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394話 魔王城潜入 3

「話はわかった。でだ。ロイド、この後どうする気だ?まさかこのままここにいるつもりではないだろ?」


完治した俺に、カナルが問う。

現在俺達は、一旦落ち着くために魔王城から距離を取っている。

その間に二人には状況を説明しておいた。驚いていた様子ではあるが、すぐに二人共受け入れてくれた。


「当たり前だ。七罪将を半分殺せたのはいいが、残りの3柱でも人類にとっては脅威だぜ。さっき説明した影野郎も戦闘力は魔王クラス。今ここでどうにか出来なければ勝ち目はかなり薄い。」


「どうにか分断して聖剣で七罪将を一柱ずつ撃破出来れば良いのですが………。」


「流石に対策されるだろうな。現に今も魔王城近辺の空間が完全に掌握されている。俺の空間魔法を警戒しているんだろう。『リュミエール・シーカー』も魔王城近辺じゃ途切れるぜ。」


真祖吸血鬼化は反動が怖いので、空間魔法がてんで通用しなかった時点で解除している。

あちらは影野郎に繭の女までいるし、七罪将も誰かは空間魔法が使えるだろう。アレクとして光属性を元々持っていた『暴食』が一番可能性が高そうだ。

俺一人での突破は難しいと考えたほうが良さそうである。


「なら、どこか裏門とかを探してみれば良いんじゃないか………?城、と言うんだから抜け道があってもおかしくない。」


「なるほどな。ただ、抜け道というからには上手く隠されてるだろうよ。見つけられるかどうか、という話だが………。」


『リュミエール・シーカー』を展開する。

そして、何も見当たらない。無念。そもそもこの魔法は魔力しか見れないしな………。

しかし、アリエルがここでポン、と手を叩いた。


「あ、閃きました。『アース・ホール』で私達が地下道を作りましょう。」


「「そうか………!」」


今の俺には超強力な魔力がある。光属性魔力のお陰で死ぬほど回復するしな。


俺は早速足元に『アース・ホール』を使う。


「アリエル、魔力の隠蔽を頼んだ。」


「任されました。」


闇属性魔力は隠蔽に適している。光属性が全てをありのままに晒す性質なら、闇属性はその逆、と言うわけだ。実際、アリエルはその人類では禁忌とされている闇属性魔力を長い間隠し続けてきた。


ボボボボボボボ…………。


凄い速度でトンネルが作られる。

走る俺達の足が追いつかなくなりそうだ………。


「カナル、『ウィンド・ブースト』を頼む。」


「わかった。」


俺達の速度が一気に加速する。

そのまま、俺はいきなり広い空間に投げ出された。


「へっ?「ぐべっ」ぐべっ!」


まず俺が壁に激突し、カナルが次いで俺に激突した。アリエルは踏みとどまったようだ。


「うへえ、いてててて………なんだここ………。」


俺が顔をあげると、そこはまるで迷路のようになっていた。

所々にぼんやりと光る石があり、なんとか周りが見渡せるようにはなっていた。俺が光を灯すと、更に周りが鮮明になる。どうやら岩盤を頑張って掘ったもののようである。


「………どうやらビンゴのようですよ。カナルの言っていた抜け道、というやつでしょう。」


アリエルがそう言った瞬間、俺達の掘り進めたトンネルがガラガラ、と音をたてて崩れた。


「逃げ道がなくなったな。」


「突貫工事過ぎたか………今のでバレてなけりゃあいいが。」


「十中八九何かは疑われるでしょうね。早く進みましょう。」


アリエルがそういうものの、どう考えてもこれは迷路である。分かれ道が大量にある。恐らく意図的にそうなっているのだろう。


「………どうやら俺の出番のようだな。迷路なら俺に任せろ。」


だが、どうやら我らがカナル君には秘策があるようだ。カナルの周りに、ふよふよと風が吹く。

アリエルはそれらを感じて、ハッとした。


「なるほど………風の通り道というわけですね。」


「よくわかったな。そういうことだ。よし、ついてこい。道は見えた。」


迷路の構造は、一々3つや4つに道が別れていたり、一本道の途中に横道があったりと、製作者の性根の悪さが出ている。というか徹底的に進む者のメンタルを崩壊させにかかっている。

しかし、カナルは一切迷わずに歩き続けた。いや、急いでいるので割と小走りだ。

そうこうしている内に、目の前に階段が見えてくる。


「ほんとだ、すげえなおい。」


「まだわからないぞ。魔王城の方向に近いからこっちを選んだが、もしかしたらこちらが出口の方かもしれない。」


「逆だったら絶望ですね………。」


小声で軽口を叩きながら、俺達は階段を登る。

その先には、重厚な門が右側だけ空いて佇んでいた。


「カナル、防音を頼む。」


俺達の周りに、風による防音の結界が張られた。

それと同時に、俺も『リュミエール・シーカー』を発現。どうやら魔王城の内部にいるお陰でもう発現できるようだ。とりあえず『リュミエール・シーカー』が逆探知されるとマズいので、近辺だけを探る。


「近くに魔族はいなさそうだな………ッ!?」


「どうした、ロイド!?なんかヤバイのがいたか!?」


ちょっと待て、何故ここにいる。

俺は、少し声を震わせながら言った。


「水の五大獣だ。あいつが、この扉の先にいる。」


二人の喉が、ゴクリと鳴った。


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