に駆られただけだ。お母さんに遊びじゃないんです、警戒心をって言うつもりだったのに絶対するって思われてそれを受け入れられている……。でもしないから。決めてるんだから。
「記念日だから写真撮りましょ」
「そうだね、じゃあ海をバックにして撮ろう」
車に乗せてあるカメラと三脚と美香ちゃんへの誕生日プレゼントを取って海岸に戻る。まず先に鞄を美香ちゃんに手渡す。
「はい、誕生日おめでとう」
「ありがとうございまーす。大きいですねー」
「開けてごらん」
「はい!!」
美香ちゃんは袋から鞄を取り出すと大きな声で喜んでくれる。
「わー!!私鞄欲しいと思ってましたー!!」
「うん、言ってたからね」
「あーそうでしたー!!わー可愛いー!!」
可愛いのは美香ちゃんだ。いつも大袈裟なくらい喜んでくれる。実際は大袈裟じゃなくて美香ちゃんは素直に喜んでこのはしゃぎようだから本当に可愛い。
「お化粧ポーチも鏡もいろいろ入りますねー」
「気に入ってくれた?」
「はい!!ずっと大切にします!!」
美香ちゃん物持ち良いから本当に何年も使い続けてくれそうだな。嬉しいな。
「良かった。ね、美香ちゃんその鞄持って写真写って」
「え、あ、はい。そしたら鞄入れ替えちゃいます」
そう言ってしゃがみこんでその場で荷物を入れ替え始めちゃう美香ちゃん。呆気にとらわれていたけど美香ちゃんらしいなって思う。
「はい、これでオッケーです」
「うん、じゃあそこに立って」
これは素晴らしい写真集が作れそうだ。鞄を肩にかけたり両手で持ったり可愛らしい美香ちゃんをいくら撮っても足りないって思いながら撮って、美香ちゃんにツーショットはって聞かれて三脚にカメラをセットして撮った。
「このあとどうしよっか?」
「たくさん時間ありますよー」
「そうだね。それじゃあ少しドライブして映画を観て夜ご飯食べて帰ろうか」
「はい!!」
そう言ってドライブしてちょうどやってたアクション映画を観てその近くにあった中華料理店を見て美香ちゃんがたまにはラーメンとか餃子とかも良いですねって言うからそのお店に入ってご飯を食べて帰った。
美香ちゃんの家につくと美香ちゃんが車の中で手紙をくれた。帰ってから見てくださいって言われたからあとですぐに見ようと思った。
美香ちゃんを玄関まで送るとお母さんが出てきてヒヤリとした。でも言っていた通り21時前だ。面白そうに笑うお母さんに美香ちゃんが見て見てって鞄を見せて嬉しそうに話して僕はまたねって言って帰った。
自分の家に帰るとすぐに手紙を読む。
『琉依さんへ
お守り作れなくてごめんなさい。お守りの代わりに琉依さんに頑張ってほしいのでお手紙を書きますね。琉依さんは絶対ミスターコンテスト優勝できますよ!!みんな琉依さんにミスターコンテスト出てほしいって思ってるので頑張ってください!!フレーフレー琉依さん!!お守りは間に合いませんでしたけど中に入れようとしていた押し花を一緒に入れます。でも何にしようって迷って決めてしまったので花言葉は気にしないでくださいね。私が最近ずっと持ってるお花で、アスターっていうお花です。大好きです。美香より』
封筒の中に入っていた青い色の押し花を取り出してみる。気にしないでってどういうことだろう。そう思いながら花言葉の本を手に取って開く。そしてハッとする。花言葉は信じる恋、青色のアスターはあなたを信じているけど心配と書かれていた。
美香ちゃんは知ってる、見られてたんだ。そう思って手紙をもう一度手に取る。
『私が最近ずっと持ってるお花で、アスターっていうお花です。大好きです』
美香ちゃんは僕が女の子といるのを見て、それでも信じてくれてるんだ。心配だと思いつつこの花をいつも持っているんだ。
僕は力なくベッドに横になってそばに置いてるクッションを手にして笑顔で笑ってる美香ちゃんを見る。
「ごめん」
信じてくれてありがとう。好きでいてくれてありがとう。
僕はアスターの押し花を財布に入れてずっと持っておくことにした。美香ちゃんはどうして何も言わないんだろう。怒って責めて良いことなのに。
前に失敗してるけど学校の外でも学校でもなんでもお願いはもう聞かないようにしよう。別の方法で美香ちゃんが苛められないように守ろう。そう思った。




