75話 ロイドは身長が低いため、防具を装備できませんでした。
「一日でクエスト30達成だと!?」
チーム『イレギュラーオルフェン』のクエスト達成数はヤバイことになった。
俺は掃除と荷物運びの依頼を合計13、その後時間が余ったので
軽いクエストを2つこなし達成したクエストは合計15。
ギルは力仕事系をかたっぱしから受けていた。
コイツは合計9個こなした。
シュウは凶暴な飼い猫の躾など危険な仕事を3つこなした。
危険なクエストはどうやら普通のクエスト2つ分に換算されるらしい。
あ、あとクエストの達成情報と受けているクエストはギルドカードに
表示されているから数え間違いはない。
あと、討伐した動物、魔物も表示されるらしい。
よって俺等の達成数は30。
何でもこのギルド創立してから初めてらしい。
やっちまったZE☆
まあ、誰も損してないからいいんじゃね?と勝手に納得した。
いや、一人が色々計算とか大変だったらしいけど、俺は知らん。
これは必要な犠牲だ。
んで、その色々な計算を終えたグランさんがカウンターに戻ってきた。
そこで、まあ冒頭に戻るわけだ。
「30だぞ、30!?さっきも言ったがパーティー単位でもお前らが初めてだぞ!?おいなんだその顔!そんな凄いことか?てのが顔に浮き出てるぞ!」
いや、だって殆ど掃除と荷物運びしかしてないぜ、俺。
3人で達成しちゃうんだから4,5人いれば余裕だろ。
「はぁ!これだから天才っていうのは………。ほれ、ギルドカードだ。」
グランさんが俺らにギルドカードを返す。
因みにギルドカードはクエストの確認のために一回回収された。
が、ギルドカードを返された俺達はビックリした。
ギルドカードが緑になってる。
俺にはフシギバナのバーナーd(ry
「クックック。いつまでもやられてばかりじゃないぜ?
お前らは今日からFランクだ!」
「「「早エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!???」」」
ギルド中が一つに団結した瞬間だった。
「「「早エエエエエエエエエエエエ!!!!?????」」」
先生の家についてもおんなじ反応が帰ってきた。
いや、まあ俺等三人は反応しなかったが。
「ということは遂にロイドがその異能を発揮し始めるのか…………。
いやあ、謎の恐怖心が溢れてきたぜ!」
「え、なんで俺化け物みたいな扱い受けてるんだ!?」
「「「化け物だから仕方がない。」」」
「ぐはぁっ!的確に俺のライフが削れていくっ………!」
「まあ、口調が素に戻ったんだからいいんじゃねえか!」
「しまったっ………………!更に俺のライフがっ………………!」
だからさ、もうやめて!俺のライフはもうz(ry
「よし、残る攻略対象は後一人だな!」
「何か異常な寒気がしてきたんだけど!?」
ここに来てまだ2日なんだけど随分騒がしい場所だよなぁ……。
まあいいか。楽しいし。
俺は疲れた体を休める為、布団に篭った。
「さてと。お前らは今日からFランクなわけだが、GランクとFランクの違いは
覚えているか?」
俺等は又もや朝早く起きて、ギルドに来た。
理由は勿論、早くFランクのクエストを受けたかったからだ。
そこでグランさんにクエストを紹介してもらおうと思ったらこんなことを聞かれたのだ。
「えーっと、動物の討伐依頼が入ってきます。」
「あーっ!そうだったな!流石シュウ!」
おい、ギル。お前、本当にグランさんの説明聞いてたんだよな…………?
若干不安になったが、そこはギルクォリティなので気にしないことにした。
「そうだ。まあ、Fランクだからそんなに危険な動物は狩らないが、
大きめの猫くらいは狩る。
当然、引っかかれたり噛み付かれたりするわけだ。
で、お前ら自分の服を見てみろ。」
俺等は言われたとおりに服を見る。
いつも通り俺特製の薄い服だ。
あ、ポケットが少し緩んできたな。
先生の家帰ったら直すか。
「お前ら絶対に気づいて無いだろ。
防具だよ、防具。
まあ、武器はお前らの持っている危険そうな代物で大丈夫そうだからな。
とりあえずは防具を買ってこい。
話はそれからだ。」
「あ、ハハハハハ。そ、そうですよ!防具ですよね―。
わかってましたよ。ハイ。」
やっべえ。完っ全に忘れてた。
『マジックガード』様のお陰で防具なにそれ美味しいの?になってた。
「キョドリすぎだ。
ともかく、お前らなんかいい店か工房知ってるか?
知らないなら教えるが……………。」
「いや、大丈夫。
昨日のクエストで親しくなったおっさんがいるから。」
「へえ。で、何処だ?そこは。」
「『サイクロプスの巣窟』て所。」
「おおお!あそこは気に入った奴しか作ってもらえない工房で有名だぞ?
勿論腕は一級品!
で、どうやって取り入った?」
取り行ったって言われてもなぁ。
いやほんと酷い言い草だ。
俺はただ単に
「あそこの炎と大剣に見とれていただけ。凄かった。」
すると、グランさんが固まった。
「嘘だろ……………!?あれだけ頑固なおっさんたちがそれだけで認めるだと!?
あ、嫌でも『ウィルの弟子』だしな。規格外ってのはやっぱ凄えな……。」
あれ、そんなに頑固な人達だったんだ。
俺からすれば炎を愛する同士、てイメージだったんだが。
そうすると何で俺は火属性を持ってないんだろう。
こんなにも炎を愛しているのに。
「ま、まあいい。とりあえず『サイクロプスの巣窟』に行って来い。
そこで防具を揃えたらまた来いよ。」
そうグランさんに言われ俺達は『サイクロプスの巣窟』に向かった。
カーン!カーン!
ドッゴオオオオオオオオオ!
うん、前回とあまり変わらない光景だ。
そして相変わらず素晴らしい炎だ。
が、今回の目的はこれじゃない。
「おっさん!昨日ここに来たロイドなんだけど!いるー?」
大声を張り上げて叫ぶ。
早く来てくれないかなー。
そう思っていると下からドタドタドタ、と足音が聞こえてきた。
「やっときたか!炎を愛する少年!で、なんだ!
武器か?防具か?飛び道具か?」
俺の名前いつから『炎の真相を見た者』になったんだよ。
あれ、ちょっと違う?よくあるこった、きにすんな。
「おっさん、俺等でも使えそうな防具ってある?」
「勿論あるぞ!あ、いやでもロイドにあう大きさの奴あったっけ?
まあ、安心しろ!金さえあればいつでも作ってやる!」
ぐはあっ!身長か、身長なのかっ!はぁ。
「ああ、じゃあ、俺の分はなしで。『マジックガード』で防ぐから大丈夫だと思う。それより、この二人に合うものはある?」
「さっきも言ったがある!よし、ついて来い!」
「「「はーい。」」」
工房はどうやら地下があったようで、そこに数えれないほどの武器、防具が並んでいた。
「よし!好きなモノを選べ!」
「わからねえよ!?」
ギルが突っ込む。久しぶりじゃないか、コイツがツッコむの。
「手に取ればわかる!防具の熱い鼓動を聞くのだ!
あっちにあるのなら大きさも合う!行って来い!」
「なるほど、要するに勘だな!」
「ごめん、全くわかんない。ロイドはわかる?」
「ちょっと触ってみないとわからないな。
が、この俺の炎に対する熱いハートがあればわかる筈!」
「触ったらわかるんだ!?そして何そのハート!?」
「さすがロイド!わかってるなぁ!
おい、シュウといったか?そこにある防具を触ってみろ。
何かがわかると思うぞ?」
「何かもう訳が分かんない。
とりあえず、触ってみるか…………。」
なんかズルいなぁ。
俺なんか防具が気に入っても使えないんだぜ?
滅入るわ。
そして1時間後。
「「なんかゾクゾクする!?」」
二人同時に防具を見つけたみたいだ。
「おお!見つけたか!よし、着てみろ。」
言われたとおりに二人は着てみた。
ギルはレザーアーマー、シュウはプレートアーマーだ。
プレートアーマーて重いんじゃね?とか思ったが、魔法がかけられているらしく、そこまで重くないらしい。
あれ、そういえばチェインメイルは無いんだな。
あれ結構レザーアーマーの上位互換として使われてなかったっけ?
まあいいや。
「よし、似合ってるぞ!買うか?」
「「買う!」」
よほど気に入ったぽいな。
二人の返事に満足したのか、おっさんは上の階段を登り始めた。
上で精算するのだろうと考えた俺はシュウとギルを連れて階段を登った。
階段を登って行くと、どうやら俺の考えが当たったことがわかった。
「よし、じゃあ2つ合わせて500万メルだな!」
因みに、10メルで一円と考えていい。
つまり、50万円。
かなりまけてくれているのだろうが、俺等にはキツイ。
今までは。
俺等には30個の依頼をこなしたぶんと、
「おっさん、これ一本渡すからさ、100万メルにまけてくんない?」
砂糖がある。
ぶっちゃけ、これでおkが来なければ撲滅する。
「おおお!砂糖!いいぞ!100万メルでもってけ!」
「ありがとう!じゃあ、これでいい?」
俺は懐から100万メルを出した。
「よし、交渉成立だ!あとついでにお前にはオマケにナイフを一本やる!冒険者には必須だろ?」
あ、忘れてた。血抜きとかに必要だもんな。
「何から何まですまない、おっさん。また来るぜ!」
「おう!じゃあな!」
俺等はギルドに戻った。
このオッサンは結構まけてくれています。
ぶっちゃけこれだけの性能を持った防具なら5倍はします。
まけてくれたのは未来への投資、という感じですね。