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60話 【初心者だけど】エンバーミング【やっちまったw】

「えっと……………『卒業の儀』をするってことは、僕等は

この街を出るってことですよね?」


リーダーの衝撃発言に真っ先に俺が応えた。

てか、今気づいたけど俺さっきまで年上の前で『俺』て言っちゃってたな。

年上には前世の癖で『僕』を使っていたのにそれが崩れたようだ。


「そうだ。本来なら8歳と9歳で『卒業の儀』を迎えるのは危険なんだが、

正直お前らなら普通に生き残れる筈だ。

勿論、俺とロイドの秘密を言わない約束付きなら残ってくれてもいい。」


「俺、秘密守れる自信ないぜ……………?」


ギルが顔をしかめた。

お前、最近自分のいい加減さに気づいてるだろ、絶対。


「でも、三人だけでここから出るってちょっと危険すぎると思うだよね。

かと言って僕も秘密を守りきれるとは思わないし…………。」


シュウは難色を示している。


俺としては此処を出てもいいんじゃないか、と思っている。

俺らは多分それぞれ特別な才能を持っている。

お陰で魔物とかに襲われても生きていけるだろう。

それに先生やリーユさんのいる『イタルペナ城塞都市』か

クルト達がいる『バルカン王国』に行けば

元孤児たちから援助も受けられる筈だ。


「僕は此処を出たほうがいいと思う。」


俺の発言にシュウとギルがビックリする。

リーダーは何処か安心した様子だ。


「理由は?俺らが無事に生きられる理由はあんのか?」


ギルが詰め寄ってくる。

俺がさっき考えたことを話すと、


「確かに。『イタルペナ城塞都市』か『バルカン王国』に行けば僕等も

生きていけるね。」


「ロイドの言う『先生』ってあの有名なウィルさんだろ?

あの人なら絶対成功してるだろうし安心できるな!」


ギルとシュウは納得した。

てか、そんなに有名だったのか、先生。

ショタコンに目覚めかけてたけど。


「いいのか?こっちとしては有難いんだが、お前ら道中の魔物を三人だけで

相手できるのか?」


リーダーは難しい顔をして俺の目を見る。


「大丈夫です。ほら、僕昔3体の狼の魔物を相手に倒したじゃないですか。


今なら昔より強くなってますし、大丈夫です。」


「そういえばそうだったな。

それに警備兵の副隊長も倒してたし……………。まあ、大丈夫そうだな。」


リーダーも今ので納得したようだ。

でも、警備兵との勝負はあまり思い出したくないもんなんだよなぁ。

なんせ初めて火薬を人に向かって投げつけた戦いだ。

そういえば初めてショタとおっさんにあったのもあの日だっけ。


「では、基地に戻って『卒業の儀』の宣言をした後、

『卒業の儀』のための準備をします。

あと…………………

フィルの体の防腐も……………。」


やっぱりフィルの話をすると全員テンションが下がる。

さすがに一日で親友の死を受け入れるのは酷だ。


「わかった。先に戻っててくれ。

俺はちょっと体がダリィから少し遅れていく。」


リーダーがそう言ったので俺らは先に行くことにした。


そういえば、俺がおっさんに乗り移られた後疲労が残らなかったけど、

リーダーは疲労が残ったのかな?

そんなことを考えながら俺は基地に帰った。


基地に戻った俺達は、真っ先に人の集まっている場所に行った。

見るとフィルの死体が横たわっていて、囲んでいる人が泣いていた。


俺は目にこみ上げてくるものを抑えながらフィルの死体の前に立った。

シュウとギルも俺の後ろに立ち、目を充血させながらフィルの死体を見ている。

俺は手を伸ばし、フィルの左胸に触った。

やはり、脈が無い。本当に死んだんだ。

そう思うとその場に座り込んで泣きたくなった。


けど、今はやるべきことがある。

俺が無言でフィルの前を一旦離れると、皆が驚いたような目で見てくるが、

俺は構わず倉庫に向かった。


そして、あるものを取り出し、フィルの前に戻ってきた。

よし、リーダーも戻ってきている。

これからやることは絶対に覚えてもらわないといけないのだ。


「リーダー、これからやることを覚えていて下さい」


少し声を低くして注げる。

リーダーは驚いていた。


さて、じゃあエンバーミング(防腐)をやってみますか。


まず、腹に小さい穴を開ける。

一気に周囲がざわめいた。

当たり前だ。ていうか、ざわめかないほうがおかしい。


そして、臓器を取り除いていく。

誰もが顔をしかめ、俺が気が狂ったんじゃないかと囁き合っている。

ぶっちゃけそんなふうに見えるだろう。

かくいう俺もあまりのグロテスクさと親友の臓器を剥いでいく自分に

吐き気がしてくる。

ああ、泣きそう。


取り除き終わった所で次にさっき倉庫から取ってきた天然樹液(・・・)

取り出す。

え、いつの間に作ってたのかって?

蜂蜜採りの時についでに樹液から作っておいたのだ。


とりあえずそれは置いといて、この天然樹液をこれから血液と交換しなければならない。

此処が肝心だ。

遺体は確か血液から腐ると聞いた。

ならば早く抜かなければ。


もう既に内蔵を取り除いたので、血はかなり抜かれている。

後は動脈と静脈に残っている血を抜くため、この2つを切った。

血が結構出て来る。

殆どの人が顔を背け見ないようにしている。

逃げ出す奴もいる始末だ。

わかる。すんごいわかる。


ほとんどの血が出たのを見て、腹の穴を塞ぐために『ヒネトヘイレン』を

使うことにした。


「『ヒネトヘイレン』」



――――――――――シーーーーーーン。



あれ?発動しない?

勇者に切られ、死んだ後のフィルに治癒魔法効いてたから、

効くと思ったんだけどな。

試しに『ヘイレン』を使おう。


(『ヘイレン』!)


今度はみるみるうちに傷が塞がった。

あれ?何でだ?

何で『ヒネトヘイレン』は効かないのに『ヘイレン』は効くんだ?

と思ってもう一度使ってみることにした。


「『ヒネトヘイレン』」


………………。

何も起こらん。

まさか、この魔法何かしら発動条件でもあんのか?

むぅ。仕方がない、『ヒネトヘイレン』が使えないのは残念だが、

ここは『ヘイレン』で我慢しよう。


傷が殆ど無くなった所で、『アクア・ムイ』を使い体を洗う。

勿論フィルの死体も。

更に消毒をするため、腐った果実類から抽出したアルコールを使う。

ある意味中々蜂蜜が見つからなかったのは良かったかもしれない。

色々なものが作れたし。


最後に、天然樹脂をわざと癒やさなかった血管から注入。


よし、これで終了。

後は定期的に天然樹液を注入し、アルコールで消毒すればいい。


ここまで終えた俺は、地面にある血を洗い流し、一旦休むことにした。


皆が何やってるんだコイツ、という目で見ている。

防腐、ということをわかっているギルたちでも驚いている。


精神的にも疲れた俺は、皆に説明を始めた。

おかしいところがあったら指摘お願いします

なんせ自称エンバーマーというネッ友の受け売りなので………………。

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