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さよなら、聖女様  作者: タンバリン
3/9

3


次の日、庭にでると【前と同じ】ように昨日のことがバレていた。

そして前と同じように怒られ、同じように仲直りをした。



全て前と同じ。繰り返されている。




「お嬢ちゃんももう10歳になるんだから、遊ぶ時はきをつけるんだよ」



庭師が言った。


私は彼のことは少し苦手だった。いつも怒った顔をしていて、にこりとも笑わないから。


だけど、今私に話しかけた彼の目はとても優しかった。

あの日私を押さえつけていた連中とは全く違う。


なのに、もうすぐ彼だけじゃなく、マイトも、大好きな両親も、仲良しの使用人たちもみんな死んでしまうのかと改めて気がついた。



その瞬間、涙が止まらなくなった。




目の前では、庭師もマイトも大慌てだ。

そりゃそうだ。

いつもなら何を言われたって泣かないいじっぱりが号泣しながら庭師の手を握り離さない。



騒ぎを聞き付けた使用人がやってきてどうしたのかと聞く。



だけど、この優しい人達ももうすぐ死んでしまう、このままだと死んでしまうと思うとさらに涙が溢れてくるのであった。











事態が落ち着いたのは、泣き疲れた私が眠りについてからだった。













「あの子はどうしてしまったんだ?」



「私にもわからないわ…本当にどうしたのかしら?」




眠る我が子を見ながら髪を撫ぜる。


まだ涙の後は残っていて、先程までしくしくと泣いていた顔が頭をよぎる。



いつもマイトと悪さをして、庭師のバーグリーに怒られていたし、その数々の事件と変わらないような怒り方をしていたはずだ。


バーグリーもとても驚いて何度も私たち夫婦に謝ってきていた。



元々怖い顔をしているが、子供好きの優しい男だ。

彼の父の代から庭師をしてもらっているし、幼い時は互いに遊び相手となっていた。




だから、彼がなにか悪いことをしたとは思えなかった。




それに娘の泣き方も変だった。




1か月前に広間を大いに走り回って大きな花瓶を割った時は、

驚きと頭突きをしてテーブルを倒した痛みで火がついたようにビャービャーと泣いていた。




なのに今日、いや、この間木から落ちた後はどうだろう?





しくしくと、何かを噛み締めるように泣いている。




父としては、娘の成長?を喜ぶべき所なのかもしれないが、あまりにも唐突すぎて何かあったとしか思えないのだ。










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