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43話 ケイドロ ~ラスト~

昨日一日でシングルレートが1805から1504に……………

命中不安定技の命中率が全部3割くらいになって泣きました。

さてと。さっきまで3方を塞いでいた壁がなくなったことで、だいぶ逃げやすくなった。これなら作戦通りいける。


俺は右手の指を4本立てて、


「作戦4」


と呼びかける。

3人は頷いているが、前の警備兵達は頭の上に?がついてる。

まあ、解るのなら読心術を持っていることになるが。


どうやら、スラムの人たちは危険を察知したみたいで、皆いそいそと逃げていった。


最初にかけ出したのは俺だ。

『マジックサーチャー』と『ウィンド・ブースト』を掛け、

火のつけていない煙玉を2個副隊長目掛けて投げつける。

当然、煙玉に火がついてないといけないなんて知っているはずがないので

彼は2つとも切り落とした。


うっひょお。やっぱ剣技が凄え。踊るように切ったよ。

内心ちょっとビビりながらも、未だに現状が把握できてない新米さんに

タライをぶちかましてあげた。

ギリギリで剣で防いだようだが、剣を弾くことに成功した。

丸腰になった新米さんのこめかみに蹴りをいれて、

そのまま倒れこむ新米さんの鳩尾に魔力の手のストレートをいれた。

すまない。警備兵に入ったばかりだろうに。ちょっと容赦がなさすぎたかもしれん。まあ、生きるためだから。勘弁してくれ。


そのままバックステップをして、横から飛んできた剣を躱す。

『マジックサーチャー』のお陰で、魔力持ちの副隊長の位置は把握できるのだ。でも、ちょっと危なかった。


そのまま返す剣で俺を切ろうとした副隊長の後ろから、フィルがタックルを

してくれた。因みに、作戦4とは複数と戦うときの作戦で、

俺が何人かを無力化するのを他の奴らが助ける、というものだ。

当然、軌道はずれた。その勢いの失った剣を

『マジックガード』で防ぎ、踵落としを頭に入れようとした俺は

倒れこむ彼と一瞬だけ目があった。


―――――ゾクッ!


なんだ!?この威圧感は!?

思わず止まった俺に、直ぐ様体勢を立て直した彼は剣を横薙ぎにする。

その風圧に慌てて現実に戻った俺だったが、もう遅かった。

『マジックガード』すら軽く貫通してしまいそうなパワーだ。

まるで世界がスローモーションになったかのように、剣が俺の横っ腹に入ってくるのが視える。

思わず目をつぶり、来る死に恐怖する。


ああ。俺はまた死ぬのか。


ずいぶんと楽しい4年だった。少なくとも、前世よりは楽しかった。

まあ、これから成り上がってもっと楽しい人生を!

なんて思ったりもしたが。それももう終わりか。

なんだか他人ごとの様さえしてきた。

それにしてもよく俺はこんな短い時間でべらべらと人生を振り替えれるな。

二度目だからだろうか。


「待てやあああああああ!」


――――――ドゴオオオン!!!!


最後の回想をしていた俺は、突然腹を蹴られたような痛みと共に後方へぶっ飛んだ。そして、吐いた。おええええええ。

びっくりして前を見ると、ギルが剣を白刃取りしている様子が目に入った。

まさか、アイツ俺を蹴っ飛ばして離れさせて、剣を受けたのか!?

だとしたら凄い反射神経と運動能力だ。


けど、さすがに押されている。

だったらこっちもお返ししなくちゃな!

痛む腹を抑えながら魔力の足を伸ばし、


「支釣込足!」


「うお!?」


――――――バタッ!


ちょっと浅かったかな。

でもこれで逃げられる!


「ギル!離れろ!」


火のつけた煙玉を握りしめながらシュウが叫ぶ。


「さぁせるかあああああ!」


吠えた副隊長が離れようとするギルの足をつかんだ。

そのまま副隊長が立ち上がり、ギルが宙ぶらりん、となる。


「「「しまった!」」」


フィル、シュウ、俺が同時に叫ぶ。

急いで伸ばしていたまんまの魔力の足でギルを掴んでいる左手を蹴るも

どう感知したのかは解らないが剣で魔力の足を切られた。


「っ!」


いくらほとんど神経の通っていない魔力の足でも、さすがに切られれば

痛覚は来る。


「おおおおおおおおおおおおおお!!!」


横を見るとシュウがヤケクソで突っ込んで行った。

危なすぎだろ!内心突っ込みながら『グラウンド・ブースト』を掛ける。

頼むから、これで少しは落ち着いてくれ。


が、俺の願いも虚しく朽ち果てていった。

シュウは突撃をやめなかったのだ。

副隊長の剣が振られる。急いで『マジックガード』を使うが、ちょっとだけ抵抗するも、すぐ切られてしまった。

マズイ!思わずまた目をつぶろうとした俺は、ありえ得ないものを見た。

シュウが剣を握って止めたのだ。白刃取りでもなく、握って(・・・)


まさか、『グラウンド・ブースト』で体の耐久力が上がったからか!?

落ち着け、という意味で使ったのに、こんな方向で活かされるとは。


思わず手を挙げて喜びそうになった俺だったがその後の行動を見て呆れた。

副隊長は握られた剣から手を外し、シュウの両手を掴んだのだ。


「これで、二人目だな。」


彼はニヤッとして言うと、更にとんでもないことをしてきた。

ロープを宙に浮かせて二人を縛ったのだ。


「は!?」


が、『マジックサーチャー』が彼の魔力が減っていると告げてきたので、

魔力の手だと判断した。多分、魔力量が少ないから奥の手だったんだろう。


そのまま、呆然とする俺ら二人を眺めて、フィルに向かって走りだした。


「うわあああ!」


フィルがビクついてる。腹が痛くて色々吐いて動けない俺だったが、

急いで『ヘイレン』を使い、魔力の手を伸ばして動きを止めようとした。

が、それら全てを剣で切られ、大量の痛覚が俺を襲う。


余裕が出てきた彼は、尚も伸びてくる魔力の手をすべて切り、

フィルに近づいた。

その瞬間、俺が真っ白になる。

そして、これから起こるであろう様々な状況が頭の中をかすめる。


奴隷と化した俺ら、余興のように殺される俺ら、使い潰される俺ら……etc。


そして、最後にこれから殺される俺。


「うわああああああああああ!!!!!!!!」


もう無意識に俺のポケットに入っていたあるもの(・・・・)を投げつける。


「は!また煙玉か!」


剣でそれ(・・)を切ろうとした。

が、剣が少しそれ(・・)に触れた瞬間――――――




――――――――――ドカアアン!!!!!!


爆発した。


「ぐっはあああああ!?」


副隊長は、その爆風を受けてぶっ飛んで行く。

幸い剣がその衝撃を受けて、本人にさほどダメージはない。

そのまま彼は意識を失った。




「あ、ああああああぁぁぁぁ。」


その中で、俺はうなだれた。

生き残れたのに、全く喜びが湧いてこなかった。


俺が最後に投げた物。それは―――――




――――――――――黒色火薬。


火薬が、異世界で初めて、その威力を人類に向けてしまった。


俺は、強い後悔とともに意識を失った。

黒色火薬。

やっと出ましたね。

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