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69話 もっと熱くなれよ!

あの宣言のあとで、「何やってんだコイツ」で見られた俺と皆で

昨日は飲み明かした。

勿論俺だけエールじゃない。水だ。なんか虚しかった。




そして、翌朝。


「うわああああ!」


「飲み過ぎたっ!」


「「「ぁぁぁぁぁぁぁ。」」」


「…………………。」


見事な二日酔いだ。

二日酔いに見事もクソもないと思うが、こんなテンプレっぽいのを見たのは

初めてだ。

ていうか、先生まで痛がってる。自重してくれ。


俺はため息を付きながら全員に『ヘイレン』を掛けて回った。


「た、助かったァァァァ。」


「ロイド君がいてほんとに良かったわ…………。これで明日も思う存分飲めるわね。」


おい、最後のはなんだ、最後のは。はぁ……………。


「「おはよー。」」


俺がもう一度盛大に溜息を付いていると、俺等の借りている部屋から

シュウとギルが出てきた。


「おい、二人共、今日から俺等、冒険者になるぞ。」


「おう!冒険者か!燃えてきたぜぇ!」


「ちょ、何で勝手に決まってんの!?

ギルも勝手に燃え上がらないでよ!」


「シュウ、男ってのは燃え上がらないといけない時があるんだよ…………。


その時は、今だ!」


「………………………。」


ドヤ顔でビシッと言ってやった。

今の題詞けっこうよくね?我ながらカッコよかった。

だから、シュウ。そんなかわいそうな目で俺を見ないでくれ。

というかここまで文句が無いし、冒険者になるのにはシュウも賛成ってことでいいのだろうか。



「文句もないようだし、飯を食ったら早速冒険者ギルドに行くってことでいいよな?」


「勿論だ!」


「まぁ、いいか、うん。」


マ◯イーカ!と思わず叫びだしそうになるのをこらえて、台所にあった

料理(昨日の余り物)をシュウとギルに渡した。

因みに、皆は昨日騒ぎ疲れたようで、部屋に戻って休むそうだ。

よって、ここには俺等しかいない。


「そういえば、何で皆あんなに疲れてんだ?」


飯を食いながらギルが聞いてくる。


「昨日、お前らが寝たあと皆でどんちゃん騒ぎをしたんだよ。」


「へえ、あのウィルさんもそんなに飲んだんだ。」


「ああ。酒って怖いよな、マジでキャラが崩れそうになってた。」


「そういえばロイドはお酒飲んだの?」


「飲んでない飲んでない。第一、飲んだら体に悪すぎるから飲む気にもならない。お前らもでっかくなるまで飲むなよ?」


「何か俺等より小さいロイドにこう説法されてるとなんか違和感あるんだよな。」


「ぐはぁっ!?」


く、予想外にダメージが大きかった。

ライフが一割を切ってやがるぜ……………。


「「ご馳走様でした!」」


俺が苦しんでいる間に二人共完食していた。

さて、行くか。


「ちょっと待って!何かが起きた時のために荷物は持ってくべきだよ!」


家を出ようとした俺をシュウが引き止めた。


「大丈夫。多分、これがあればそうそう困らないと思うから。」


が、俺は我らが換金アイテム、砂糖を振ってシュウに見せつけた。

シュウはその威光に恐れいった…………訳ではないだろうが、

はっとしたような表情をする。


フッフッフ。砂糖作っておいて良かった。

これぞ俺の雑学の賜物!ビバ雑学!

前世の努力が無駄ではなかったことをもう一度噛み締めた俺は、意気揚々と

冒険者ギルドに向かった。















ズシン。そんな響のドアを前に、俺は戦慄していた。

何でかって?

ドアノブがいかにも固そうに見えるからに決まっているだろう。


生まれてこの方、ドアというドアに何度も屈してきたのだ。

戦慄しないはずがない。


が、ここは所詮通過点。

冒険者という男の夢の為には――――――

「おーい、ロイド早くドアを開けてくれー。まあ、いいや!俺が開けるぜ」


―――――ガチャ。


NOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!

な、何てことしてくれんだ!

俺は目の前の悲劇に謎の怒りを覚える。

が、案の定


――――――――――ガコン。


という音と共に怒りが消えていった。

よし、落ち着け、俺。

目の前のことに集中するんだ!


――――――キィィィィ!


ギルがドアを開ける。

そして、その中の光景に俺は唖然とした。



まず、外見じゃあわからないくらいに荒れている。

木くずだとか、謎の鉄の破片とか、紙の残骸とか、色々。

そして、特筆するはその広さ。

だいたい普通の中学の体育館の3倍くらい。デカイ。


そんなデカイ場所で、いかにも冒険者感のある人達が笑い合ったり、殴りあったりしてカオスなことになっている。

ここに二次ロリがいたら「ふぇぇぇ。」なんてなってただろう。(ニッコリ


が、俺はこんなことではビビらない。

漢というのは、そこに夢がある限り、追い続けなければならないのだ。


という訳で、冒険者登録をするために俺はカウンターを探してみた。

おお、あるある。


受付は4人。

詳細はこんな感じだ。


一人目、ゴツイおっちゃん。

話すこともゴツイようで、仕事の話しかしていないっぽい。


二人目、チャンネーその1

非常に真面目な人なオーラがしている。


三人目、チャンネーその2

え、その1とその2の外見的違い?

ぶっちゃけ、わからん。女性恐怖症にそんなこと聴くな。

話がそれたが、どうやら彼女が一番人気のようだ。

明るい感じの人だからかな。


4人目、目付きの悪いにーちゃん。

この人はあんまり人気がない…………のだが、彼に頼む人は皆強そうだ。

実力派なのかもしれない。


さて、誰を選ぶかだが、チャンネーはまず却下。

俺の精神上。

となると、おっちゃんかにーちゃんだが、うーん。

あ、そういえば昨日先生が酔う前に


「ギルドで受付してもらうなら目付きの悪いグランて人に頼むといいよ。」


ていってたな。


よし、にーちゃん、君に決めた!


「冒険者登録、お願いします!」


俺は未だ雰囲気に押されている二人を抜いて、カウンターの机をバン!と

叩いた。

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