優しい心遣い
「落とし物探します社」に到着した。高上真実どうなることやら。
「お茶を入れますね」と言い、一度奥のキッチンに引っ込もうとしたが、「あ、コーヒーにしますか?それとも、紅茶にしますか?」という優しい心遣いをしてくれる彼女。有難い。「すみません、紅茶をお願いします」
私は、コーヒーは苦手なのだ。せっかく淹れてくれたからと無理をして飲むと気持ち悪くなる。こんな小さな気遣いができるのは、きっと優しい人なんだろう。それか、こういう仕事をしている上での気づきなのかもしれないが……。
この部屋は、今私が座っている応接間以外は殆ど普通の住居のように感じる。彼女がお茶を入れにいってくれたのは普通のマンションの台所という感じだ。キッチンには、冷蔵庫に食器棚があるようだ。私がキョロキョロとしていると、「お待たせしました」とお盆に紅茶のカップとティーポットをのせて戻ってきた。「どうぞ」とカップとティーポットを私の目の前に置いてくれる。「ありがとうございます」とお礼をいい、ティーポットからカップに紅茶を注ぐ。湯気を立てた紅茶からは、とてもいい香りがする。なんだろう?ハーブティーかな、一口飲んでみる。口の中にほのかに甘い香りがした。あーなんだか落ち着く。
ソファーも心地よいし、て、落ち着いてる場合でなかった。何をしているんだ私。
「そういえば、申し遅れていました。私は、沢渡夢子と申します」と彼女、沢渡夢子さんは挨拶をし、私に名刺を手渡した。名刺を受け取り、名刺を確認すると「落とし物探します社」と社名、沢渡夢子、住所、電話番号のみ書かれたシンプルな、名刺だった。
「私は、高上真実と申します。すみません名刺は、持ってないです」と慌てて挨拶をした。
まだ続きます。続きも読んでください。