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396話 最終決戦 1

「………ッ!」


魔族の女が『繭』を展開しようとしたのを見て、俺はエクスカリバーで『繭』を両断する。


「余計なことはするな。まずは、魔王の状況について教えろ。」


「ヒィ………ッ!」


魔族の女はパニックに陥ったらしく、俺達から抜け出そうともがき出した。


「チッ………!」


「助けて!助けてぇぇ!!!!!」


防音しているので叫ばれるのは問題ない。だが、時間がかかるのはマズいぞ。

くそ、まともな尋問なんてしたことがねえ。拷問か?でも拷問って嘘つかれやすいって聞くぞ。


ここで、アリエルが動いた。

魔族の女の手を優しくとり、その目を優しく見つめる。

そのままアリエルが手を擦っていると、魔族の女は暴れるのを次第にやめた。


「落ち着きましたか?まずは、名前を教えて下さい。」


そう言いながら、アリエルは優しく魔族の女をハグした。

見た目は清らかだが、残念ながらアリエルは元男………うーん。


「わ、私は、ラウール、です。」


「ラウールちゃん、怖かったですね?後ろの男二人はガラも口も悪くて………。

大丈夫ですよ、私たちは別に貴方を傷つけるつもりはありません。」


ガラは悪かねえだろ、と言おうとして、我慢した。余計な口は挟まないほうが良さそうだ。


「で、でもそこのチビは………。」


殺すぞ。そもそもてめえが逃げようとするからだろうが。


「そこの男は困ったら暴力に走る脳筋なんです。許してやってください。

大丈夫ですよ、私たちは味方です。そして、私達には貴方の力が必要です。」


そう言いながら、アリエルは優しく頭をなでた。こいつ前世詐欺しちゃうか?というか俺が脳筋とはどういうことだ。バリバリのインテリだろ。


「でも、裏切ったらビクターに殺されちゃうし………。」


なんでこいつはこいつで幼児化してんだ。


「ビクター、というのは影を操る男ですか?」


「うん。でも、ついさっき魔王を乗っ取って最強になっちゃったんだよ。」


「魔王を乗っ飛んだんですか?」


とんでもなく重要な情報を得てしまった。

なんというか、脅すよりも優しくした方がいいんだなってことはよくわかった。


「ビクターは魔神の意志を引き継ぐ存在とかで、歴代魔王は全員中身はビクターだったんだって。今までの魔王は乗っ取られるまでただ力を蓄えるためだけの存在で、ビクターが魔王になってからが本当の魔王なんだって。」


「そうですか。」


(殺してください。)


アリエルの念波だ。こいつ、中々にヤバイ性格してやがる。

俺は『リュミエール・シーカー』を展開し、瞬殺した。


「さて、行きましょう。知るべきことは知れました。」


「というか、知りたいことを勝手に喋ってくれた、って感じだな。どうやら、俺達はビクターという男を倒す必要があるらしい。」


「出来れば精神世界にいきてえな。お前らにやったみたいにやれば魔王と共闘できる可能性がある。」


作戦を確かめた俺達は、地下から階段を使い、上に上がる。そろそろ空間魔法を使われそうな頃合いだ。早く七罪将を各個撃破しなければ。


その時だった。


「うおおおおおおお!!!!」


「ッ!?」


何かが叫びながら魔王城に突っ込んでくる。やばい。なんだあれ。

しかも、その何かは一つではない。大量に砂煙を立ち込ませながら急接近してくる。


「あ、まさかあれって………。」


「そんな感じがしますよね。」


なんとなく、予想がつく。とりあえず叫ぶ集団と言えば、あれしかない。


「よう、ロイド!黒くなってたと思ったら今度はピッカピカじゃねえか!どうした!?」


クソギルマスである。

馬鹿面でのこのこ来やがった。死地だぞここ。


ギルマスが一番乗りで魔王城に乗り込んだ瞬間、フッと上から強力な魔族が二体落ちてくる。


「『マキシマムギガントアーム』!」


「『エクスカリバー』!」


一瞬で魔族二人の首が落ちた。


「なんでぇ、お前が勇者になってんじゃねえか。どういう風の吹き回しだ?」


「あいつは似非勇者だったらしい。勇者ロイド様だ。頭が高えぞ。」


クソギルマスに続いて、冒険者たちがどしどしと続いてくる。15人位か。皆瀕死だ。ギルにシュウもいるじゃねえか。おっ、リーダーまでいる。巨人がいるからか。

『ヘイレン』をかけると、全員全快した。勇者の回復魔法やべえな。魔力まで回復してやがる。


更に、外からドドドドドドドという音が聞こえる。

『最強の魔法使い』がそれを聞いて、よく通る声で指示を出した。


「この大陸のモンスター共は執着心が高いな。おい、10人。そうだ、そこのお前とお前で分けるぞ。

今から足止めに入る。」


「「「了解!」」」


「ロイド、いや、勇者ロイドというべきだな。魔王はお前に任せるぞ。」


『最強の魔法使い』は、それだけ言うと9人を引き連れて魔王城を出た。

………残った6人の冒険者。

クソギルマス、シュウ、ギル、リーダー、先生、『風帝』。


「けっ、よく見知ったメンバーじゃねえか。」


「だから僕らを残したんだろうね。ロイド。今の君は『勇者』にして『真祖吸血鬼』にして『邪竜ニーズヘッグ』にして『不死(イモータル)』だ。まさに、人類の希望だよ。」


「先生、『クラーケン』も追加だ。さっき魔王城地下で会った。」


俺が胸元の紋章を見せると、カナル、アリエルを除く全員が目を見開いた。

『風帝』の爺が頭をガリガリ、と掻く。


「………とんでもない巡り合わせじゃなぁ。お主は天に愛されているようじゃ。何故か上級冒険者の8割が死んだにも関わらず、お主と関わりがあった儂らはここに立っておるからの。」


「なんでもいいぜ、やっぱりロイドはすげえってことだ!ロイド、さっさと行こうぜ!上に登りゃあ良いんだろ?」


「そうだ、いくぞお前ら。俺だけじゃねえ、俺達が人類の希望そのものだ。」


馬鹿と煙はなんとやら、と聞く。

魔王目掛けて魔王城の天辺目指す俺達は、きっと大馬鹿者なのだろう。


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