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星草物語  作者: 東陣正則
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バンザイ機


     バンザイ機


 午前四時、オバルと春香の乗った飛行機は、ドゥルー海東岸手前の洋上にあった。

 機体は胴体と翼長共に九メートルの、四人乗りの双発のプロペラ機である。

 オバルが待機中の飛行機を指して、「あの、バンザイ機」という呼び方をした。いったいどういう機なのだろうと春香は思っていたが、駐機場に忍び込んで分かった。飛行機の左右のプロペラが上を向いている、いわゆる垂直離発着機なのだ。

 左右のプロペラが上を向いている機を正面から見ると、いかにも人がバンザイをしているように見える。

 しかし外見もさることながら、ほかの機がどれも満都時代の物を復元した機体であるのに、このバンザイ機は、ユルツ国で唯一の、光の世紀の飛行機だということ。そのため、満都時代のエンジンプロペラ機とは、垂直離発着ができるという点以外にも、いくつか異なる点がある。それが、動力源が液体燃料ではなく、電力という点だ。左右の翼と胴体に各一個の計三個、高性能の泡壺、耳が十字型に配置された十字泡壺が動力源として装備されている。その泡壺の電力を使ってモーターでプロペラを回転させる。

 泡壺は光の世紀の終焉直前に開発されたと言われているが、おそらくは、有耳泡壺の中でも更に小型で高容量の十字泡壺が開発されたことで、作られた飛行機だろう。そして動力源に小型軽量の十字泡壺を使用することが、このバンザイ機の特徴を生み出した。機体が極軽量なのだ。

 エンジンを搭載した飛行機は、エンジンそのものもかなりの重量になるが、それ以上に燃料の重量が馬鹿にならない。エンジン式飛行機は、人や荷物と同時に燃料を運んでいるといってもいい代物である。それが十字泡壺を使うことで燃料を搭載するスペースがほとんど必要なくなり、加えて機体に軽量の金属石の薄板を使うことで、極端に軽い機体が生み出された。同じ速力、航続距離のエンジンプロペラ機と比較して、五分の一の重量しかなかった。

 そして三つ目の特徴、それが機体の操縦を機械が代行してやってくれるということである。もちろん何もかもということではない。しかし、離着陸の地点を入力すれば、後は機械が地形から気象条件までを考慮して、最適の飛行コースを選択しながら勝手に飛んでくれる。春香の時代、無人の貨物用では広く普及していたが、有人のものでAIを利用した完全自動のものは、まだ法律が整備されていなくて実用化が見送られていた。

 全自動だが、もちろん人の手で操縦することもできる。ただその場合も、操縦パネルに表示される指示に従って機器を操作すれば、初心者でも問題なく機を飛ばすことが可能だ。おそらくはラジコンよりも簡単に飛ばすことのできる飛行機だろう。ただし、パネルに表示されるのは古代の言語なので、読めない者には言葉の勉強が必要になるが……。

 このバンザイ機は技術復興院で研究用に整備されたもので、実際の飛行は片手で数える程しか行われていない。実現はしなかったが、都の劇場で植物育成プラントの公開セレモニーを行う際に、上空をデモンストレーション飛行することになっていた。しかしバンザイ機を飛ばすことが市民の暮らしにどう利益をもたらすかが解り難いということで、宣伝飛行は直前に取り止めになった。そして、バンザイ機は充電した十字泡壺を搭載したまま、都の警邏隊の格納庫に収納された。

 もし十字泡壺が充電されていなければ、バンザイ機は都を押し流した濁流に呑まれていたはず。それが体よくバンザイ機は遷都先へと一飛びした。ただしこの状況下、一度その十字泡壺の電力を使い果たすと、次に機がいつ飛べるかは誰も保障できない。

 それでも、いくつかの幸運が重なり、オバルと春香はバンザイ機に乗り込み、波崙台地を飛び立った。


 機体はドゥルー海の上空にある。

 左側の操縦席に座っているオバルは、操縦桿を握っていない、いま機は自動操縦のモードにあり、操縦桿が微調整をしながら勝手に動いている。

 オバルはといえば、愛用の魔鏡帳トーカを取り出し、画面上に操縦法の手引きを呼び出して調べ物をしていた。

 ダーナからトーカを渡され、バンザイ機を飛ばすまでの半日、オバルはバンザイ機の操縦方法の確認に掛かり切りになった。それを終えての搭乗である。ぶっつけ本番の初飛行だが、実際に飛ばしてみると、やはり分からないことが次々に出てくる。それを逐一、トーカで調べ直しているところだ。

 機は、高度千五百メートルを巡航速度二百三十キロ時で南南東に飛んでいる。

 飛行時間は四時間が経過、いま左のディスプレーには地形の立体図が、右の画面には、その地点上空の雲が映し出されている。本物そっくりの飛行機の合成画像が、雲の下を掻い潜るように移動する。映像が増感処理されて見やすいこともあるし、あまりに鮮明な映像のため、誰かが上空でカメラを回しているのではないかとさえ思えてしまう。

 現在の高度は、飛行機が決めた数字ではない。眼下を実際に目で確認しながら飛びたいと考えたオバルが、飛行高度をその高さに設定したのだ。指定の高度に合わせて、飛行機の自動航法装置が、その他の条件を瞬時に判断して飛行を続ける。

「では、高度を十メートルに指定したらどうなるの」と春香が聞くと、「航法装置がストライキを起こすだろうな」と、オバルは大笑いした。

 唐突に飛行機が、迂回するように針路を変更した。

 画面を操作していたオバルが「前方の海面を見てみな」と、窓の外を指す。何だろうと見ていると、海面のそこだけが不規則に波立っている。

「ダウンバースト」と、オバルが指摘した。

 光のスポットライトの内側で暖められた大気は、上空に吹き上がる。その暖かい大気が、やがて冷やされて大きく円を描くようにして降下してくる。その降下風が、下層の大気に突き刺さるように落ちているのだ。大きな降下風は雲も巻き込みながら落ちてくるので、自動航法装置がコース選定を行う際に、事前にそれを避ける形でコース取りを行う。一方で、局所的な小さな降下風は分かりにくい。雲を伴っていないようなものでは特にそうだ。その小さな降下風を装置が察知、急遽回避措置を取ったところだ。

 春香は昔飛行機に乗っていて、突然のダウンバーストに遭遇した経験がある。それは胃が口から飛び出してきそうなほどに不快な経験だった。この機は、そういう局所的な気象にも対応するようにできている。本当に操縦士など必要のない飛行機、子供の自分でも飛ばせそうな飛行機だった。春香は安心して椅子にどっぷり腰かけると、窓の外の景色に目を馳せた。

 もっとも何もかもが、順風満帆ということではない。

 なにせ古い二千年前の機械、傷んでいる部分も当然ある。それは主に機体の外装部分だ。金属石の機体が劣化、錆が浮いて剥がれかけていたりする。試験飛行をあまりやっていない一番の理由は、本格的な飛行は、サイトの復興計画が成功し、かつ飛行機の外装の補修が完了してからと、警邏隊航空局が考えていたからだ。

 外装の隙間から入ってくる風が、肌を締め付けるように冷たい。オバルは電熱保温のできる飛行服を着ているが、子供用の飛行服が無かった春香は、頭に防寒頭巾を二重に被り、毛布を二枚体に巻きつけて寒さを我慢している。それでも鼻の下につららが垂れてくる。スピードは出ているが、外装の傷み具合からして、飛んでいる所を外から眺めれば、きっとヨボヨボの引退間近の飛行機が飛んでいるように見えることだろう。

 それでも今のところ、バンザイ機はストライキも起こさず飛行を続けている。

 避難先の波崙台地を出てしばらくは、天のスポットライトの照り返しのために薄闇のような空が続いたが、それも半刻後には普通の夜間飛行に落ち着いた。こちらがサイトから離れるように飛んでいるので分かりにくいが、高層に浮かぶ雲は、天のスポットライトの照射区域から周囲に広がるように流れている。大気が擾乱されているのか、高層から低層にかけて幾層にも雲が現れ、複雑な動きを見せている。

 進行方向左前方に、ドゥルー海の東岸が近づいてきた。

「どれ、少しは手動の練習もしておくか」

 オバルは独り言のように言うと、魔鏡帳を閉じ、操縦桿を握って、操舵法を自動航法から手動に切り替えた。とたん機体がバランスを崩す。慌てて操縦桿以外を自動モードに戻す。完全自動と完全手動の間にもいくつかの航法の設定がある。何だか教官から実習生に操縦が移ったという感じで、さっきよりも機体が不安定に揺れるようになった。

 そんなことは構わず、オバルは嬉しそうに操縦桿を少しずつ前に傾けていく。それに合わせて高度が落ちていく。高度千三百、千二百、千百……、

 氷の浮いた海面が近づき、前方に雪で覆われた海岸線が見えてきた。

 左手の天来山脈は厚い雲を被り、雲の下は闇の中だ。比べてやや右手、亀甲台地方面には雲が掛かっていない。だからだろう、台地のなだらかな稜線が、夜空の下にくっきりと寝そべっている。

 そのまま海岸線に沿うように高度七百を南方向に飛ぶ。左には、幻日海岸とその後ろの天来山脈が続く。山脈の向こう側は青苔平原だ。海岸には氷がびっしりと流れ付いている。

 操縦が安定してきたのを見て、春香が質問を口にした。

 出発前にオバルが説明してくれた、ドゥルー海周辺の標高についての疑問である。

 オバルは、ドゥルー海がドバス低地よりも標高にして二百メートル以上も高い天上海だと説明した。本当にそうなのだろうか。そんなことが、なぜ起きるのだろう。

 山のなかの小さな湖ならいざ知らず、水平線が広がる海である。そこだけが地球のほかの海よりも海面の高さが高くなるなどということが、有り得るだろうか。たとえ他の海と続いていなくても、海面から蒸発した水蒸気が大気の流れに乗って地球をめぐるという意味では、海と海は繋がっている。長い年月の間には、同じ海面の高さになって安定すると考えるのが普通だろう。

 春香の問いにオバルが「もっともな質問だ」と言って、嬉しそうに説明を始めた。

 オバルも子供の頃それを疑問に思ったそうだ。

 ドゥルー海が天上海である理由は諸説ある。なかでも有力なのが、光の時代の『循環ポンプ』がどこかに生きて機能しているという説だ。

 光の世紀、あの時代の全ての問題の根幹は、人口爆発にあった。資源の枯渇も突き詰めれば、この増えすぎた人類の人口問題に行き着く。百億を越えてしまった人類の直面する一番の問題は、増えすぎた人類を養う食料をどうするかということだった。

 その策として取られたのが、大陸内部の不毛の砂漠地帯を緑の沃野に変えることだった。灌漑用の水路を引くような方法ではない。大陸外部の大洋から水を大陸内部の盆地に流し込んで巨大な湖を作り、その湖から蒸散する水で内陸の乾燥した気候そのものを変えてしまおうという計画だ。水路ではその水路周辺しか灌漑できない。部分的な灌漑は、逆に塩類の集積を招いて、その土地を不毛の地に変えてしまう。広範な地域に雨をもたらすべく、環境そのものを変えようとした。

 本来の環境を変えることに異論もあったが、それよりも当座の食料問題を乗り越えることの方が優先された。とにかく当時、年にして数千万人単位で餓死者が出ていたのだ。

 この大洋深部から内陸への水のポンプアップには、海水の深度による温度差のエネルギーが利用された。大陸の東と西から遠大なパイプが引かれ、海の水を内陸の盆地に供給。パイプの取水口には浸透圧を利用した塩分除去装置が組み込まれ、盆地の人工湖は一定の塩分濃度に保たれた。そこでは魚の養殖が行われ、これも食料増産に寄与したらしい。

 その海水の循環ポンプが、災厄の時代を潜り抜け、今も大洋からドゥルー海へと海の水を送り続けているらしいというのが、ドゥルー海の海水面が高く保たれていることの理由として考えられた。

 オバルの話を聞いて、春香は、ウロジイと一緒に救命いかだに乗って下った、地下のトンネルを思い出した。

「あの、地下のトンネル……」

「ああ、俺もウィルタからその話を聞いた時、真っ先に頭に浮かんだのは、循環ポンプのことだった」

 ただ、オバルの考えでは、春香たちが通った地下のトンネルは、海の水を送水するトンネルではなく、山脈の標高の高い位置に水を揚げて、そこから周辺に灌漑を行うためのトンネルではないかということだ。おそらくは、この大陸のどこかに、まだ知られていない地下のトンネル、それも数千キロの長さのトンネルが、海の水を流し続けているに違いない。今回の突然の水位の上昇を抜きにしても、ドゥルー海の海面位は、百年で一センチ単位の上昇を続けている。古代人の残した遺産が人知れずまだ働き続けているというのは、本当のことなのだろう。

 春香がため息をもって、眼下の海を見やった。

 ドゥルー海の左側に続く天来山脈の山並みが途切れ、白い波が打ちつける塩沼地帯が現れた。海岸沿いに風車が並んでいる。部分波が洗うようになった塩沼地帯を抜けると、前方に封冬山とその足元の望日湾、そしてバレイの港町が見えてきた。背後には亀甲台地の断崖がそそり立っている。

 高度をさらに落とす。闇の底に積木を積んだ玩具のような家が並んでいる。

 バンザイ機は、ヘリコプターと同様、眼下の視野を確保するために、風防ガラスが大きくデザインされている。加えて左右のドアの下部が、スイッチ一つで透明なガラスに変化する。その眺めの良い座席から下方を見下ろしつつ、町の上空を旋回。

 明け方前というのに、港の岸壁に灯りが集まっている。異常潮位に気づいたのだろうか、人が出ている。

 ここでオバルがメモを見ながら、操縦パネルの機器をいじり始めた。

 このバンザイ機には、高速飛行と低速飛行の二つの飛行モードがあり、モードに合わせて機体が変形する。それも飛行を継続しながらだ。

 オバルがスイッチを入れると、高速モードで飛行中の戦闘機のように尖った機の先端部分が、丸みを帯びた形に変形を始めた。直接見ることはできないが、後部の腹側も妊婦のような膨らみを見せているはずだ。高速飛行モードは遠距離飛行、低速モードは近距離の貨物輸送という使い分けを想定した、機体の変形である。

 気速を四十キロ時に落としたバンザイ機は、亀甲大地の断崖の手前でUターン、海門地峡の東側の断崖に沿って飛ぶ。上空から見ると、まさに海門地峡はダムだ。堰といってもいい。馬車に揺られていた時には分からなかったが、上空から見下ろすと、小さな堰が後ろに巨大な海を背負っているのが実感できる。海の量感からすれば、幅数百メートルの塩湖地帯、海門地峡は薄皮でしかない。

 体に巻きつけた毛布を手で握り締め、春香が言った。

「何だか、いまにも決壊しそうな気がするわ」

「心配しなくてもいい、まだ二日や三日は持つさ。ただしこのまま行けば、確実に海面があの海門地峡を越えることになる。そうなった場合、どれだけあの脆い地質の地峡が持ち堪えられるかだ」

 冷静に分析しながら語ろうとするものの、口調に危惧するような響きが混じる。オバルは鋭い視線で地峡を一瞥すると、一路機首をドバス低地に向けた。

 人の目では真っ暗な闇の拡がりにしか見えないが、三次元レーダーの画面上では、真っ平らな大地の上を、雪雲がべったりと隙間なく覆っている。もっとも人の目というのは賢いもので、じっと風防ガラスの先の闇に目を凝らしているうちに、濃紺の闇に沈む低地帯を、真っ黒な大河がうねるように流れる様が見えてきた。

 その蛇行する大河グンバルディエルを、串刺しにするように、高度八百のまま東北東に向かって突き進む。

 わずかに雪が舞っているが、飛行に支障はない。さすがにこの辺りまで来れば、天の照明の影響は感じられない。黒い雲と濃紺の雪原に挟まれて、遠く東の平原のさらに東の空間が、茜色の色調を帯び始めているのが分かる。その方向に、シフォン洋の水平線があるはずだ。ただし盤都と濠都の二都のある方向は、北東方向に六十度の幅で全くの闇が支配している。雪模様らしい。

 それでも、朝は近い。

 春香が「あれは」と声をあげた。川の蛇行が伸びる先、ちょうど自分たちの飛んでいる地点と地平線の中間で、ポッと小さなオレンジ色の灯が灯った。オレンジ色の光は、一瞬の光芒を辺りに投げ掛けると、拡散するように辺りの闇に融けて消えた。

「なんだろう、都の方角みたいだけど」

 前面の風防ガラスに顔を近づけ目を凝らす春香の横で、オバルが表情を険しくした。

「グンバルディエルの流れるデルタ地帯に、鉄床島という岩山があるそうだ」

「スパッと二つに割れた、裏商人の根城の島でしょ、シャン先生と一緒に行ったわ」

「その鉄床島を二つに切断したのが、あのバドゥーナ国に譲渡されたのと同じタイプの古代兵器だそうだ」

 春香がプロペラの爆音に負けないくらいの大きな声を上げた。

「じゃあ、あのオレンジ色の光は……」

 操縦竿を握りしめオバルが言う。

「天使のナイフと呼ばれるその兵器は、光条まぶしくオレンジ色に輝き、大地を二つに切り裂くという」

「そんな……」

「すきま風は強くなるが、スピードを上げるぞ」

 オバルは、再び機を高速飛行モードに切り替えた。


 塁京地区に入るや、オバルは再度、飛行モードを低速に移した。

 大地に火の粉をばら撒いたように赤い炎が揺らいでいる。火炎樹が燃えているのだ。

 巨大な松明からは真っ黒な黒煙が立ち昇り、大気の流れに乗って南東方向に棚引きながら湿地帯の上空を覆っている。煙で辺り一面どんよりと墨を流したような闇だ。視界が悪いのは雪のためだと思っていたが、実はこの煙による霞のせいだった。煙を立ち昇らせているのは火炎樹だけではない。行く手を遮るように朦々と黒煙が噴き上がっている。

 樹油のタンクが燃えている……。

 ドバス低地の中心、塁京の二つの都に近づくにつれて、ヒラヒラとした黒っぽいものが、空一面に漂い始めた。火炎樹の樹脂の燃えた煤や灰が、空中を雪のように舞っているのだ。その油分を含んだ灰が、バンザイ機前面の風防ガラスに付着し始めた。

 オバルが慌ててワイパーのスイッチを入れるが、逆に粘性のある灰が風防ガラスに擦り付き、あっという間に透明なガラスが磨硝子になってしまう。慌てて舌打ちするが、どうすることもできない。視線を側面の窓に、こちらはまだ視界が確保できる。

 低空の方が浮遊物が少ないと判断、オバルは高度と速度をさらに落とした。

 高度、百。すぐ足元に地面がある。

 超低空飛行状態のバンザイ機の前方に、クルドス分水路を挟んだ二つの都が見えてきた。

朝焼け前の闇のなか、燃え盛る火災の炎が、盤都バンダルバドゥン、濠都ゴルの両都を、ライトアップでもしたように赤々と照らしている。

 立ち昇る煙の柱を避けながら飛行を続ける。

 浮遊物の少ない空域に入ったのを見て、オバルが機体の高度を少し引き上げた。

 盤都バンダルバドゥンの全景が眼前に飛び込んできた。すでに工場街はほとんど燃え尽きている。その塵埃と化した工場街を右手に見ながら、機を大きく盤都上空から濠都方向に旋回。すぐに分水路を挟んだもう一つの都、濠都ゴルが近づいてくる。

 炎で照らし出された濠都を見て、二人は息を呑んだ。焼き払ったような黒い跡が何本も町なかを走り、町の大半が焦土と化していたのだ。

 確認すべくオバルが機を濠都上空に近づけようとしたとき、後方の盤都から、鮮やかなオレンジ色の光芒が対岸の濠都に向けて走った。

 刹那、濠都西部にひしゃげた風船のようなオレンジ色の光が現われ、大地の底と上空を塞ぐ雪雲の底を明々と浮かび上がらせる。思わず目を伏せた二人を、強烈な光と衝撃波が包み、機体がガタガタと不気味な音をたてて揺れ、そして僅かな時差と共に、不快な見えない波が目の奥でチカチカと火花を散らせながら体の中を通り過ぎていった。

 込み上げてきた吐き気を押さえるように春香が口元を押さえた。

「ばかなやつらめ」

 ユルツ国迎賓館の展望塔を見据えたオバルが、滾るような目で吐き捨てた。

 爆発の衝撃が中空に溶け込むように消えた後、濠都には焼け焦げた焦土の大通りが一本、新たに刻み込まれていた。その大通りから、無数の小さな煙が煙幕のように立ち昇る。

 煙を避けての低空飛行にも関わらず、側面の窓にも煤がへばり付き始めた。オバルが窓に顔を押しつけ、外を睨みながら機体を盤都方向に反転させる。左に旋回、傾いた機体の下方前方に、迎賓館の展望塔らしき陰が見えてきた。やや傾いている。

「どうするの」

「この機に爆弾が積んであるなら、あの塔の上に落としてやりたいところだが、そうもいかん。ダーナの姉さんのいるという診療所に下りる。もちろん下りられる場所があればだが、位置を教えてくれ」

 オバルは飛行モードを超低空飛行に移し、展望塔の上空を掠めるように飛び抜けると、再度クルドス分水路の上空に機を差し戻した。幣舎共栄橋のあった辺りである。川面には油の膜が波紋を描きながら漂っている。

 春香は機体下方を映すディスプレーの画像を、食い入るように見ていた。

 バンザイ機は人が走る程度の超低速飛行を続けている。プロペラの起こす風が川面に無数の細かな波の波紋を広げ、その川面からだろうか、油分を含んだ鼻につく風が、機体側面の隙間から吹き込んでくる。妙にべたつく風だ。

 増感処理した画像に水路際の窮民街が見えてきた。川沿いの窮民街にも一本、定規で引いたような溝が走り、診療所の並びを掠めている。

 春香が思わず口に手を当てた。風車小屋の上、診療所が焼け落ちていたのだ。春香がディスプレーを指で押さえた。溝と水路の交点だ。

「ここ、風車の羽根が外れた小屋のあるところ」

「分かった」

 羽根を失くした風車小屋の手前、箱型の建物の右手に平らな地面がある。垂直離発着が可能なこの機なら、着陸には十分。すでに周囲の窮民街では、飛行機の爆音を聞いて、灯りを持った人たちが家の前に飛び出している。

 機の高度をやや引き上げると、オバルは、ディスプレー上の十字のカーソルを、着陸希望地点の空き地に移動、十字が目標と重なると同時に決定を押し、すかさず実行のキーを押した。機体はゆっくりと旋回飛行を続けながら、自分でバランスを取るようにプロペラを上に傾け、そうしてプロペラが完全に上を向いた時には、目標の空き地の真上二十メートル地点で、ホバリング状態に入っていた。

 そして下降。オバルと春香の乗ったバンザイ機は、診療所脇の空き地に無事着陸した。

 体操の選手が、両手を上げて着地したような完璧な着陸だった。


 風車小屋下の療養棟の前に出ていた人たちの中から、小柄な人物が、煤けた灰色の雪を蹴たてて走り寄る。シルエットでしか見えないが、髪を頭の右上で結んで垂らした姿は、アヌィだ。

「はるかーっ!」

 叫びながら、アヌィがバンザイ機から降り立とうとする春香に抱きついた。

 続々と姿を見せる人影の中にマフポップの姿もあった。無事に盤都から戻って来たようだ。そのマフポップが、風車小屋の背後を指さし、腕をバツ印のように交叉させた。やはり診療所は黒焦げに焼け落ちていた。

「都から火の粉が雨のように降ってきて、とても消せなくて……」

 悔しげにアヌィが耳元で叫ぶ。重なるようにシャン先生の声が耳に届いた。

「樹油の缶に火が入ったんだ。風車小屋と療養棟を残せただけでも幸運だった」

 衛生帽を被ったシャン先生の疲れた顔が、目の前にあった。寝不足なのか腫れぼったい目をした先生は、春香にそう告げると、飛行機から降りてきたオバルと握手を交わした。

 春香もアヌィから離れ、先生の手を握りしめる。

 目尻に涙が溢れてくる。しかし春香が挨拶もそこそこに喋り出そうとすると、先生が「話は中で聞こう」と、春香の背を療養棟の方に押した。

 しかしとても待てないとばかりに、春香は話し始める。

 なんとかサイトに辿り着き、ダーナにヴァーリさんの伝言を伝えたこと。ところがもう事態は手遅れで、天に灯った巨大な照明のために、ユルツ国が大変な状況に陥ってしまったこと。でもそれ以上に問題なのが、氷床が融けた水でドゥルー海が増水して、このままいけば海門地峡が決壊するかもしれないと……。

 思わずシャンが振り返ってオバルに顔を合わせた。

「そのことをドバス低地の人々に伝えなければと思ってなんだ」

 硬い声でオバルが告げた。

「もしそうだとしたら」と重苦しい声を漏らして衛生帽を脱ぐと、シャンは対応を考えるように額に手を当てた。しかし疲労が溜まっているのだろう、口からは溜め息しか出てこない。シャンは所々血で赤黒く染まった白い髪を指で梳き下ろすと、羽根を失いずんぐりとした塔に変わった風車小屋に目を向けた。ちょうど小屋の入り口から、ベコ帽を被った年寄りたちが出てきたところで、先頭にいるのは喉袋のジトパカ翁だ。

 年寄りたちに合図を送るように、シャンが手を挙げた。

「もし、今の話を伝えるのなら、それは、私よりも、あのご老体たちの方がいいだろう。窮民街の重鎮だ、紹介する」

 言って階段に足を踏み出しかけたシャンを、療養棟の中から「先生、血圧が下がっています」と、ブリンプッティ婦人の切迫した声が呼び止める。

「すぐ行く」と疲れた声を返すと、シャンは階段を下りてきたジトパカにオバルを引き合わせるや、身を翻して療養棟の中に駆け込んでいった。

 その後ろをアヌィに手を引っ張られた春香が続く。 

 療養棟の中では、入口脇に三十人ばかりの人が座り込んでいた。牧人会の施療所でも引き受け切れずに、こちらに回されてきた者たちだ。患者だけでなく、診療所から運び出した機材も小屋の中に山積みにされている。

 診療を療養棟で行い、患者を隣の集会所に移した関係で、今は風車小屋がベコス地区の集会所に使われていると、アヌィが素早く状況を説明。

 その風車小屋、オバルは階段を下りてきた年寄りたちと風車小屋に入った。

 箱竈の周りに皆が腰を落ち着けるのを待ち兼ねたように、オバルが事の次第を話し始めた。北方の氷床地帯で行われていたユルツ国の事業が、大変な事態を引き起こしていることを……。

 オバルの話に、ベコ連の年寄りたちは、しわぶき一つたてずに耳を傾けている。オバルは先に機上から目撃したバレイの港の状態、そして計算で導き出した数字を持ち出し、海門地峡が崩壊してドゥルー海の水がドバス低地に流れ込む可能性を説明した。

 ところがオバルが話し終えても、誰も声を出さない。余りの突拍子もない話に、何をどう判断していいか分からないようだ。

 年寄りたちの沈黙を破るように、屋根裏部屋への階段に腰掛けたマフポップが、遠慮がちに手を挙げた。血の苦手なマフポップは、診療の手伝いではなく、電鍵通信での情報集めに専念していた。マフポップが頭に付けたヘッドフォンを引き下げ言った。

「オバルさんの伝えたいことは、天の照明によって北方の氷床が融け、ドゥルー海の水位が上昇、悪くすれば海門地峡が決壊して、ドバス低地一帯が大洪水に見舞われる。それが、早ければ二日と日を置かずに起こるかもしれない、そういうことですね」

 復唱するように話すマフポップの声が震えていた。

 オバルが黒炭肌の顔をゆっくりと上下させる。

 二十人ほどの年寄りたちの内、箱竈を挟んでオバルの対面にいたジトパカが、皆の考えを代弁するように口を開いた。

「わざわざ遠方のユルツ国から戦乱の地に駆けつけてくれたことからして、でたらめな話をしているのではないと思う。じゃがな、天の照明から海門地峡の決壊に至る一連の話、話としては理解できるが、余りに途方もない話じゃ。見ての通り、ここにいる連中は、砲弾と火災に怯えながら逃げ回っているところだ。あの炸裂音や硝煙の臭いは実感として分かるが、地峡の決壊ともなるとな……」

 話しながら、ジトパカの喉袋が小刻みに縮んだり膨らんだりする。直接口には出さないが、言葉の端々に到底信じられないという思いが滲み出ている。

 窮民街の住人にしても、十年前のユルツ国の惨事の話は伝え聞いている。そのことからして、今回もユルツ国が実験に失敗して何か起こるのではと、内心では思っていた。だから、異常事態が起きているというところまでは想像がつく。ただその影響が、この低地帯が水没するほどの洪水となって現れるとなると、それは余りに想像の域を超えた、荒唐無稽な話にしか思えなかった。

 幹事役のジトパカは、オバルに対して率直に自分の感想を述べた。周りを囲んでいるベコ連の年寄りたちも、習うように頷いている。

 日々の暮らしに追われる窮民街の人々とは、他の地域から流れてきた人を除けば、ほとんどが、この水路沿いから一歩も外に出たことのない人たちである。海門地峡もドゥルー海も、地名として知っていても、実際には行ったことも見たこともない。ましてやユルツ国など遠い地の果ての国で、イメージを膨らます取っ掛かりさえ掴みようがなかった。それにこの地も、例年夏の雪融け時には洪水が起きる。ただそれは、少しずつ水位の上がる静かな洪水。町を押し流す洪水などというものは、どうにも想像のしようがなかった。

 当惑した表情のベコ連の年寄りたちと較べて、町で教育を受けたマフポップだけは、事態をある程度客観的に把握できたらしく、唸るように言葉を漏らした。

「ぼくはバレイの町を訪れたことがあります。だから、あの地峡の地形は知っている。ドゥルー海が本当に増水しているとしたら、そして、もし海水が地峡を越えて流れ出し、決壊が現実のものとなったら……」

 そこまで言ってマフポップは絶句した。引き起こされる災害と、それから逃れることが、この低地ではいかに難しいかということを想像したのだ。

 マフポップは額に手を当てたまま首を振った。

「オバルさん、何が起きようとしているのかは分かった。でも、その危険性を、ドゥルー海を見たこともない人たちに理解してもらうのは、無理だろう。ましてや避難を勧めるとなると……」

 マフポップはポケットから頭痛薬の瓶を取り出すと、素早く白い錠剤を口の中に放り込んだ。興奮と緊張で頭痛が沸いていた。

 この地で情報を伝えようとすれば、口コミに頼るのが一番確実で速い。そのことは、誰も異存がない。だからこそシャンは、情報伝達の核ともいえるベコ連の年寄りたちに話を聞いてもらえればと、翁たちにオバルを紹介した。だが実際のところ、文字も読めない人たちに、地球規模の異変を理解してもらうということは不可能。窮民街で衛生指導の教室を開いているシャンは、病気の根源が目に見えない微細な生き物にあるということを説明する際、いつも非常な苦労を強いられる。それと同様の困難さがそこにはあった。

 オバル自身、自分の話したことへの老人たちの反応を見て、この低地帯に迫りくる危機を皆に納得いく形で説明することが、想像以上に難しいということを感じ取っていた。目の前の老人たちだけではない、おそらく窮民街の住人たち全てにしてそうだろう。この話は、余りにも日常的な感覚から逸脱、飛躍した事なのだ。

「もしその大洪水とやらが来るとして、わしらはどこに逃げればいいんじゃろうな」

 自問するような鉄火鼻のガビの言葉に、ジトパカが喉袋を膨らませて応じた。

「一番高いのは、都の中じゃが、果たして都の連中が、壁の内側にわしらを入れてくれるかのう」

 困惑したような声、当然のことだ。

 洪水といっても、それがどの程度の洪水かにもよるが、塁京二都周辺は、どこも標高一メートル未満の低湿地帯である。範囲を広げて、クルドス分水路周辺で考えても、高台といえるのは、塁壁に囲まれた二つの都を除けば、分水路から少し下った万越群島の岩山などの、ほんの数カ所にしかない。そこへ避難するには、船、それも人をたくさん乗せることのできる船が必要になる。ヨシ船や良くて馬頭船しかない窮民街の住人にとって、まずは移動の足を確保することからにして困難だった。

 それに、銃弾の飛び交う最中に外に出て目立つことをするのは、賢い事ではない。それをガビが指摘すると、ベコ連の年寄り一同が、その通りとばかりに頷いた。

 年寄りたちの反応に、どうしたものかとオバルが頭を抱え込んだ時、診療所の裏手で、「ちょっとみんな、西の空を見て!」という女たちの叫び声が上がった。

 何事かと皆が風車小屋の外に飛び出す。

 そして西の空を見てゴクリと唾を呑み込んだ。

 頭上に低く張り付いていた雪雲が、南北に割れるように移動、朝焼け直前の淡い星を残した藍色の空が西の空に覗いている。ところが分厚い雲のベールが割れて現れたのは、藍色の星空だけではない。悠か西方からこちらに向かって、何層にも重なった真っ黒い雲が触手を伸ばすように広がろうとしていたのだ。

 さらに、そのどす黒い雲の後方で、上空が白く輝いている。

 翻って西から東の空に目を移すと、東の地平線では、淡い水色の帯の中で、紐のような雲が濃い朱色に染まり始めている。朝焼けの始まりだ。

 一見すると、まるで東と西から同時に太陽が昇ってくるような錯覚を覚える。

 しかし西の空……、水の中に墨汁を垂らしこんだように湧き上がる雲と、白く輝く空。あれは朝焼けでも夕焼けでもない。とても尋常な空の様子ではなかった。何か想像もつかないことが、あの雲の向こうで起きている。

 誰からともなく、この世の終わりという言葉が漏れた。


 ドバス低地の窮民街で、この地で起こるかも知れない洪水の危機についての情報が、口伝えに話されている頃、ユルツ国最南端、波崙台地の遷都先では、明け方に息を引き取ったハン博士の遺体が、布に包まれてボイラー室二階の休憩室から外に運び出された。

 雨が降りしきっていた。

 ギャロッポが怒りの表情を、駆けつけたダーナに向けた。

「まったく役人の分からず屋どもめ。たとえ惨事の責任を問われる立場であったとしても、曲がりなりにも要職にあった人物を、葬儀もなしに埋葬しろとは」

 運ばれる遺体の後ろに付いて歩きながら、ダーナが宥めるように言い聞かす。

「この気温だ、直ぐに腐敗臭が出る。今後の避難所の生活を考えれば、怖いのは伝染病の発生だ。死者は直ちに埋葬するという慣例を作りたいのだろう。それに、別に博士は葬儀など期待していないさ。最後に息子とゆっくり話ができたそうじゃないか。満足そうな顔をしていた」

「それはそうだが……」

 宿泊棟の並ぶ向こう側の広場では、ユルツ国の避難民と、周辺国の避難民が睨み合い、それを警邏隊が必死に抑える一触即発の状態が続いている。バハリ統首が群集に呼びかけ、それを怒号が打ち消す殺気立った様子が、雨音を縫って伝わってくる。

 ただ宿泊棟の裏手、海側の斜面は逆に人の気配もなく、人と人の対立の寒々しさをなぞるように、冷たい雨混じりの海風が吹き抜けていく。

 ほんの一握りの人の見つめるなか、ハン博士の遺体は、台地の隅、ドゥルー海を見下ろす斜面に埋葬された。石を数個積んだだけの簡単な墓で、僧位を持つギャロッポが、簡単な経を読み上げる。黙祷の後、ウィルタは石積みの墓の上に、父が大事に胸にぶら下げていたお守りの中身を振りかけた。粉の上に雨が降り注ぎ、青白い光が父の墓を包む。

 皆がその場を立ち去った後も、ウィルタは雨に打たれながら、青白い光が徐々に小さくなって消えていく様を見つめていた。

 雨が強く吹き渋るようになった。

 雨に打たれて立ち尽くすウィルタの肩に手が置かれた。赤く爛れた皮膚、バニアだ。振り向いたウィルタが泣いた。叫ぶようにバニアにしがみついて泣いた。土砂ぶりの叩きつけるような雨が、ウィルタの声を押しつぶすように降り注ぐ。

 やがてウィルタはバニアに手を引かれるようにして、ボイラー室に戻っていった。

 小屋の前ではギャロッポが乾いた布を持って待っていた。ウィルタに毛布を被せて休憩室への階段を上がる。

 ギャロッポはウィルタを毛布の上に寝かせると、扉を閉めて階段を下りた。

 一人部屋に残されたウィルタが毛布の上に手を置く。父の横たわっていた二枚重ねの毛布には、まだ父の温もりが残っているようだった。

 ウィルタの泣き声を、屋根に落ちる激しい雨音が掻き消す。

 まるでそうすることが優しさであるかのように、雨が屋根を打ち鳴らし続けた。



次話「噂」

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