89話 右目の特殊な魔力………はっ!魔眼かっ!?(迫真)
遅れました。
「あーもー!グラン遅いよ!」
「そうですよ。グランさんがいないせいでグランさん専用顧客の方々が
困っていましたよ?」
「あー、ワリィワリィ。こりゃシオンに殴られるかもしれねぇな…………。
ああ、怖え。なんかサボりたくなってきた………………。」
グランさんはギルドに戻るなり早速カウンターに戻った。
因みにグランさん専用顧客とはグランさん以外の人には取り合わない俺みたいなヤツの事で、シオンとは先生のパーティメンバーで手の速い女性らしい。
訓練のために常に豪気を纏っているため、殴られると洒落にならないと先生がぼやいていた。
ハッハッハ、ドンマイ。
お、俺は何も知らないからな!
さて、先生を待とうかな。
ギルドの椅子に腰を掛けた途端、
丁度先生のパーティ『終わりなき惨劇』が
帰ってきた。
このパーティ、メンバーはたった二人、先生とさっき言ったシオンさんだけである。
後は臨時で人が参加するそうだ。
因みにどちらもランクはB、相当な実力者らしい。
話が逸れた。
よし。
「先生!魔法の訓練をつけて下さい!」
「ロイド!遂に僕に魔法を教えて貰う気になったんだね!?」
「おい、ウィル。こいつか?お前の言っていた天才とは。」
「そうだよ!いや、ずっとまえから幾つかプランを練っていたんだけどね。
中々頼みに来てくれなくて辛かったんだ。」
「あ、アハハハハハハ。それはどうもすみません。」
「大丈夫、来てくれたことが嬉しすぎてそんなこと気にしてないから。」
やばい、謎の罪悪感が襲ってきた。
なんて良い人なんだ、先生。
こんなに俺のことを考えてくれてるなんてっ!
決してショタコンは関与していないはずだ、うん。
「そうかいそうかい。んじゃいいよ、アタイが報告済ませるから
二人は好きに訓練でも何でもやってな!」
「おお、シオンさん、優しい!」
「シオンは手が速いけどそれ以外は優しいからね。」
「まあ、褒め言葉として受け取っておくよ。
ウィル、さっさと『レッサーリーパー』の死体を出しな。」
「ほい。じゃあ僕等は帰ってるから。」
いや、ちょっと待て、目の前にいきなり悪魔もどきの死体が現れたんだが。
怖い。悪魔が白目向いて絶命しているよ。
しかもシオンさんそれを当たり前のように担いで行くんだけど。
え、何これ怖い。
「先生、あれは?」
「下級悪魔さ。
正確には下級の死神。首から上を水で覆って息を出来なくしたんだ。
ほら、君が貴族の家に攻めた時にやった奴だよ。」
ああ、成る程。
「役に立ったんですね。それにしてもよく下級の死神にそんな隙を作らせましたね。」
「シオンが羽交い締めにしたからね。そうなればもう無防備さ。」
中々に豪快な人だな、シオンさん。
死神に羽交い絞めとか。度胸あるわ。
「凄い人ですね………。」
「よく思うよ。
もうそろそろ家に帰ろう。」
「ですね。」
俺等は家に帰った。
「さて、じゃあまず僕が教えたいことは魔力を『練る』ことだよ。」
「魔力を『練る』?」
何だ、某忍者漫画みたいな感じか。
「判りやすく言うと魔力から不純な物を抜いて質のいい魔力にするんだ。」
「不純てことは僕は魔力を質の悪い状態で使っていた、ってことですか?」
「そうだよ。ちょっと『マジックサーチャー』を使って僕の魔力を見て欲しい。」
俺は言われたとおりに『マジックサーチャー』を使った。
いつもと変わらず水と土の魔力だな。
いや、ちょっと待てよ、右目あたりに溜まっている魔力が怪しい。
更に『マジックサーチャー』を凝縮する。
すると、普通の水属性の魔力よりも右目に溜まっている魔力は鮮明な水色を
していた。
「水属性が普通よりも澄んでいる!?」
「判ったみたいだね。これを君の魔力でやるだけさ。」
「…………………へ?全くわからないんですが。」
「ハッハッハ。これで判ったらビビってたよ。
簡単に言うと自分の魔力の流れを『マジックサーチャー』で観察して
そこにある『他の魔力とは違う魔力』を少しづつ体から出して行くんだ。
慣れてくると『マジックサーチャー』を使わなくても出来るようになる。」
成る程。
理解したしあとは実行に移すだけだ。
(『マジックサーチャー』!凝縮、凝縮、凝縮!)
念の為に3回凝縮しておいた。
消費魔力が増えたが、俺の回復速度は流石に上まわってないようだ。
さてと、魔力魔力と…………。
光属性でいいよな。一番でかいし、良く使うし。
よし、見える見える。
光属性は基本的に白だけど、灰色や赤が混ざっているのがわかる。
あれ、赤色ってまさか―――――――――
「火属性!?」
思わず尻餅をついた俺を見て先生がハテナマークを頭に浮かべていた。