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さよなら、聖女様  作者: タンバリン
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洗礼は滞りなく行われたそうだった。


その間私は部屋から1歩もでなかった。

両親とマイトが帰ってきて、マイトは得意気に、



「全くバレなかったぜ!皆、僕のことを見て可愛い可愛いっていうんだ!!!」



と言ってきた。




なんだか複雑な気もしたが、成功を収めてよかった。

ただ、マイトの新しい扉を開いてしまったのではないかと不安になった。


その不安は的中するのだが、それは別の機会にお話しよう。
















さて、次に起こること。それは館の火災である。




皆が寝静まった夜更けにそれは起こる。








使用人は本日から1週間暇を出し、実家に帰るものや、父様の持つ保養地に散り散りに向かっていった。




これで、皆が一緒に死ぬことはなくなっただろう。






この一週間は十分に注意して楽しんで過ごすようにと言い含めて休暇に入った。








私たちはどうするか、というと





なぜか館に残ることになった。





ただ、すぐに逃げられるような窓が低い位置にある部屋、外への扉の近い部屋に移動し、運命の時間まで3人で起きていることにした。





















昔から教会のやり方は気に食わなかった。

けれど、四女である私は、高齢貴族の後妻に収まるか、愛人となるくらいしか価値はなかったのだ。



両親は優しい人達でそんなことしなくていいと言ってくれていたが、家計は火の車であり、自分の食い扶持を稼ぐにも技術がない。




自然と教会に身を寄せることとなった。




ある程度の地位と、家族の寄付の免除が得られるので悪い話ではなかった。



ただ、高位になればなるほど下衆な人間は増えた。


貴族出身であることをチラつかせれば手を出してくるものはいなかったが、平民出身のシスター容姿がよければすぐに高位の者に連れ去られた。




寄付で私腹を肥やし、往く街街で女を補充し、幼子を攫う輩までいた。



神の名の元の腐った集団だと思っていた。





だから、私がいる教会だけでも、救いたいと思っていた。






そんな時であったのが領主になったばかりの夫だったのだが、悪を持って悪を制すやり方が始めは気に食わなかったが、そうでもしないとなくならないものなのだと、今では思う。






娘のアンレスタの話を聞いて、思い当たる節があった。




まだシスターになりたての時、近隣の家で火災が頻発した時期があった。




その家々には共通点があり、聖職活動の中で素質があると言われた幼い娘がいる家で、且つ、教会へ差し出すことを拒否した家だった。




驚いたことに、両親の遺体は見つかったが、子供の遺体は見つからなかった。





聖職者立は、神の怒りだと言ったが、そんなことで怒る神なぞ、信仰するべき髪ではないと私は感じた。



十中八九、そいつらの仕業であるとは思っていた。




もし、今日聖女降臨を言い渡された場合、必ず、教会は娘を奪いに来ただろう。





私たちを殺してまでも。









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