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目覚めると空が白んでいた。
泣きすぎて目が重いし、声もなんだかしゃがれている。
昨日の皆の心配そうな顔が思い出され、なんだか顔を合わせることが億劫になるが、とりあえず隠していた日記を手に取り、内容を確認する。
そして、今日は私の誕生日であり春の訪れを祝う祭りが行われる日だということに気がついた。
街は賑わい、様々な色で彩られる。
その中を私は両親と共に教会へ行き、洗礼を受ける予定になっている。
この領地の子供は、10歳の誕生日に洗礼を受け、ありがたーいながーいお話を聞くことが伝統なのである。
こっくりこっくりと船を漕ぐ子ばかりなのはご愛嬌と言ったところ。
ただ、祭りの日にやらなくてもと、当時は思っていた。
もし本当にこのまま行けば、前の時と同じように聖女降臨のお告げを受けてしまうだろう。
だが、そのまま同じことが繰り返されれば私は必ず王都へ行くことになる。
それだけは避けなければならない。また同じことが繰り返されない為に、可能性は全て潰さなければならない。
神様はチャンスをくださったのだ。
だが、いくら考えても子供一人ができることは限られている。
私は素直に両親を頼ることにした。
頭ごなしに否定しない、そんな人たちだ。
前の記憶の中で1番頼りにし、愛している人達を頼らずに一人でなにかしようなんてむりがあるよ!
すっかり開きなおった私は、日記帳を片手にまだ寝ているであろう両親の寝室へと向かった。