61話 ちょ、おま、俺の扱い…………。
「―――――――という訳で、今教えた方法で天然樹脂、アルコールを
作ってもらい、一年に一回程のペースでフィルに入れて欲しいのです。」
かなり長々と説明し、一応皆から納得はされた。
変な目で見られるのは変わらないが。
「ちょっと待った。何でお前がやらねえんだ?
今の口調だとまるで全部俺達にやらせようとしているように聞こえるぞ?」
あっ。言うの忘れてた。
「言うの忘れてたんですが僕、シュウ、ギルは今日『卒業の儀』をします。
この街から出ることになるのでその間のメンテナンスを皆さんにお願いしたいんです。」
「「「――――――――――!!!!!???????」」」
おお。皆さん驚いていらっしゃる。
そうだよな、俺まだ8歳だしな。心配だよな。
「ちょ、アンタ!石鹸は?石鹸はどうなんのさ!?」
ソッチ!?
俺の心配してんじゃなくて石鹸!?石鹸なの!?
いや、でも男組はちゃんと俺の年齢とか色々考えて心配してくれ―――――
「おい、煙玉はどうなんだよ!?」
え!?
ちょ、酷くね?俺ってば一体何だってんばよ!!??
「えっと………………。俺これでも8歳なんですが。
それよりもなんかその、危ないとか………………。」
なんか言ってて阿呆らしくなってきた。
うん。自分が一体何を求めているのかすらもわからなくなってきた。
「「「いや、お前なら大丈夫じゃね(じゃない)?」」」
え、なに。俺ってそんな理不尽人間的扱いだったの!?
と思って思い返してみたら確かに理不尽人間だった。
俺、パネェ。
「それよりもだ、煙玉はどうなる?」
「そうよ、あと石鹸。」
「そういえばマッチはどうなるんだよ?」
お、おう。
ていうかむしろ俺の心情としては「O、Oh…………………。」てかんじだ。
ちょ、待て。お前らどんどん近づいている。こわいから!
「わ、わかりましたよ……………。
『卒業の儀』は明日に延期します。それまでに出来る限り最高速度で作ります。それでいいですよね?
あ、あとマッチは作り方を教えるので皆さんそちらは作って下さい。」
「「「いよっっっっっしゃああああああああ!!!!!!」」」
「いやー。良かったぜ~~。」「危なかったわ……………。私もう石鹸なしじゃ生きられない!」「マッチの作り方ってどんなんだろう?」
お、おう。(本日二回目)
熱狂ぶりが尋常じゃねえ。やっぱり怖いわ。
「では、ちょっと準備があるので明日まであまり話しかけないでくれるとありがたいです。」
「「「どうぞどうぞ!!」」」
満面の笑みで答えられた。
内心ため息を付きながら、俺は『卒業の儀』の準備を先に済ませようとギルとシュウのもとに向かった。
「ロ、ロイドか…………!?」
ギルの発声第一号がこれだった。なんか少し放心してる感がある。
あ、エンバーミングがグロかったからか?
あれは俺もあまり思い出したくない。
「すまない、あんな光景見せるべきじゃなかったよな…………。」
という訳でこちらの発声第一号は謝罪にした。
「でもああしないと腐っちゃうんでしょ?なら我慢できる。
それより、『卒業の儀』の準備をしようよ。」
シュウが重い雰囲気を変えようと話題を変えた。
シュウとギルのノリが今日は逆だな。
「そうだな。俺は取り締まりの時俺が飯を採ってきた畑に行って来る。
食料調達と、材料が必要だからな。」
「材料?」
「あ、俺の作ったものって結構自然を材料にしているんだ。蜂蜜とか。
大部分が魔法で作られているけど。」
「マジでか!そりゃもったいねえ!蜂蜜って結構美味いのに!」
ギルが復活した。飯のことになるととんでもないな。
ともあれ、良かった。
「ギルの話は置いといて、俺はこれからその畑に行く。
シュウとギルもそれぞれ準備しておいてくれ。」
「じゃあ、俺は武器になりそうなもんを探してくるぜ!」ダッ
お、おお。(本日3回目)
あれか、善は急げ、てか。
行動に移すのが速すぎだろ。
「僕は『イタルペナ城塞都市』てところへの最短距離を聞いてくるよ。」
「了解。じゃあ、夜にまた基地に集合。出来ればギルにも伝えといてくれ。
俺今日ちょっと大量生産しないといけないから眠らないが。」
「ああ、石鹸とか作らされるのか………………。頑張れ。」
「ハ、ハハハ………………。」
どうしてくれるんだシュウ。
ちょっと落ち込んだじゃねえか。
俺は下がるテンションを振り払うように畑に向かった。