86話 (シュウ・ギル視点)
1000ポイントを達成!
有り難うございます!
《シュウ視点》
ピーーーーーッ!
審判さんの笛がなると同時に僕は駆けだした。
途中で体が軽くなる。
多分ロイドが『ウィンド・ブースト』を掛けてくれたのだろう。
とりあえず、僕の敵はあの大きなメイスを持った人。
ギルは判ってないかもしれないけど、ロイドが僕達に出した作戦は
『俺が一人一人倒していくからそれまで持ちこたえてくれ』だと思う。
一応チャンスがあったら攻めるけど、基本的にはあの凄そうな攻撃を
受けきるのが僕の役目のはず。
僕と接触するなりメイスを持ったおじさんは縦方向の大振りをしてきた。
最近使えるようになった『豪気』を足に流してメイスを盾で受けきる。
地面が少しボコってなったけど僕にはそんなの関係ない。
体さえ無事なら受けきれる。僕は過去の経験でわかっている。
次、横殴り。
これは下に流すようにして受ける。
上に流すとまたすぐに縦方向に殴ってきそうだからね。
ただ、こうすると絶対にかち上げが来る。
盾は重いけど僕は軽いからまともに受ければ吹っ飛んでしまうと思う。
しかもおじさん『豪気』まとっているし。
だから僕は『ウィンド・ブースト』で軽くなっている体で横っ飛びをした。
ギリギリでメイスが横を通る。
危なかったぁー。
この人無口でこんな凄いことをしてくるから怖くなるよ。
「おおっとぉー!こちらも凄いぞ!シュウ選手、見事に『鉄仮面』ルークの
攻撃を捌き切っているぅ!」
「あの強烈な一撃を小さな体で受けきるとは素晴らしいですね。
未だ攻撃に移れていないことから余裕はそこまでなさそうですが、
とてもFランクとは思えない動きです。」
やった。なんか褒められた。
でも目の前のおじさんはそんなのを気にせずメイスを振ってくるから怖い。
しかも無表情。精神的にキツイよ。
けど、僕にはこの無表情おじさんを驚かせられる手がある。
おじさんの攻撃を受けながら何とかその手を使える隙がほしいなぁ。
あ、そうだ。あれがあったじゃないか。
僕はピンとあるものを思い出した。
ロイドが『松岡修造ぅー!』とか『手塚ファントム!』とか叫びながら
やってた奴。
これをするにはおじさんのメイスを縦方向に振らせないといけない。
だから、おじさんの横殴りを今度は上に流した。
当然おじさんは縦方向に振る。
「『アースブレイク』」
あ、これは『豪気』を使った必殺技だ。
このままじゃ僕も受け切れない。
よし。
「『ブースト』」
僕も一番簡易な必殺技を使う。
これはただ単に身体能力を上げるだけ。
だけど、それでいい。
「んっ!!!」
おじさんの攻撃が来る瞬間、盾の握りを一瞬だけ強くしながら片足を出す。
「!?」
よし!動きが止まった!
なんだっけ、「ぼれー」とか言う奴だった気がする。
まあいいや。これが今の僕を助けてくれるんだから。
スイッチを入れて槍の所を固定する。
多分このおじさんはまだこの槍の部分を飾りだと思っていると思う。
だから、不意打ちにするためにまずはナイフをおじさんに向かって突く。
が、すぐに体勢を立て直したおじさんはメイスの柄で僕の手を撃ち落とす。
かかったぞ!
確信した僕は盾を一気に押し出す。
おじさんは盾の部分さえ防げばいいとでも思っているのか、腕を伸ばして
メイスでガードをした。
けど、槍の部分が引っ込まなかったために槍が鎧に当たる。
決まった!そう思った瞬間。
「『ギガントストライク』。」
不意に後ろから聞こえた声と共に意識を失った。
《ギル視点》
俺が今対峙しているおっさんは大剣使いだ。
ロイドめ、俺がこの人から技術を学ばせるためにこの人と組ませてくれたんだな!
勘が「いや、違うだろ。」て言ってるけど、聞こえていない。
そういえば今俺に大剣を振っているおっさんて雷属性を持ってんだよな。
襲いかかる大剣を勘で避けながら考える。
確か雷属性って体が痺れるんだ。
なら、即効で終わらせねえとな!
要するに魔法を詠唱させなければいいんだ。
よし、とりあえずは攻撃だ。
さっきおっさんが振ってきた剣捌きを真似しながら攻撃してみる。
おお、凄え。体に無駄な動きがないことがよくわかる。
「ほう、俺の動きから学ぶのか。なかなかの才能だな。」
「へへーん!このくらい朝飯前だぜ!」
更に大剣に『豪気』を流し、俺が振っている間は軽く、
おっさんに当たる瞬間だけ重くなるようにしてみた。
「こちらも…………………。ってあれ?
シフ氏。ギル選手がどうやら『殴剣』ジミーの動きを真似ているようにみえるんですが!?」
「そうですね。彼は天才タイプなのでしょう。
少し真似しきれていないようですが、十分ですね。」
「このチームは天才揃いですね…………………。」
ハッハッハ。だろだろ?
俺だってシュウやロイドにゃ負けてねえ!
そういう思いを込めて更に『豪気』を流す。
が、その瞬間。
「見切った!」
「!?」
おっさんが俺の斬撃を看破してくる。
くそう、何でだ!?なんで全部捌かれるんだ!
「クックック。感謝しよう。貴様のお陰で俺の動きの弱点がわかった。
残念だがこれで終わりだ!『クレイジースマッシャー』!」
マズイ、なんかヤバそう。
勘は『まだだ!攻撃を続けろ!』て言ってるが、俺は大剣を構えた。
いや。構えてしまった。
おっさんはニヤッとする。
「引っ掛かったな!今のはフェイクだ!
我が雷の力集いて蛇なる者よ、絡みつけ!『ボルトスネーク』!」
瞬間雷が俺に襲いかかる。
あまりにも速すぎて俺は避けられなかった。
大剣でしかたなく受けるが、
「ぐうううううう!」
体が痺れる!
「これで本当の終わりだ!
『ギルティクラッシュ』!!!!」
無防備になった俺に容赦無い一撃が叩き込まれ、俺の意識は消えてった。