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さよなら、聖女様  作者: タンバリン
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ぎったんぎったんのぼっこんぼっこん



ーーお前は相応しくない


かつて私を無理矢理家族から引き離した男が言った




ーーーお前は、過ちを犯した


かつて共に旅をし何度となく命を救った男が言った




ー処刑を行う


かつて、貴女にしか救えないと沢山の旅を強いてきた男がそう言った




ーーーー最後に何か言い残すことはあるか?お前も一応、聖女として国を支えてきた。内々であるが許そう。


ほんと少し前まで、私のことを愛しているといった男がそう言った




口々に男共が言う。女ひとりを床に押さえつけ、囲んで罪を償えと、そう言っている。



囲んだすぐ後ろには、黒髪黒目の【聖女様】がこちらを心配そうに見ている。



その更に後ろには沢山の見物人。






口を覆っていた布が外された。


最後の言葉を残す。







「全員死んでくださいな」







にこりと笑ってそう言った。





顔を真っ赤にした男が私を蹴り上げた。


青い空が見えた。




そしてそのまま、胸に痛みが走り身体が冷たくなっていく。



じわじわと死を迎えた。














そう思っていた。

















「…アンレスタ?アンレスタ!聞いているの?!」






ヒステリックな女性の声で視界が定まった。

聞き覚えのある声。母だ。






でも何故?さっき私は死んだはず。

いや、その前に母は私の10歳の誕生日の日に死んだはずだ。

ここは天国なのか?


あの時の胸を刺された感覚はいまだに残っている。手をぎゅっと握り、胸をおさえる。





鼓動は激しく動き、生きているのだと実感した。


あれは、白昼夢だったのだろうか?





「アンレスタ!!!!」




ここでやっと母に呼ばれていることに気がつく。





「なんでしょう、母様。」



死んだはずの母に問いかける。




「なんでしょうじゃないわよ!貴女、何をしているの?!何故木に登っていたの?!!」




周りを見渡す。

どうやら、私は木から落ちた模様。

母が怒るのも無理はない。でもこの記憶…確か私が10歳を迎える少し前の出来事ではなかっただろうか。







「母様、ごめんなさい。遠くを見たくて。」



涙目の母にそういうと、母はぎゅっと抱きしめてくれた。



「元気なのは良い事よ、でもあんまり母様を心配させないで。お願い。」




懐かしい温もりに安心し、私もほろほろと泣いた。


周囲を見渡すと、私の誕生日に焼け落ちたはずの館が整然とした雰囲気で建っている。




戻ってきたんだ…そう思った。






この後、父を含めこってりと日が沈むまで怒られたことは言うまでもない。






びっこんびっこん

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