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380話 迫る『遣い』

「配置完了。観測を始めるぜ。」


「お願いします。」


精神世界から帰ってきた俺は、早速巨大化させた『リュミエール・シーカー』を起動させる。

光の楔から伸びる魔力の糸に終着点を計算し、渡された地図に当てはめる。


「カンプーフはとっくに出たみたいだな。現在、氷河大陸の上を通過中だ。」


地図上では、氷河大陸は右端にある。逆にこの大陸は左端だ。つまり、明日明後日にはこの大陸に現れることになる。


「氷河大陸ですか。あそこは人もいないですし、魔王軍の進出もないですから彼女に時間を取らせるものは何もないでしょうね。海上移動時と同じ速度と仮定して詳しい到達時間を計算しておきましょう。」


「俺は準備に入るぞ。」


「そうしてください。『世界最強の魔法使い』からの伝言ですが、貴方の発想力にかかっていると。」


「俺の?」


「はい。貴方は別の世界で生きている、そんな気がするそうです。」


「そんなことを………。」


流石に気づかれるか。

あの人のことだから子供だからこその発想力!みたいな感じでは受け取られてないだろうなぁ。

見た目のせいか、巷では天才小学生頑張れ!みたいなノリなんだけどな。

それにしても的確な言葉、流石としか言いようがない


「じゃあ、期待に応えられるようできるだけ考えてみるしかねえな。」


「健闘を祈ります。お疲れ様でした。」


通信が切れる。


「ヒントはあるんだよなぁ………。」


ある、というか今日の朝サタンから聞いたことまんまなのだが。

そういえば、その内容もギルドの方に伝えたほうが良かったかもな。


(………いや、ソースを言えって言われたら終いだな………。)


なれば、解決策を見出すヒントを持っているのは実質俺だけだ。

だが、流石に先にやることがある。


「なんだかんだ言ってチビおっさんの所に行ってねぇ…………ッ!」


俺は急降下した。
















「おっさん、いるか!?」


「お前、生きてたか!鉱山から帰ってこないからなんかあったのかひやひやしたぞおい。」


「すまんな。本当に色々あったんだ………。」


「もしかして、『勤勉なる遣い』ってやつか?」


「ッ!」


勘が鋭い。というか、その前にだ。


「どこで知ったんだ?」


「当たってたか!いやぁ、それがな、有名なAランクが続々とこの街に入ってくるんだよ。嫌でも知るはめになるわけだ。」


「あぁ、なるほど………まぁ、別段隠せ!ってことでもないしな。」


あまり不安を煽りたくない、ってことだったらしいんだがな。いや………待てよ。


「まさか、の話なんだけどさ。まさかこの周辺でそんなドンパチする気じゃねえよな?なんも言われてないからこっちも不安でよ………。」


そりゃ不安だわ………。


「いや、一応到達時刻もギルド側も正確に把握できていて、戦う場所も移すぜ。相手は冒険者が一杯いるところとかに集まるらしいからな。俺達が遠くで待機してればいいだけの話よ。」


「あ、そうなのか。いやーよかったよかった。」


「確かになんも言われてないと不安だよな。この後ギルド側に提案しとくわ。なんか張り紙でも何でもしとくようにな。」


「めっちゃ助かるぜ。俺たちには何もないってわかるだけで大分違うしな………。

それでだ、本題に戻そう。あの鉱山はどうだった?」


「どうもこうも完璧だ。ある程度安全が確保できて、見た限り滅茶苦茶石炭掘れるぜ。」


「まじか!そりゃあびっくりするくらい完璧だな。

実はな、ロイドが探索している間に銀山を管理している友人に話してよ、一応ノウハウだとか人はある程度準備してもらえるらしいんだ。蒸気機関のパワーをミニチュアで再現したら滅茶苦茶乗り気になってくれたんだわ。」


「それはよかった………って、ちょっと待て、動かせるのか!?」


これからちゃんと動くものを作ろうと考えてたんだけど………!?


「おう、ちょっと待ってな…………………これだよ。」


引きづられて出てきたのは、結構な大きさの蒸気機関。まあ、確かに小さくなってるからミニチュアではある。


「で、ここに火を起こして石炭を入れると………。」



――――――――しゅごっしゅごっ。



「おお………すごく蒸気機関だ………。」


「これなら確かに色んなものに活用できるな。石炭食うけどよ。」


『アース・ホール』の恩恵もあるだろうけど、ものづくりとしてのレベルも高い。

見たところ一切の隙間なしにピタッとできてるし、後は耐久性次第、という感じな気がする。


「でも、更に大きいものを幾つも作るわけだから、作り手が足りなくなるよな。後鉄とかも大量に確保しないといけないし。」


「鉄はどうにかなるぜ。『アース・ホール』があるからな。」


「あ、なるほどな。………………ん?」


ちょっと待てよ。


(『アース・ホール』!)


手から出すは、燃える石。その名も石炭。


「お、お前ちょっと待てもしかして………「えい。」うおぁ………。」


蒸気機関に放り込むと、いい感じに燃えた。


「魔法で石炭普通に作れるな、これ………。」


「ど、どういうことだ!?何が起きてる!?」


「あれだ、『アース・ホール』はイメージ次第で割と何でも作れるんだわ。これはあれだな、色々土属性魔法使いに教え込めば炭鉱いらないかもしれないな………。」


「うっそだろお前…………。昨日までのお前の努力は何だったんだ………。」


「何だったんだ………。」


胡散臭い天使像を頑張って発見しただけか………。

悲しい。


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